灰色のエッセイ

板倉恭司

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礼儀の話

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 今回は、礼儀というものについて語ります。念のため書いておきますが……私はマナー講師であるとか、そうした類いの者ではありません。正式な礼儀に関して知りたい方は、ネットで調べるか本を読むかしてください。



 基本的に、チンピラという人種は礼儀正しくありません。明らかに年上の人間が相手でも、友達に対するような口調です。俗に「タメ口」と呼ばれる喋り方ですね。さらに「~でぇ」「~だからぁ」などと、語尾を伸ばすケースが多い気がします。正直、喋っていて良い気分にはならないですね。
 まあ十代ならともかく、二十歳を過ぎて社会人になっているのに、こういう喋り方をする人には……基本的には、お近づきにならない方がいいでしょう。いい年齢になっているのに、最低限の礼儀すら用いて接しようとしない……つまりは、こちらのことを「どうでもいい人間」だと判断している可能性が非常に高いです。
 そういう人間と仲良くなると、往々にしてこちらのテリトリーにズカズカ踏み込んで来ます。暇さえあれば連絡してきて、いいように使われます。家に招こうものなら、勝手にいろいろなものに手を触れ、いじり回したりします。
 下手をすると、そこからさらにズカズカ踏み込んで来て、気がつくと訳のわからないまま犯罪の片棒を担がされる可能性があります。
 チンピラという人種は、目の前にいる相手が自分より下だと判断した場合、ぐいぐいと接近し無理難題を押し付けてくるケースが多いです。この手の人間には気をつけてください。



 ただ、礼儀正しい人は全て善人かというと、そうでもありません。
 わかる人には頷いていただけるネタかと思いますが、ヤクザや半グレという人種は、ものすごく礼儀正しかったりします。明らかに年齢が下の人間が相手でも、腰の低い態度で敬語を使い接して来たりします。 
 捨て犬に優しくするヤンキーの好感度が爆上がりするのと同じ原理で、礼儀正しいヤクザというのも、好感度は爆上がりします。たまに「同じヤクザでも、偉い人間は人としてもしっかりしていて礼儀正しい」などと、したり顔で言うヤカラがいたりしますね。恐らく、こういうタイプのヤクザと接した経験からでしょう。
 ただ、ひとつ注意して欲しいことがあります。実のところ、こういうタイプのヤクザは本当に怖いのですよ。
 礼儀正しさに惑わされて付き合っていくうちに、ヤクザはこちらの生活についての情報を探り出していきます。さらに、話の流れで昔の秘密なんかをポロッと言ってしまうこともあるかもしれません。
 そうしたことを、ヤクザは全て覚えている場合もあります。で、ある日いきなり豹変するのですよ。突然、おかしな場所に呼び出され、ホイホイ行ってみるとガラの悪い男たちに囲まれ、無理難題を要求される。断ると、これまでの付き合いで口を滑らせてしまったことを突かれる……これ、意外と少なくないんですよ。
 たまに、大企業のエリート社員がしょうもない犯罪で逮捕されることがありますが、往々にして裏でヤクザや半グレが絡んでいるケースもあります。そうした犯罪のきっかけが、礼儀正しい反社の人たちと接しているうちに深みにハマッていった……というような些細なことだったりします。
 
 最後になりますが、私の言いたいことはひとつです。反社の人たちと仲良くしても、いいことはありません。付き合いをやめろとは言いませんが、ほどほどにしておいた方が無難なのは間違いありません。 





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