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冗談じゃない!

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 若葉を付けた白樺が、風に煽られて一斉に音を立てる。小さい頃は何度も通った外苑も、夜更けに訪れるのは流石に初めてだ。
 昼間は木漏れ日できらきらした林も、夜には真っ暗で木々の影が得体のしれない何かに見える。
 明かりを求めてランプに近づくと、結果的にレナ―ト王子と肩を並べる事になる。

「怖い?」

 横目で私を見て、レナート王子が尋ねる。
 怖いと言うのは癪だから、私は何も答えずにただ澄ましてツンと顔を上げる。

「リーリアでも、夜の外苑は怖いんだね。こんな小さな事で怯えるなんて知らなかったよ」

 私だって女の子だから、怖いものはある。それに、夜の森を馬鹿にしてはいけない。

「お言葉ですが、レナート王子。私の故郷では、夜は外に出るのを禁じられていました。視界も悪く、何に襲われるか分からないからです」

 笑う気配の後、耳元に近い場所で揶揄うように囁かれる。

「外苑にはそんな心配ないと思うけどね。もしかして、君はお化けでも怖いのかな?」

 別に、お化けとかが怖いのを隠す為の主張じゃない。

「ち、違います」

 払い退けるように手を振ると、私はそっぽを向いて口を閉じる。会話が途切れると、木々のざわめきと私達の足音だけが残る。
 とても静かだった。放っておけばどこまでも、何も起きない時間が続く様な気がする。でも、いつまでも黙り込んでいてもしかたない。

「最後の意味、ここに連れて来た理由を教えてください」

 小さな枝を踏んむと、その音が林の中に響く。

「何度も言うけど、罪滅ぼしの散歩」

 だから、その罪滅ぼしの散歩とは一体何なのか。
 柔らかなランプの光に照らされたレナート王子の顔を睨みつける。

「君とは何の関係もないけど、色々お世話になったからね」

 意趣返しとも思える嫌味を言ってナート王子が、小さく声を立てて笑う。

「そうですね。何も関係ないけど、私も貴方にお世話になった気がします」
「そう。奇遇だね。じゃあ、この外苑も懐かしい気がしない?」

 木々を縫う道を抜けて、小さな野原に出る。
 白樺の林と、下に川が流れる崖に挟まれたここは、幼い私達の思い出の場所。
 そして、二年前の婚約の申し出の後に、レナート王子が私に未来を求めた場所だった。
 気持ちを振り払うように、強く頭を振る。

「あの日、レナート王子に婚約破棄されて、私は身に覚えのない罪で囚われました。私の言い分は聞き届けられることなく、私の罪だけが追及されています」
「意外と詳しいね。誰から聞いたの? デュリオかな?」

 さりげなく出された名前に首を振る。私が『うん』と言うと思ったら大間違いだ。

「獄吏の少年から聞きました。私が『悪女』で有名だって言われました。『魔女』で貴方を操っていたとも言われました。あと、ディルーカ家の屋敷が捜索されて、私の悪事の証拠が見つかったとも言ってました」

 僅かに私の方に顔を向けて、レナート王子が何を考えているのか分からない暗い眼差しで私を見る。

「それで?」
「それで? それでって、何ですか? 私には何一つ覚えがありません」

 思わず声を荒らげる。
 私の証言をもみ消したのも、調査を主導しているのも『教会派』だ。私の罪を声高に喧伝する教会長は、古くからのセラフィン貴族の筆頭アベッリ侯爵家。彼の娘は、レナート王子の母であるニ妃シルヴィア様。『教会派』の頂点に立つのはレナート王子に他ならない。

「もう分っているよね、リーリア?」

 その言葉に私は黙り込む。レナート王子の月の光みたいな長い髪を風が攫う。

 二年前、婚約の申し出の後にレナート王子は、この場所で私をずっと好きだったと言った。跪いて手を取って、側で支えて欲しいと願った。
 過ぎった感傷が、僅かな希望を私に抱かせる。

「穏便に澄ます事が出来た筈の婚約破棄を、貴方は殊更酷い方法で行った。それを合図にしたような悪い出来事の数々。理由があるなら話して。ちゃんと話してくれたら、私は貴方を友としてならまだ信じられる」

 私の言葉に、あの日泣いていた人は、今日は柔らかく微笑んで全く反対の言葉を告げる。

「全ての責任は私にあるんだろうね。信じる必要はない。ちゃんと話すよ。私はね……私は君が大嫌いだよ。素直で楽し気で気安くて、落ち込んでも立ち直るのが早くて、手に入れたのに隣にいたと思えたことがない。いつだって少し前を歩いてる。そんな君には、私の側にいて欲しくない」

