大門大介は番長である!

板倉恭司

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決戦! 逆襲のシローラモ!(3)

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 大門大介は、ゆっくりと階段を上がって行く。この先に、魔王アマクサ・シローラモが待っているはずだ。あの怪人は、怪しげな妖術を使い人類を粛正しようとしている。
 ふと、彼の言葉が蘇った。

(人類は自分たちのことばかり考え、自然を破壊し生き物たちを絶滅させている。今こそ、意識の変革が必要なのだと僕は思う)

 その言葉は、間違いとは言いきれないのが悲しいところだ。
 だからといって、奴の計画を見過ごすことも出来ない。番長として、何が何でも止めなくては……大介は神妙な面持ちで、階段を上がって行った。



「大介くん、よくぞここまで来たね。どうしても、僕の邪魔をするつもりかい?」

 アマクサ・シローラモは、先日会った時と変わらない格好だ。黄金の冠を被り紺色のマントを羽織り、その下は白ブリーフだけだ。いかにも楽しそうな表情で大介を見つめる。ゴミにまみれた廃墟の中にあって、天使のように美しいシローラモの顔……ここは他の階と違い、幻想的な雰囲気すら感じさせる。

「当たり前だ! 俺は、ひとりの人間も殺させない!」

「大介くん……今の人間は、自然を蝕む病原菌のごとき存在だ。君の友だちの妖怪とて、人間に見つかれば捕らえられ、実験動物と成り果てるのだよ」

「そんなことは、俺がさせない!」

 怒鳴る大介を、シローラモは憐れむような目で見つめて首を振る。

「無理だよ。人間は、妖怪を奇妙な動物としか見ないだろう。人間はしょせん、そんな生き物だ。だからこそ、罰を与えねばならないのさ」

「ふざけるな!」

 大介は、憤怒の形相でシローラモに迫っていく。

「あんたは世直しのつもりなんだろうがな、やっていることが無茶苦茶なんだよ! これじゃ世直しどころか、ただのテロじゃねえか!」

 言いながら、大介はシローラモを指差した。

「あんただって、世直しの顛末がどんなものか知ってるだろうが! インテリが夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない! しかも革命の後では、気高いはずの心だって官僚主義と大衆に飲み込まれていくんだ!」

「僕は人間ではない。魔王なのだよ。世直しなど、する気はない。その才能と力を、愚かな人間どもに利用されている者に言われたくないね」

 シローラモの声が、感情を帯びてきた。

「そうかい、話し合いは平行線てわけか……ならば、力ずくで止めてやる!」

 叫ぶと同時に、大介は突進する──

 シローラモの動きは速く、かつ変則的だ。しかも、ひらりと動くマントが大介の視界を遮る。そのせいで、攻撃を当てることが出来ない。

「クソ、チョロチョロ動きやがって! 卑怯だぞシローラモ!」

 怒鳴り、渾身の右ストレートを放つ大介。その瞬間、シローラモはすっと身を沈めてパンチを躱す。
 直後にシローラモは大介の腕を掴み、綺麗な一本背負いを極めた──

「うぐっ!」

 硬い床に背中を思い切り打ち付け、大介は思わず悲鳴にも似た声を洩らす。
 そんな大介を、シローラモは涼しい顔で見下ろした。

「どうしたんだい? この程度で、もう終わりか? 僕を止めるのではなかったのか?」

 からかうような口調のシローラモに、大介はギリリと奥歯を噛みしめる。

「あんたはそうやって、人間を上から見下していたんだろうが。あんたは永遠に、人間を見下すことしかしないんだ!」

 怒鳴りながら、大介は立ち上がった。だがシローラモは笑みを浮かべつつ、軽やかに舞う。

「そんなことより、君はここにいていいのかな?」

「な、なんだと?」

 困惑の表情を浮かべる大介に、シローラモは嘲笑うような表情を向ける。

「君は、本当に単細胞だな。おかしいと思わなかったのか? なぜ、僕がここにいるのかというと……君の目を、門のある場所から逸らすためだよ。本当の門は、地下にあるのさ。旅館の地下一階に、僕は門を出現させた。僕や下の階にいた三人は、ただの時間稼ぎだよ」

 その言葉に、大介の表情が歪む。確かに、異様な気を感じるのだ。気は膨れ上がり、今にもこの地を包み込もうとしている──
 大介の表情の変化を見て、シローラモはニヤリと笑った。

「今なら、君にもわかるだろう。冥界の亡者たちが今、地下より出現しているのさ。亡者たちは、人間を無差別に襲い殺していく。もう、誰にも止められないだろうね」

「ふざけるな! たかが亡者ごとき、俺が冥界へと押し戻してやる!」

 大介は吠え、階段へと向かう。すると、シローラモの声が聞こえてきた。

「バカなことはやめるんだ。奴らは、後から次々と現れる。いくら君でも、勝ち目はないよ。ここでおとなしくしているんだ。奴らも、ここには入って来られない。無駄死にする気かい」

