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ヘレンの危機

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            そして、アインはようやく、街の反対側の平原に着いた。

「ヘレン!どこにいる。」

しかし、ヘレンは逃げ回る際に、結構な距離を移動してしまっていたので、本来いるはずの場所にいなかった。

「クソ!これじゃあ、結構時間がかかる。」

アインがどこに行ったかを必死に考えていると、平原の近くにあった森から、何かが出てきた。

「あれは…ウルフか?」

そう、今回のクエストのターゲットであったウルフだった。

(なぜあいつらが森から出てくるんだ?普段だったら基本的に出てこないはずなのに…)

そして、アインは1つの可能性を考えた。

(奴らは魔物の中でも野生の生き物にかなり近い。だから、野生の勘で、近くに強力な魔物がいることに気がついたんじゃないのか?)

もしも、そうだったら、森の中にヘレンがいることになる。

(しかし、これで、森の中にいなかったら、助けられないぞ…)

森の中は視界が悪くなる。

アインにとって、戦闘面ではそのくらいは平気なのだが、視界が悪くなることによって、もしも平原で何かが起きていても、気がつけないのだった。

(しかし、ここで考えている時間も無い!行くしかない。)

そして、アインは森の中に入っていった。

一方…

(よし、これでオーガはまけたはず…)

アインの読み通り、ヘレンは森の中に入っていた。

そして、たった今、オーガをまき終わった瞬間だった。

(それにしても、危なかった…皆心配しているかもしれないし、早く帰らなきゃ。)

そう思い、ヘレンは立ち上がって、街に帰ろうとしたが、その瞬間に、草を掻き分けてこちらに向かってきている足跡が聞こえてきた。

(え?まさか…)

そして、その足跡が、いったん止まったかと思うと…

「ブモォォォォォ!」

さっきのオーガがすぐそこまでやってきていたのだった。

「どうして!完全にまけたのに。」

そう、いったんは完全にまくことができていたのだった。

しかし、オーガの鼻は、意外と性能がよく、一回覚えたにおいは少しの間だったら忘れずに、しかも、距離が離れていても、気がつくことが出来たのだった。

しかも、ヘレンは今、死の恐怖と、単純な疲れから、汗の量が普段よりも多く出てしまっていたので、オーガにとってはたやすく探すことが出来たのだった。

そして、ついにヘレンは、オーガに一発殴られてしまった。

「キャッ!」

その一撃で、ヘレンは動けなくなってしまった。

しかし、その叫び声は、オーが以外の人にも聞こえていた。

「今のは!」

そして、アインは声の聞こえたほうに向かって全力でかけ始めた。

そして、アインがヘレンの場所に着いたときには、ヘレンがもう一発食らって、血だらけになっていた姿だった。

「死ねよ。」

その一言を言ったら、オーガは苦しみ始めたが、すぐには死ななかった。

(当たり前だが、これも弱体化されているか…)

しかし、苦しんでいるオーガを倒すことくらい、アインにとっては造作も無かったので、魔法で一瞬で焼き滅ぼした。

「ハイヒール」

アインは、血だらけになっているヘレンにハイヒールを使ったが、傷はふさがったが、体内の傷までは直せなかった。

「担いで帰るか…教会の神父に任せたほうが早いだろう。」

そして、アインは、ぼろぼろになったヘレンを担いで、急いで教会へと向かった。
        
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