 気付かないうちに零れ落ちた一筋の涙を拭う。たった一粒、これ以上の涙を私はこの人に見せたくない。
 
「それが理由なんですか? 私を陥れた」

 血が出るほど強く唇を噛んで、絞り出した言葉にレナート王子は答えなかった。私の髪に手を伸ばして、一筋すくって口づける。

「君の処刑が五日後に決まったよ。名目は大逆罪になる。私の婚約者であるソフィアの命を狙ったんだから妥当な罪だよね。この処刑には、ひっそりと噂が流れるだろう。『魔女』の処刑だとね。一体、どんな風に何処まで影響していくのかな。どう思う?」

 パンと頬を打つ音が、闇に吸い込まれる様に響いた。打った右手が熱く脈打つ。
 叩かれた頬をなぞった手で、レナート王子が冷たい白金の髪を掻き上げる。

「今夜はこれで二度目だな。私はついてない」

 もう、何を言えばいいのか分からない。激しい怒りと、失望と、混乱で胸の名はぐちゃぐちゃだ。

「何をしようとしているの? 私の事を利用して、何処まではめようとしているの?」

 無言でレナートが肩を竦めて微笑む。
 少なくとも私の父リエト・ディルーカに影響が及ぶのは必至だ。父は『旧国派』の筆頭的な存在だから、失われれば『旧国派』全体にも大きな影響が出る。
 
 こんな事になるとは思ってなかった。一体何処で、何を間違えたのか。
 少なくとも、私がレナート王子を選んだ時にはこんな未来を私達は描いていなかったはずだ。

「嘘つき! 大っ嫌い!」

 大きな声で叫ぶと、レナート王子が吐息交じりに笑う。
 なんで、ずっと笑っていられるのか。腹立たしくて、私は拳を握ってレナートの胸を打つ。

「裏切者! 大っ嫌い! 馬鹿! 大っ嫌い!!」
「知っている。だから、少しだけ罪滅ぼしをしてあげるよ」

 そう言うと、胸を何度も打つ私の手を取って、レナート王子が乱暴に崖の方へと歩き出す。

「離して! 何?!」

 振り払おうとした瞬間、耳元に風を切る音が聞こえた。薄い月の僅かな明かりしかない暗闇の中で、私たちの少し先の地面に矢が突き刺さる。

 レナート王子がランプを投げ捨てると、私を庇うように背負って剣を抜く。再び暗闇の中で、ひゅっと言う音が続けて聞こえて、レナート王子が剣を振う。足元に二つに断ち切られた弓が転がる。

 何? 一体何が起きているの?

 私を守る様に立つ背中から、矢が打たれていると思われる白樺林を見る。
 僅かに月明かりがあるこちらよりも、より暗くて様子が全く分からない。

「レナート王子、何――」
「しっ、リーリア。黙っていて。弓の音が聞こえなくなる」

 風を切る音が繰り返し聞こえて、時折レナート王子が剣を振う音が続く。
 からん、と私の足元で石が崖下に転がる音が響く。矢の攻撃に押されて、気付けば私達は崖の淵に立っていた。

「リーリア、大丈夫?」

 レナート王子が慌てたように私を振り返って、引き寄せようと手を伸ばす。その瞬間、一本の矢の影がすぐそばを掠めた。

「――っ」

 短いうめき声を上げてレナート王子が脇腹を抑える。

「矢が……!」

 真っ赤な血が溢れ出すのが見えて、とっさ手を伸ばす。触れるより先に強く払われてしまう。

「触るな!! っつ……。ごめん、リーリア。大丈夫だから、静かにしてて」

 言って、また剣をレナート王子が振うと二つに折れた矢が足元に転がる。同時にレナート王子の体が揺らいで、その場に膝をつく。

「レナート王子!」

 庇うように側に膝をついた私の耳元を、掠める矢の音が過ぎる。
 どうしたらいい? ここを切り抜けるには、私は何をすればいい?

 短く苦し気な息遣いにせかされる様に、大地に慌てて禁忌の魔術を書く。
 使っては駄目だけど、もうこれ以外には出来る事はない。黒ずくめの男が私の道を塞いだように、土を生んで壁を作ればきっと……。

 震える指で魔術を書く私の腕を、レナート王子が掴んだ。顔を上げると、レナート王子が悲しそうな眼差しで私を見つめる。

「ごめん。リーリア。本当に、ごめんね。君を……」

 ぐらりとレナート王子の体が崩れて、崖の方へと倒れる。抱きしめて止めようとしたけれど、支えきれずに崖へと押し出される。

 一瞬何が起きたのか理解できなかった。
 まっすぐ落ちていく感覚に気付いた瞬間、レナート王子の体を強く抱きしめる。

 なんでこんな事になったのだろう。
 一体何が起きたのだろう。
 なんで、最後に貴方はあんな目で私を見たのだろう。

 死を覚悟したからなのか、綺麗な思い出ばかりが私の頭を走馬灯のように過ぎっていく。

 私は何を思ったのか、何を願ったのか。
 レナート王子の腕が、私の体をはっきりと抱く。

 冷たい水に飲まれるよりも早く、私の意識は闇に落ちた。
 


 ……。
 ……。……。 

 冷たいなって思った瞬間、水の流れていく音がすぐ近くに聞こえ始めた。

 川、近い? 服、……張り付いて気持ち悪い……。私、どうしたんだっけ?
 指先に力を入れると砂利を掴む音がした。途端、体中に痛覚が一斉に戻ってくる。

 手が痛い。足が痛い。背中が痛い。特に脇腹、凄く痛い!