「やってみなければ分からないだろ!」

 大介は階段を下りていく。その時、耳元にシローラモの声が聞こえてきた。

「正気かい? それとも、君は死ぬ気なのかい。死に急いでどうする?」

 これはテレパシーなのだろうか? そんなことを思いつつ、大介は怒鳴り付ける。

「あんたみたいに生き急いでいるわけでも、人類に絶望してるわけでもない!」

「一階は既に、亡者たちが溢れているはずだよ」

 またしても、耳元にきこえる声。大介は、階段を下りつつ叫んだ。

「大門の名は、伊達じゃない!」



 シローラモの言葉通りであった。一階にたどり着いた大介が見たものは、一階に溢れんばかりの亡者の群れだった。佑清や獅子虎らと違い、その目は虚ろで光が無い。まるでゾンビのようだ。
 大介は顔を歪めながら、亡者たちの前に立つ。まずは、群れを突破し門を閉ざさなくては。

「てめえら、よく聞け! この拳は大門の……いや、俺の魂だあぁ! てめえらごときに、食い尽くせるかあぁぁ!」

 叫びながら、大介は突進した。
 四方から、大介に襲いかかる亡者たち。だが大介の突きと蹴りを食らい、あっという間に倒される。
 大介は襲い来る亡者たちを強引に薙ぎ倒していき、地下に向かおうとする。しかし、敵の数が多すぎた。圧倒的な数の差に押され、出口まで後退する。

「ちくしょう!」

 吠える大介。しかし、亡者たちは止まる気配がない。逆に亡者たちの攻撃が、大介を襲う。さすがの大介も躱しきれず、何発もの重い打撃を受ける。知能は失われているが、その動きは生前のままだ……大介は後退し、思わず膝を着く。

「く、くそ……」

 これまでに大介は三人と闘い、どうにか討ち果たしてきている。が、その体は無傷ではない。さらに今、押し寄せて来る幾多の亡者たちと闘い……もはや、大介は満身創痍であった。
 だが、大介はなおも立ち上がる。

「負けられねえ……俺は負けられねえんだ!」

 言いながら、必死の形相で向かっていこうとする大介。その時、彼の肩を叩く者がいた。

「アンタは、しばらく休んでな」

 聞き覚えのある声だ。振り向くと、そこには白い巨獣が立っていた。イタチのような姿、赤い瞳、二メートルを超える巨体、そして透き通るような白い毛並み──

「ド、ドロイ! お前、何しに来た!?」

「あら、何しに来たって随分な言い方じゃないのよう。アタシは忘れてないわよ、アンタとの甘く激しい一夜を──」

「でたらめ言うんじゃないよドロイ!」

 叫びながら現れたのは口裂け女だ。今回は、最初からマスクを取っている。

「く、クチサケさんまで……」

「大介、この騒ぎが無事に終わったら……クリスマスイブを二人で過ごす件、考えてあげてもいいよ」

 言うと同時に、二人は亡者たちへと立ち向かっていく──

「やめてくれ! これは人間の問題だ! 妖怪には関係ない!」

 絶叫する大介。だが無情にも、闘いは始まってしまった。
 口裂け女の変幻自在の蹴り技が、亡者を次々とKOしていく。さらに、ドロイが群がる敵を薙ぎ倒していった。その様は、荒れ狂う怪獣のようである。亡者たちも、次々と蹴散らされていった。
 人間が相手なら、ドロイの巨体と勢いに怯えて逃げ去っていっただろう。だが、相手は感情なき亡者である。彼らに感情はなく、ただただ前進し生あるものを攻撃する本能のみで動いている。
 しかも、亡者たちは次々と出現して来る。さすがに、多勢に無勢の状況は圧倒的に不利だ。強者妖怪である二人も、数の力の前には徐々に押されていった。

「もう……もうやめてくれえぇぇ!」

 天を仰ぎ、大介は叫ぶ。すると、またしても声が聞こえてきた。

「結局……遅かれ早かれ、こんな悲しみだけが広がって地球を押し潰すのさ。ならば人類は、自分の手で自分を裁いて……自然に対し、地球に対して贖罪しなければならない。大介くん、君はそれがわからないのかい」

 嘲るかのようなシローラモの声が聞こえる。しかし、大介はそれを無視し立ち上がった。目の前で口裂け女が倒れ、ドロイがその巨体で庇っているのだ。
 亡者たちが、ドロイに一斉に襲いかかる──

「くそう! 動け! 動いてくれえ! ドロイ、今助けるぞ!」

 大介は、必死の形相でドロイに近づく。だが、既にドロイは亡者たちに囲まれてしまった。
 肉を打つような音が響き、白い毛が舞い散る──

「やめろ! やめてくれえぇぇ! そいつらは妖怪だ! やるなら、俺をやれえぇぇ!」

 叫ぶ大介。その時、彼の耳に奇妙な音が聞こえてきた。

 あれは、バイクのエンジン音か!?

