兄がΩ 〜うっかり兄弟で番いましたが、今日も楽しく暮らしています。〜

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その後の兄と弟。

★お兄さんだって(たまには)いいことがしたい!(下)

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 とりあえず、妊娠中に性欲が高まるのは異常ではないとわかった。では、次の問題は、妊娠中に性交をしてもいいのかどうか。検索窓に『妊娠中 セックス 大丈夫?』と入力して……。
「お、妊娠中でもして大丈夫みたいです。ただし、体調が悪くない時、清潔に。そしてゴムが必要」
 なるほど。ゴムならお泊りセットの中に入っているはずだ。僕は部屋の隅に置いてあった旅行鞄を漁った。今年最初の帰省の時に兄としようと思って用意したゴムが、ちゃんと鞄の内ポケットにあった。箱の縁が掠れて潰れているけれど、まだ未開封だ。
「ゴムありました。それじゃ、しましょう、お兄さんっ」
 と、ちょっと待った。妊娠中はどんな体位がいいだろうか。最近、兄のお腹は少し膨らんできたし、きっとお腹に負担をかけないものがいいはず。『妊娠中 セックス 体位』で検索、検索。……おぉ、横向きに寝たままとは! これはまさに、兄が好きな体位ではないか。
 僕はてきぱきと準備をした。掛け布団を退けて、敷布団の上にバスタオルを広げ、枕元にはゴムとティッシュの箱を置く。あ、喉が乾いた時用に、水のペットボトルも用意しておこう。清潔第一だから、手も洗ってこなくちゃ。除菌のウエットティッシュも必要かな。
「さぁ、準備万端ですよお兄さんっ。さっそくしましょう! 僕、お兄さんを満足させてみせますよっ」
「さっそくしましょう、って。色気ねぇな……」
 と、ぼやきながらも、兄は布団の端から僕が整えた寝床まで、もぞもぞと這ってきた。兄は僕の枕に頭を横たえると、またスンスンと鼻を鳴らして枕の匂いを嗅いだ。もて余した欲情の為か、猫が毛布を懸命に踏みしだくときみたいに、膝を立てた脚を交互に動かしている。そんな兄の脚からズボンとインナーを引き抜く。脱がした下着には既に染みが出来ていた。もしかして、僕があれこれ検索している間に、こっそり自分で扱いていたのかな。
 脚を大きく開かせて、脚の間をじっくり検分する。少し膨らみ始めたお腹の下、兄のものははち切れそうなほどになっている。その下、臀部の割れ目の奥は、常夜灯の下では陰になってしまい、よく見えないけど……。淡く光の当たる部分は、溢れた体液でぬめり、てらてらと輝いている。
 清潔第一だ。僕は除菌ティッシュで手指を入念に拭き、それから兄に「ちょっと冷たいですよ」と予告して、兄の陰部をこれまた除菌ティッシュで丹念に拭った。除菌ティッシュの表面にぬるぬるの粘液が着いてくる。兄の身体はもう準備が出来ているのかもしれない。
「指、挿れますよ。痛かったら言ってくださいね」
 ゆっくりと兄の胎内に指を挿入した。いきなり二本挿れても余裕だった。兄が「ふぅ……」と艶っぽい溜息を漏らす。浅い挿入で大きな円を描くように中を押し拡げていく。兄の内側は十分に潤んで柔らかい。これならすぐに身体を繋げても大丈夫そうだ。
 問題は、僕の愚息の方なんだよなぁ。いい感じに勃ち上がってこない。実をいうと、兄のお腹の神々しい丸みに気圧されて、畏縮してしまっている。
 僕は兄に寒くないように上掛けをかけて、兄の隣に潜り込んだ。兄を横向きにし、後ろから抱きついて、うなじに鼻を押し当てる。兄の匂いを鼻腔いっぱいに吸い込む。夕焼けの中に佇む、満開の桜を思わせる匂い。初めて番ったときのように目眩のするような欲望を喚起するというよりは、ノスタルジックな感傷をもよおす。
 あ、せっかく半勃ちになっていた愚息が、かえってしぼんでしまいそう! 僕はクンクンクンクン嗅ぎまくりながら、初めて犯した時の兄の様子を思い浮かべた。と同時に、兄が「くすぐったいよ」と身をよじらせた。僕の中で獣がわずかに身動ぎをする。
 僕は自分の中の獣性を目覚めさせる為に、努めて唸り声を上げ、兄の肌を貪った。ぽっこり膨らんだお腹は避けながら、兄の肌を手でまさぐり、臀部に股間を擦り付けた。そうこうしている間に、僕のものはなんとかゴムを装着出来るくらいに膨張した。僕は兄の首筋を食みながら、自らのズボンと下着を下ろし、手探りで枕元からコンドームを一つ取ると、素早く開封して身につけた。さっさと挿入しないと。ほんの些細な事で萎えてはかなわない。
 兄の一物を片手で軽く扱きながら、僕はひと思いに兄の中に挿入した。柔らかくて熱い兄の内壁が僕を迎え入れたと思えば、ぎゅっと引き絞ってくる。僕は歯を食いしばり、腰を軽く引き、そして短く突いた。
「……っあ!」
 兄は声にならない悲鳴を上げ、僕の掌にどくどくと射精した。僕が腰を引こうとすると、兄は僕の腿を手で掴んで喘いだ。
「まだ抜くな……もっと……もっとしてくんないと、満足できない……」
 兄の匂いが濃厚に香ってくる。僕の獣性がやっと目を覚まし、今度は兄を苦しめないよう、上手く制御するのが大変なほどだ。挿入は浅いまま、小刻みに抜き差しして揺さぶる。兄が、はぁーっ、はぁーっ、と息を吐く。その表情を僕は見たくて、僕のものを引き抜いた。ぢゅぽっと卑猥な音がたった。まるで栓が抜けたみたいに兄の中からどっと熱い体液が溢れて、僕の腿にまで飛び散る。
 僕は兄の肩を引いて、こちらを向かせた。対面になり、兄の上になった方の太腿を抱えあげて脚を開かせ、挿入する。
 膨らんだお腹は、まだ対面での結合を困難にするほど大きくはないけれど、僕の下腹部をそれなりの重量をもって圧してくる。この中に、僕とお兄さんの赤ちゃんがいて、挿入したものの先っぽから数センチのところに、もしかしたら赤ちゃんの頭があるのかもしれない。深く挿入しても、先っぽが赤ちゃん本体に当たる事はないってネットには書いてあったけれど、やっぱりちょっと、申し訳ない感じがする。でも、ごめんね赤ちゃん。こうして適度に欲求不満を解消するのも、お父ちゃん達には必要なんです。
「お腹、痛くないですか?」
 僕は下半身を揺らしながら兄に聞いた。
「へいき……」
 兄は僕の腕の中で、喘ぎまじりに答えた。
「ゆっくり、息してください」
 揺り籠を揺するような気持ちで、僕は兄の身体を揺する。結合した部分がまるで融け合ってしまったかのように、境界線が曖昧になる。頭や、指先や、足の先まで、じんじんと甘い痺れが広がって心地よい。兄も今は僕の鎖骨辺りに頭を預けて、ゆるゆると呼吸を続けている。僕の下腹を押してくる、兄の膨らんだお腹は柔らかい。その中で僕達の赤ちゃんは、僕達がこんなあられもなく交わっているとはつゆ知らず、いい夢を見ていたりするのかなぁなんて、僕は想像した。
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