灰色のエッセイ

板倉恭司

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近所にいた動物の話(1)

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 私の実家から、歩いて十分ほどの場所に公園があります。
 今から二十年以上前の話ですが、その公園には馬が飼われていたのです。それも、二頭いました。
 当時の私は、幼い小学生でした。動物園にも、ろくに行ったことがありません。そんな私にとって、馬は魅惑的な動物でした。スゲースゲーと、よく見にいっていました。
 やがて、徐々に距離を狭めていき触れるようになりましたが……やがて、とんでもない事件が起きたのです。

 その日、私はひとりで公園に行きました。すると、片方の馬がさくから頭を出し、こちらを見ていました。もう片方は、柵から離れた位置にいたのです。
 私は、そっと近づいていきました。顔を出している馬に手を伸ばし、触れようとした時です。
 突然、背中に激痛が走りました。振り返ると、もう片方の馬がいつのまにか接近し、私のことをじっと見ていました。
 そこで、私はようやく何が起きたか察しました。馬が、私の背中に噛み付いたのです。
 次の瞬間、私は直ちにその場を離れました。激痛のあまり、泣きながら家に帰ったのです。幸いにも、大したケガではありませんでしたが……以来、馬には近づかなくなりました。その後しばらくして、公園から馬はいなくなりました。
 後に獣医さんと知り合い、この件について話しました。すると「馬に本気で噛まれたら、背中の肉がちぎれても不思議ではない。だから、その馬は小さい板倉さんに親しみを抱き、いたずらのつもりで甘噛みしたのではないか」とのことでした。そういう意図があったのなら残念ですが、当時の私にはわかりませんでした。



 ただ、これはまだマシです。うちの近所には、わけわからんペットショップ(?)があったのです。
 そこは、どう見ても普通の一軒家でした。そこそこの広さがあり、二階建てでブロック塀に囲まれていました。。門は鉄製で、家は木造だった記憶があります。
 そんな、どこにでもある家ですが……たまに、檻や籠や水槽などが、家の前の道路にずらりと並べられていることがあったのです。中身はというと、ウサギやハムスターやモルモットといった小型のペットが中心です。籠にはインコや文鳥と思われる小鳥が入っており、水槽には金魚やメダカやアメリカザリガニらしき生物がうごめいていました。
 そして、檻や水槽には値段の書かれた紙が貼られていました。これがまた、画用紙を名刺ほどの大きさに切ってマジックで数字を書き貼付けた……少なくとも、私にはそうとしか見えませんでした。
 しかも、店番らしき人物はひとりもいません。買うにはどうすればいいのかは、未だに不明です。誰かが買っている場面を見たこともありません。、
 それに、店番がいない。ため金を払わず持ち去ることも可能でした。もっとも、そんな場面に遭遇したことがなかったのは確かてす。
 とにかく、この怪しげな家が何のためにペットを売っていたのかは不明です。ただ、この家も私が中学生になるかならないかの時代には取り壊され、後は駐車場になっていました。




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