「――っう」

 カーテンを開かたかのように、急に視界が戻って体を起こす。

 暗い……。夜だ……。

 冷えた手で痛むわき腹を抑えると、生暖かい血の感触がする。

 血……? どうして? これは怪我?
 酷く頭がぼんやりとする。下半身を攫おうとする川の音を聞きながら記憶を辿る。

 懐かしい場所。裏切りの言葉。風を割く弓の音。腕をとられて……。
 そう……だった。私は、レナート王子と一緒に川に落ちた。それで、流されてここに辿り着いた。

 少しずつ戻ってきた記憶の一つに、私ははっと息を飲む。
 レナート王子は? 彼こそ酷い怪我をしていた筈だ。
 
 慌ててレナート王子を探して周囲を見渡す。西へと傾きだした月。遠くの木々。後ろを流れる川。そして、倒れた私。んっん……私?!  

「はぁああああ?!」

 あり得ない光景に私は叫ぶ。なんだか驚き過ぎて、低い雄たけびになってしまった。でも、そんな事は今はどうでもいい。

 目の前の光景を私は凝視する。水に濡れた長い紺青の髪。所々が破れた罪人が着る黒いドレス。瞼を閉じた苦し気に歪んだ顔。間違いなく目の前にいるのは私、リーリア・ディルーカだ。
 ここは河原で、鏡なんてない。私がまるで一人の別人のように、私のすぐ側に倒れている。
 川辺で浅い水の中に座り込んだまま、私は口を開く。

「な、なんで? なんで、私が私の隣――」

 呟いた声を途中でとめる。耳慣れない声だった。体の中から確かに聞こえる私の声なのに、私の声とは思えない程低い。
 恐る恐る血の付いた手で喉に触れる。私が自分と理解するものよりずっと太い。ごくりと唾をのむと、無い筈の喉仏が上下した。

「あ、あれ? あれれ? 私、変? なんで……それに、私がそこに倒れてて……。そう倒れた私!」

 もう頭が混乱しすぎて、何から対処していいか分からない。
 自分に起きた事を放り出して、倒れた私に手を伸ばす。ところが、今度は伸ばした手の大きさと、纏う服の白い袖を見て、更に深い混乱に陥る。

 結果、右手は倒れている私を揺さぶり、左手は動いている私自身の顔をまさぐるおかしな事態になってしまった。

「私……! そっちの私、大丈夫! こっちの私、どうなってるの?!」 

 倒れている私が、揺すられて短いうめき声をあげる。

「うぅ……」
「あぁ、そっちの私! しっかりして!」

 言葉と同時に左手の下で、ちょっと違和感のある私の唇が動く。

「ぎゃああああああ!! こっちの私、やっぱり変?!」

 忙しなく二つの自分の間で右往左往を繰り返す。
 ダメだ……。私、落ち着け。二度三度深呼吸を繰り返して、私はぎゅっと目を閉じる。
 ごめん私! 大きな二つの手で自分の頬を思いっきり叩くと、目の覚めるような音と共に両頬に痛みが走る。凄く痛いけど、これで喝は入った。

 まずは、倒れている私に顔を近づける。
 眉を寄せて不快そうではあるけど、規則正しい呼吸が聞こえた。揺すっても起きないけれど、僅かに反応はある。意識を失っているよりも、深く眠っているのだろう。

 次に怪我がないか、体に触れる。頭には出血はない。見える範囲の腕や足も、かすり傷はあるけど大丈夫そうだ。体……と濡れた胸元に手を伸ばして、目に映った大きな手を慌てて引っ込める。
 これ以上、この大きな手で触れる事には抵抗があった。

 安堵の息を漏らして、川の方へ向き直ると水面を覗き込む。
 今度は、こっちの私の番だ。私に一体、何が起きたのだろう?
 でも、月明かりでは暗くて、流れる川には歪んだ影しか映らない。

 仕方ないので、べっとりと血がついた脇腹の傷を川の水で洗い流す。真っ直ぐな切り傷からは、まだ少し血が流れているけれど致命傷という訳ではなさそうだ。
 命に関わらないと分かると、少しだけ気持ちに余裕が出てくる。

