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数
しおりを挟む今、ダンジョン内では、魔力特化のモンスターが大量に作られている。
質がいいので、超大量というわけではないのだが、それでもすごい勢いで増えていっている。
「部屋…増やすか?」
そう考えたが、現状のダンジョンをこれ以上下げることはできない。
なぜなら、今の状態で長年使ってきているので、今の状態を崩してしまうと、しばらくの間、慣れるまではダンジョン内の者たちがぎこちなく、生産効率のほうに問題が出てきてしまうだろう。
(下には無理…横か?)
横といっても、どうやって横に広げるか、そして、どうやって階層を広くするのか。
発想は出てきても、それを実現するのには、結構な労力と、アイデアがいる。
そんなことを考えていると、幹部の1人が部屋に入ってきて、紅茶を入れてくれた。
そして、ついでに話も聞いてくれた。
「何に悩んでいるのですか?」
「ん?ああ、最近モンスターが大量に作れるようになってきたのはいいんだけど、そのモンスターたちをどこに住まわせようかなと…」
「そうですね…まぁ、もう1つくらいダンジョン作ってもいいんじゃないのですか?
このダンジョンの余っているすべての魔力を使って、最高級のモンスターでも作って、そっちの管理をさせたり。」
ここで、ゲームの世界では絶対にありえない言葉が入っていたことに気が付いた。
「ん?もう1つのダンジョン?」
「ええ。」
「魔王1人に対して、ダンジョンは1つって決まりじゃなかったのか?」
「決まり…魔王に決まりなんてあるのですか?」
そういえばそうだ。
もともとは、ゲームだったのでダンジョンの数は、魔王につき1つと決まっていたが、この世界ではそんなルールはない。
それに、ダンジョンを作る方法に関しても、ただただ、範囲を選択して、その中にいる対象から魔力を吸い上げる魔法さえかけてしまえば、どんな洞窟だって、ダンジョンにすることができる。
「なるほどな…」
そんなことを小声で言ったが、幸いにも、幹部の方には聞こえていなかったらしい。
「ありがとう。これでまた一つ、人間たちを攻める方法を思いついた。」
「い、いえ!お役に立てて光栄です。」
「それでは私は作戦のほうを考えてるので、少し1人になりたい。」
「わかりました。それではポットのほうはここに置かせていただきますね。」
それだけ言うと、幹部の者は簡単に部屋を出ていってくれた。
「それにしても、ダンジョンの数はいくらでもよかったのか…これは盲点だったな。」
まぁ、ゲームの世界しか知らないので、それもしょうがないが、やはり現地の者たちのほうが、こういったことに関しては、柔軟だなと思いながらも、いざダンジョンを作るとして、そのダンジョンを完全に任せることになるモンスターを作らなければいけないので、ゼアークは、ここにきて初めて、自分の手で最上級モンスターを作り始めたのだった。
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