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「生娘シャブ漬け戦略」発言についての話
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先日ネットにて『生娘シャブ漬け戦略』なる言葉を目にしました。何事かと思いきや、大学のマーケティング講座において飛び出した言葉のようです。吉野家の常務取締役員が講師を務めていたとか。
吉野家では若い女性の集客に苦戦しており、こうした女性たちを取り込む戦略について、件の常務は「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら複数回発言したようです。「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、牛丼は食べなくなる」などと話していたとか。
まあ、言わんとするところはわからなくもありません。実際、若い女性にウケるというのは大事でしょう。ただ、言葉の選び方が致命的なんですよね。
この講師となった役員、いったい何歳なのだろうと思い、調べてみると四十八歳とのことでした。二〇二二年の時点で四十八歳ということは、一九七四年生まれ……つまり昭和四十九年生まれでしょうか。
正直、この年代というのは微妙な感じの人が多いんですよね。
この世代は、中学生あたりからヤンキー文化の洗礼を受けています。代表的なものが『ビーバップハイスクール』ですね。言わずと知れた、ヤンキー漫画の草分け的存在です。
ビーバップハイスクールがウケた一因に、リアリティというものがあると思います。それまでのヤンキー漫画が「日本最強」「これからは、関西をシメるぜ!」みたいなノリが大半でした。ところが、ビーバップハイスクールは等身大のヤンキー少年たちを描いていたのですよ。
さらに時が流れ、チーマーやカラーギャングなどという人種が登場します。ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』は大ヒットしましたが、この作品にて登場した窪塚洋介が演じていたキングことタカシは、当時の若者たち(すなわち昭和生まれの年代)のカリスマ的存在だったとか。聞いた話ですが、当時の不良少年たちを無作為に十人集めれば、確実にひとりはタカシっぽいのがいたそうです。
件の役員は、少年時代にそうしたものの影響をまともに受けてきたのですよね。
さらに、九〇年代あたりには……「不謹慎なことをギャグに出来る人間がセンスある」みたいな空気があったのです。
以前、雑誌の取材で同級生へのイジメを武勇伝のように語ったことが問題とされたミュージシャンがいました。今から考えれば恐ろしい話ですが、当時はああいった発言を笑って済ませるような空気が漂っていたのですよ。しかも、そうした発言を咎めると「これギャグだから」「こいつセンスない」などと言われ笑われる……そんな時代でした。もちろん、全ての人がそうだったとは言いません。ただ、不謹慎なことをギャグにする人種がいて、そうした人が一部でもてはやされていたのは確かです。
少年時代にヤンキー文化の洗礼を受け、さらに学生の時は不謹慎なことをギャグにする時代……件の役員は、そうして成長してきたのです。結果、ああいう発言が飛び出るわけですよ。
こういうオッサンは、実のところ少なくありません。セクハラパワハラをやらかすのも、この年代が多いようです。しかも、価値観のアップデートが出来ない人も多いのですよね。今回の件で、そういう不謹慎なギャグが通じる時代ではないという事実を受け入れ反省してくれることを祈ります。
蛇足になりますが、大ヒットした『東京リベンジャーズ』は完全に時代考証を間違えていますね。ああいうタイプのヤンキーは、昭和生まれの年代です。二〇〇〇年代の東京には、あんな少年はいません。今の時代、ヤンキーというのは異世界ものにおけるエルフのような存在なのでしょうね。
吉野家では若い女性の集客に苦戦しており、こうした女性たちを取り込む戦略について、件の常務は「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら複数回発言したようです。「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、牛丼は食べなくなる」などと話していたとか。
まあ、言わんとするところはわからなくもありません。実際、若い女性にウケるというのは大事でしょう。ただ、言葉の選び方が致命的なんですよね。
この講師となった役員、いったい何歳なのだろうと思い、調べてみると四十八歳とのことでした。二〇二二年の時点で四十八歳ということは、一九七四年生まれ……つまり昭和四十九年生まれでしょうか。
正直、この年代というのは微妙な感じの人が多いんですよね。
この世代は、中学生あたりからヤンキー文化の洗礼を受けています。代表的なものが『ビーバップハイスクール』ですね。言わずと知れた、ヤンキー漫画の草分け的存在です。
ビーバップハイスクールがウケた一因に、リアリティというものがあると思います。それまでのヤンキー漫画が「日本最強」「これからは、関西をシメるぜ!」みたいなノリが大半でした。ところが、ビーバップハイスクールは等身大のヤンキー少年たちを描いていたのですよ。
さらに時が流れ、チーマーやカラーギャングなどという人種が登場します。ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』は大ヒットしましたが、この作品にて登場した窪塚洋介が演じていたキングことタカシは、当時の若者たち(すなわち昭和生まれの年代)のカリスマ的存在だったとか。聞いた話ですが、当時の不良少年たちを無作為に十人集めれば、確実にひとりはタカシっぽいのがいたそうです。
件の役員は、少年時代にそうしたものの影響をまともに受けてきたのですよね。
さらに、九〇年代あたりには……「不謹慎なことをギャグに出来る人間がセンスある」みたいな空気があったのです。
以前、雑誌の取材で同級生へのイジメを武勇伝のように語ったことが問題とされたミュージシャンがいました。今から考えれば恐ろしい話ですが、当時はああいった発言を笑って済ませるような空気が漂っていたのですよ。しかも、そうした発言を咎めると「これギャグだから」「こいつセンスない」などと言われ笑われる……そんな時代でした。もちろん、全ての人がそうだったとは言いません。ただ、不謹慎なことをギャグにする人種がいて、そうした人が一部でもてはやされていたのは確かです。
少年時代にヤンキー文化の洗礼を受け、さらに学生の時は不謹慎なことをギャグにする時代……件の役員は、そうして成長してきたのです。結果、ああいう発言が飛び出るわけですよ。
こういうオッサンは、実のところ少なくありません。セクハラパワハラをやらかすのも、この年代が多いようです。しかも、価値観のアップデートが出来ない人も多いのですよね。今回の件で、そういう不謹慎なギャグが通じる時代ではないという事実を受け入れ反省してくれることを祈ります。
蛇足になりますが、大ヒットした『東京リベンジャーズ』は完全に時代考証を間違えていますね。ああいうタイプのヤンキーは、昭和生まれの年代です。二〇〇〇年代の東京には、あんな少年はいません。今の時代、ヤンキーというのは異世界ものにおけるエルフのような存在なのでしょうね。
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