灰色のエッセイ

板倉恭司

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小学校を訪問する人の話

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 私は、昭和生まれなのであります。
 今から考えると、本当にありえないような緩さと厳しさが同居していた時代でした。今回は、その一部を紹介します。



 以前にも書きましたが、私のいた小学校には、近所の犬が定期的に入り込んでいました。昼休みになるとフラッと現れ、嬉しそうに校庭を走り回るのです。小学生たちは「犬が来たぞー」と、楽しそうに犬と遊んでいました。教師たちも、知らん顔をしていたのです。顔なじみの犬でして、こいつなら何もしないだろう……とばかりに放置されていました。今なら通報され、警察もしくは保健所の職員が来るでしょうね。
 まあ、犬ならまだマシでしたが……たまに、OBの中学生や高校生なんかも来てました。小学校に『クローズ』『東京リベンジャーズ』にでも出て来そうな格好のヤンキーが、放課後の小学校をうろうろしているのですよ。
 こいつらが小学校に何の目的で来ているのかと言いますと、要はイキりたいだけです。小学生が相手でないとイキれない、中途半端な奴なんですよ。中学校に行ったりすると、当然ながら怖そうなヤンキーが出てきて「おいコラ、お前誰だよ?」みたいな展開になります。そこで名乗ったところで「はあ? OB? 知らねえなあ!」と返され、挙げ句に人目につかないところに連れ込まれボコられるのがオチだからです。
 私の小学校には、この手のやからが月に二度くらいの割合で来ていました。
 
 時には、生徒の親が入って来ることもありました。放課後、真っすぐ帰らず校庭で遊んでいると、母親がずかずか入り込んで来て「あんた! 何やってんの! さっさと帰って来なさい!」と怒鳴られて一緒に帰る……みたいなことが、ウチの学校では珍しくなかったですね。
 ひどいのになると、父親が入って来ることもありました。遊んでいる息子をぶん殴り、無理やり引きずっていく……そんなことも、ちょいちょいありました。
 ちょっと話はズレますが、当時は子供を殴る蹴るが当たり前の時代でした。子供への暴力が「教育の一環」「愛の鞭」なる言葉でまかり通っていたのです。そういえば、某ロボットアニメでは「殴ってなぜ悪い。殴られもせず一人前になった男などいるものか」などというセリフもありましたね。
 小学生が痣の付いた顔や、腕に包帯を巻いた姿で登校し「昨日、親父にやられた」なんていうケースはざらでした。
 話を戻しますが、当時は普通に生徒の親が学校に入って来ていたのですよ。これは他の学校の話ですが、無職の父親が学校に入り込んで校庭に鉄棒で遊んでいたこともあったとか。いろんな意味で凄いです。


 
 そして時代は変わり、令和となりました。今では、小学校に不審者が入ってきたら真っ先に通報されます。これは、やはり池田小事件の影響でしょうね。
 この池田小事件とは、二〇〇一年の六月八日に大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校で発生した無差別殺傷事件です。当時二十八歳のT(死刑となりました)が校内に侵入した後、同校の児童八人を殺害し、十五人を負傷させました。日本の犯罪史上でも、稀に見る無差別大量殺人事件です。
 こんな事件は、二度と起こしてはいけません。ですから、部外者が入れなくなった今のシステムは、とてもいいと思います。少なくとも、小学校に入って来る大人などロクなものではないのは確かです。








 
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