 振り返ると、凄まじい爆音とともにこちらに近づく者がいる。一台の大型バイクと、それに跨がった革のツナギ姿の男だ。顔には、フルフェイスのヘルメットで覆われている……妖怪・首なしライダーだ。

「おい大介、情けねえなあ。こんな奴らにやられてんじゃねえよ」

 そんなセリフを吐いた直後、首なしライダーは亡者の群れにバイクごと突っ込んでいく──

「オラオラ! 首なしライダーさまのお通りだ! 邪魔する奴らは跳ね飛ばすぞ!」

 喚きながら、バイクは暴走していく。亡者たちは、次々と跳ね飛ばされていった。その間に、大介はどうにか立ち上がる。ドロイと口裂け女を助けるべく、必死の形相で近づいていった。

「二人とも! 今助けるぞ!」

 ふたりを、まとめて連れ出そうとする。しかし、さすがの大介も口裂け女とドロイを運ぶのは至難の業だ。特にドロイは、軽く二百キロを超える巨体である。手こずっている間にも、亡者たちが三人に迫っていく。
 その時だった。ひとりの亡者が、空中高く飛んでいく。
 続いて聞こえてきた、奇妙な声──

「だ、大介を……いじめるなあぁ!」

 かけ声と共に、またひとり亡者が吹っ飛んでいく。大介は、思わずそちらを向いた。
 そこには、バンダナを巻いた濃い顔の大男がいる。筋肉に覆われた体に、革のベストを直接着たとんでもないスタイルだ。恐ろしい勢いで、群がる亡者たちを片っ端からぶん投げている。
 こんなことが出来るのは、ひとりしかいない。

「お、お前は……投げ捨て魔人!」

 そう、かつて大介と激闘を繰り広げた妖怪・投げ捨て魔人である。その投げ捨て魔人が、大介に近寄ろうとする亡者たちを蹴散らしているのだ。
 大介は、胸に熱いものがこみあげてくるのを感じていた。だが、すぐに気持ちを切り替える。今はまず、口裂け女とドロイを助けなくてはならない。

「投げ捨て魔人! すまないが、ドロイを運んでくれ! 俺は、クチサケさんを運ぶから!」

 その言葉に、投げ捨て魔人は無言で頷く。直後、ドロイの巨体を軽々と担ぎ上げた。そのまま、一気に走っていく。

「大介! 早く口裂け女を連れ出せ! こいつらは、俺が引き付ける!」

 怒鳴ったのは首なしライダーだ。バイクで、亡者の群れの中を突っ切っていく。

「感謝するぞ! 首なしライダー!」

 叫ぶと同時に、大介は口裂け女を抱き抱える。そのまま、投げ捨て魔人の後を追い走って行った。
 森の中に、ふたりの体を横たえる。気を失ってはいるが、命に別状はなさそうだ。

「投げ捨て魔人! あの亡者どもを止めるぞ! 手伝ってくれるか!?」

 その言葉に、投げ捨て魔人は力強く頷いた。

「もちろんだ。人間も、動物の仲間。動物をいじめる奴は許さん」

「ありがとう! では、行くぞ!」

 ふたりは、亡者の群れの中に飛び込んでいった──



 投げ捨て魔人や首なしライダーと共に、亡者たちを倒していく大介。だが、亡者たちの勢いは止まらない。次々と出現してきて、大介たちに襲いかかる。さすがの強者たちも、多勢に無勢で徐々に押されていく。
 その時、どこからともなく声が聞こえてきた。

「大介! 助けに来たワン!」

 聞き慣れた声に、大介はぱっと振り向く。
 そこには、彼の心の友である送り犬がいた。牙を剥きだし、亡者たちに飛びかかる。
 さらに、もうひとり現れた。これまた、かつて激闘を繰り広げた自爆霊・ハイロウだ。ハイロウは俊敏な動きで、亡者たちを次々と倒していく。

「ハイロウ! お前も、俺を助けてくれるのか!」

 ここが戦いの場であることも忘れ、大介は叫んでいた。すると、ハイロウは彼を睨む。

「勘違いするな。お前を助けに来たわけではない。お前を倒すのは俺、それだけだ」

 言った直後、素早い動きで亡者に襲いかかっていく──
 大介は、感激のあまり天を仰いだ。かつて拳を交えた妖怪たちが、自分を助けるために体を張って戦ってくれているのだ。

「シローラモ! 見ているか!」

 天に向かい、大介は吠えた。天を睨み、さらに言葉を続ける。

「拳での語り合いで紡がれた、俺たちの絆を見ろ! 人間と妖怪はな、わかりあえるんだ! この絆をも否定するのなら、貴様こそがこの地球にとっての害悪だ!」







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