化け猫のミーコ

ばい菌

　ひとりの少女が泣いてた。
　泣きながら、道を歩いてた。
　そこに現れたのは、一匹の黒猫。
　瞳は緑で、尻尾は二本。
　不思議な不思議な、喋る猫
　黒猫は聞いた。
　お前、何を泣いてるニャ？　
　少女は答えた。
　クラスのみんなが、ばい菌ばい菌言ってくる
　すると、黒猫は笑った。
　なら、その通りにしてやるニャ

　翌日、少女は学校に行った。
　クラスメイトが、ばい菌ばい菌言ってきた。
　少女は泣いた。
　だけど、クラスメイトは笑ってた。
　楽しそうに笑ってた。
　ゲラゲラ、ゲラゲラ笑ってた。

　翌日、少女は学校を休んだ。
　クラスメイトは、みんな入院した。
　見たこともないばい菌にやられ、みんな入院した。
　顔は湿疹だらけ。
　食べても食べても、吐き戻す。
　熱は高いし、頭もぼんやり。
　学校は閉鎖した。
　クラスメイトは、もう笑うことはない。
　ただ、ベッドで寝ていることしか出来ない。
　
　少女は笑った。
　久しぶりに、声を出して笑った。
　もう、学校に行かなくていい。
　不思議不思議、少女だけはすぐに治った。

　黒猫は首をかしげた。
　不思議そうに、首をかしげた。
　あいつらみんな、ばい菌ばい菌言って笑ってたニャ。
　よっぽど、ばい菌が好きかと思ったのニャ。　
　だから、ばい菌に感染させてやったのニャ。
　なのに、みんな笑ってないのニャ。
　ま、あたしにはどうでもいいことだけどニャ。