 そのまま、視界の端に映っていた胸に触れる。筋肉のついた逞しい胸板には、多少はあった女性らしい膨らみはない。
 銀の縁取りの上着の飾り紐を軽く引く。この服は、見た事がある。
 それから自由に動く手を見つめる。大きいのに節の少ない長くて白い指。この手も私は、よく知ってる。

 私が自由にするこの体が、私のものではない確信がある。誰れかという予感も、私にはもうはある。

「でも、こんな事あるわけがない。きっと悪い夢……」

 それでも、容易に受け容れる事ができず、自分に夢だと言い聞かせて目を閉じる。何も見なければ、これ以上真実を突きつけられる事はない。

 小さな砂利の音に、束の間の逃亡が破られる。倒れた私が起きたのではと期待して慌てて目を開けたけど、体をよじっただけでまだ目は覚ましていなかった。

 そっちの私は誰なのだろう? やっぱり貴方なのだろうか? 起きたら貴方はどうするの? 
 長い足を引き寄せて膝を抱えると、私は倒れた自分を見下ろす。

「うんんっ……」
 
 倒れた私が、寒そうに一層体を小さくする。暖かくなったとはいえ、濡れた体で過ごす夜は寒い。このままだと、体の熱が奪われて危険かもしれない。
 それに、……。落ちた前の状況を思い出して舌打ちする。

 あの時、私と彼を襲った者は、今何をしているのだろうか?
 これが悪い夢だとしても、私は決断しなくては駄目なのかもしれない。

 腰に下がった剣を鞘から抜くと、刀身が月の光を反射して柔らかく光る。まっすぐに横に掲げて、そこに映る姿を、目を逸らさずに見つめる。

 白い刃に浮かぶ、秀麗な顔。冬の月みたいな銀に近い薄い金の髪。冷たく深い知性的な紫の瞳。自分自信に今の姿をはっきりと突き付けて、漸く私は自分がどうなったのかを受け容れる。

 今の私は本当の私である伯爵令嬢リーリア・ディルーカではなく、この国の第一王子レナート・セラフィン。

 ……冗談じゃない! こんなの嘘! やっぱり……受け入れたくない!
 
「よりにもよって、なんでレナート王子なの?!」
 
 薄々は予感してたけど、これは最悪だ。

「私を棄てた人。私を陥れた人。今一番、側に居たくない人じゃない!」

 私は唇を噛み締めて、罪人が着る黒いドレスに身を包んで倒れた私を見つめる。

「私が貴方なんて、冗談じゃない」

 落ちる前に全てを責めたあの時、レナート王子は一連の出来事への関りを仄めかして、確かに否定しなかった。でも……最後の瞬間の眼差しが過ぎる。

 複雑な気分で倒れた私を見下ろす、小刻みに震える唇は寒さに少し色を失い始めている。その頬にそっと手を当てると、震えが一瞬止まる。

 ここに倒れているのは、間違いなく私だ。でも、この中には私はいない。中にいるのは私以外の誰か。
 消去法でいくなら一人の人物しかいないのだろう。

「貴方が私なのも、冗談じゃない」

 棄てられて陥れられた私と、棄てて陥れたレナート王子。これから、私達はどうなるのだろう?

 城に戻れば、処刑の日には私の体は死ぬ事になる。
 なら、死ぬのはどちらか? 元の体に戻った私か? それとも私の体に留まるレナートか?

 城にもどらない。一瞬頭を掠めた選択肢に首を振る。一国の王太子が関わって、逃げ続けられる訳がないだろう。

「レナートを助けるのは御免。レナートに助けられるなんて御免。でも、私が私を見棄てる訳にはいかない」

 倒れた私の背中と膝の間に手を差し入れる。ぐっと膝に力をこめると、わき腹が痛む。

「痛いけどーーー、今の私は男の子!」

 勢いよく立ち上がると、案外簡単に私の体は持ち上がった。
 私が私を持ち上げるなんて変な感じだけど、端から見ればレナートが私を抱き上げているだけでしかない。

「なんだか変なの……」

 ため息交じりにぼやくと、腕の中の私が暖を求めて胸に体を預ける。安らいだ顔に、何だか無性に泣きたくなる。

「貴方の為なんかじゃない! 全ては、私の為! 私……レナート王子である事を徹底的に利用してやるから!」

 誰かが聞いてくれている訳じゃないけど、大きな声で私はそう宣言する。
 くよくよと落ち込んだり、立ち止るのは嫌いだ。どんな時だって、楽しみながら出来る事を精一杯する。それが私の取り柄。
 
 遠くに見えるお城の灯りの方角に、私は一歩足を踏み出す。

 これから、私はレナート王子としてお城に戻る。そこで、私に着せられた汚名を晴らし、処刑を止めてみせる。
 レナート王子にはたくさん迷惑が掛かかる事になるだろうけど、それは婚約破棄の代償として我慢してもらうしかない。


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