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あの金の使い道
しおりを挟むアインは、今日あったことを話していくのだった。
「今日、有ったことは。まず、門番の人に何とか交渉をして、王城の中に入れてもらって、その後、外交官の人と話をしていたんだ。」
「それで、外交官の人とは何が決まったの?」
「いや、結構話し込んだんだけど、結局、外交官の人が自分1人で話すべきではないといって、王様を交えて話し合いをしようと言ったんだ。」
「王様!いきなりそんな大物が出てきたの?」
「いや、王様だって忙しいし、それに僕みたいな人にかまっている時間はないっぽいから、明日来てくれって言われたんだ。」
「それじゃあ、アイン君は…」
「うん。明日も王城に行かなきゃ行けないね。」
アインはどれくらい同盟国が増えたかと、他の国がどれだけこの同盟を友好的に見ているのかを知りたかったので、今回はもう一回王城に行くことにしたのだった。
そして、アインがこの話をしていると、シオドーラが疑問に思ったことを聞いてきた。
「それにしては遅くなかったか?」
「まぁね。王様が来ないと分かった後も、結局外交官と同盟について、もっと詳しく話していたし、この国が最初の同盟国になるんだから、ここで始めて同盟をちゃんと細部まで作っていかなきゃいけないからね。」
そう、今までは、アインが決めたことが同盟の全てだったが、これから先は、同盟国と話し合って、同盟の内容を決めていかなくてはならないのだ。
実際に、今回の同盟で、最初の予定には無かったが、勢力拡大のために、通信魔法具を他国に渡すという、最初とは違ったことをやっていたのだった。
(まぁ、この通信魔法具が同盟拡大のためになるんだったら、通信魔法具を作っている人たちに、国のほうからお金を出しても良いかな。)
アインは、前に言っていた、有り余っている自分の貯蓄の行き先を今、1つ増やしたのだった。
「それじゃあ、アイン君のほうは、同盟についてが一歩前進した感じ?」
「そうだね。僕だけなんか仕事をしていないっぽくて、なんか申し訳ないよ。」
「アイン君は、1人で同盟国を増やそうとしているんだから、すごいことだよ!私たちには応援しか出来ないけど、がんばってね。」
「ありがとう。それじゃあ、僕のほうは明日もあるから、今日はもう寝るね。」
「分かったわ。」
そして、アインは自分が借りている部屋に戻った。
「さて。」
アインは、今日、王様に渡したのと同じ、通信魔法具を取り出した。
(後は、この部屋を防音にして…)
アインは、結構範囲が広いが、魔力消費量が比較的に少ない音魔法で、部屋を覆った。
(これで、部屋の外に音が漏れることは無いな。)
アインは、エリとの通話を始めた。
『エリ、今大丈夫?』
『ええ、大丈夫ですが…何の用でしょうか?』
『ちょっとね。お願いがあって。』
『お願いですか?それはいったい…』
『僕が自分用の貯蓄とは違って、他の場所に自分の給料を置いていたのを覚えている?』
『ええ、何で他の場所におくのだろうとは思っていました。』
『うん。それで、そのお金を自由に使って良いからやって欲しいことがあるの。』
『アイン様!本気で言っているのですか!あのお金の量を自分で把握していないのですか!』
エリが、ここまで驚いているのは、アインが他の場所においてあった金額は、結構多かったからだ。
エリにとっては、本当に貯蓄で、アインはもう、使わなくなってきているから、一端別の場所に放置しているだけで、まさか大量の金を使う日が来るとは思っていなかったのだった。
『まぁ、全部使い切ることは無いけど、結構な量使うと思う。つまり、それだけ大事な任務という訳だ。』
アインのその言葉を聞いて、エリはいったん、心を落ち着かせた。
『何でしょうか?』
そしてアインは、ここ最近で、一番大きな出来事を起こす命令を出したのだった。
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