上 下
251 / 554

憂鬱の悪魔

しおりを挟む

            「はぁはぁはぁ。終わったのか?」

「ああ、終わったぞ。鏡で見てみるか?」

そして、セノヴァはグリムに貸してもらった鏡で自分の姿を見た。

「な、何だこれは?まさに異常の姿ではないか!」

そこには、中途半端に角が生えていたり、羽が生えている自分の姿があった。

「当たり前だ。俺だって最初はそうだった。しかし、悪魔の力の使い方に慣れてくれば、俺みたいに人間とどこも変わらない体にできる。」

「ほ、本当なんですか?」

「ああ、実際に俺が今普通の人間の姿をしているだろ?」

「確かに…」

「まぁ良い。これからお前には、自分の中に居る悪魔との契約に入ってもらう。大丈夫だ。今回呼んだ悪魔は上級悪魔、悪魔は基本的に心の中の世界では饒舌だから、簡単には意見を呑むなよ。」

「分かりました。」

「それでは行くぞ!『デ・サラム』」

そして、セノヴァは意識を失った。

「さて、こっちも改造をするか。」

そういいながら、グリムはセノヴァの体に一種の器械をつけた。

「もしも、悪魔との契約に失敗して暴れられても面倒だしな。まぁ、1人いなくなったところで予備はまだいっぱい居る。」

そして、セノヴァは自分の世親世界の中で目が覚めた。

「こ、ここは?」

「やぁ、君が新しい僕の主人かい?」

「あなたは?」

「僕の名前はアスタロト。これでも魔界では結構有名な悪魔なんだよ?」

「そ、そうなんですか…」

「ここは君の世親世界。つまり、君の心の中が分かるのだが、君はそこまでアイン王に恨みを持っていないよね?」

「まぁ、そこまではもっていませんね。」

「君は、あんな化け物みたいな奴らに絡まれて憂鬱じゃないのかい?」

「確かに憂鬱ではありますね。何で僕ばっかりこんな目にあわ無くてはいけないのかと、自分の運命をのろったこともあります。」

「そうかい、そうかい。まさに僕の契約者としてはうってつけだね。」

「は?どういうこと?」

「僕は憂鬱を司っている悪魔なんだ。あのグリムとか言う奴の悪魔よりは全然強いよ。」

「え?でもグリム社長は上級悪魔だって…」

「うん。上級悪魔だよ?」

「上級悪魔は基本的には最上級悪魔には敵わないって…」

「ああ、それは基本の話ね?僕の仲間は後6人いるんだけど、僕たちだけは最上級悪魔よりも強いんだ。」

「で、では。そんな悪魔が僕に何のようなんですか?」

「君は、正直に言って、今の環境に満足しているのかい?」

「ど、どういう。」

「君ほどの心の強さがあれば、後2人くらい仲間を連れてこれるんだけど…」

「もし、連れてきたら、どうなるのですか?」

「まぁ、この組織は君1人で壊せるだろうね。それに、あまり理性を奪うのが好きじゃないんだよ。七つの大罪のみんなって。」

「どうしてですか?」

「単純に、やるメリットが無いんだよね。僕たちの能力は理性が合ったほうがうまく使いこなせるし。まぁ、君が今を変えたいんだったら言ってくれない?ここで。」

「今ですか!?」

「ああ、グリム君が君の首に爆発物をつけちゃったしね。」

「そ、そんな、グリムさんは僕のことを見捨てたのでしょうか?」

「そうじゃない?だって、信頼していれば、爆薬なんてつける必要ないし。」

「そ、それもそうですね。」

「さぁ、決めるのです。」

「……分かりました。後2人とも契約します。」

「本当かい!それじゃあ、呼んでくるよ。」

そして、セノヴァの心の中の悪魔は一回居なくなった。
        
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています

もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。 使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

身体強化って、何気にチートじゃないですか!?

ルーグイウル
ファンタジー
 病弱で寝たきりの少年「立原隆人」はある日他界する。そんな彼の意志に残ったのは『もっと強い体が欲しい』。       そんな彼の意志と強靭な魂は世界の壁を越え異世界へとたどり着く。でも目覚めたのは真っ暗なダンジョンの奥地で…?  これは異世界で新たな肉体を得た立原隆人-リュートがパワーレベリングして得たぶっ飛んだレベルとチートっぽいスキルをひっさげアヴァロンを王道ルートまっしぐら、テンプレート通りに謳歌する物語。  初投稿作品です。つたない文章だと思いますが温かい目で見ていただけたらと思います。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

処理中です...