28 / 52
第1章
特別編 木春会議
しおりを挟む(春川side)
昼休み、水無瀬は前日の欠勤のしわ寄せが来て休憩を取れずにいたため、木田と2人で会社の目の前の定食屋に来ていた。
「やっぱこの店のトンカツうまいわ」
「...太るよ」
大盛キャベツに大盛ご飯にトンカツ大。スリムな木田のどこにこんな量の食材が入っていくのか不思議で仕方がない。
「春川さ、水無瀬のどう思う?」
「どうって?」
「俺だったらさぁ、好きになった子が来るもの拒まずで誰にでも股開いてたら耐えらんねぇ」
言い方他になかったのか...でも、
「まぁ普通無理だよね」
「あいつ、大学のとき、割とずーっと彼女いたけど今ほどのめり込んでる感じではなかったよな」
水無瀬と木田とは大学からずっと一緒にいる。そのころの水無瀬は彼女がいるくせに、ほとんど恋愛に興味がなさそうだった。彼女達の方も最終的にはそれを感じとって離れていっていた。
「実は初恋だったりして」
「そうなら余計に、あいつ潰れそう」
潰れそう...確かにそんな表現は正しいかもしれない。
水無瀬は仕事も運動もできるし、見た目も良い。すごく社交的という訳ではないが、人柄のよさが纏っている雰囲気に表れているように思う。だから好かれるのだろう。
そのくせ、変なところで不器用で臆病なのだ。本人は気づいていないかもしれないが、ふとしたときにいつもの強気な態度の合間に不安そうな顔をする。水無瀬を支えている足場はきっと見た目ほど強くない。
「了くんは水無瀬の傷を抉る気がする」
「心配なんだ?木田のくせに優しいね」
「あ?お前だって...」
「僕はね、思いっきり抉られて傷つけば良いと思うんだ。それを癒せるくらいに了くんが良い子なら、の話だけどね。そうでもしないと、あいつは自分が立ち止まったままだってことに気づきすらしないよ」
「うわぁ...荒治療かよ。春川君は怖いねぇ」
最後の方はいつものふざけた木田の声だった。
「つーか、いつになったら紹介してくれるんだろ」
「んー、早く会ってみたいけどねー。付き合ったら紹介してくれるんじゃない?」
「じゃあ、早く上手くいってつきあっちまえ!んでもって、撃沈した水無瀬のファンは俺のところに流れてこいっ」
「木田のところに流れたら食われるから...」
「そんなん当たり前だろ」
「やっぱり最低」
「あーでもやっぱり、そろそろちゃんと彼女ほしいかな...」
真剣な顔して呟く木田にまともな彼女ができるかはさておき、水無瀬には大切な人を見つけてほしい。ブランド感覚で近づいてきたこれまでの彼女達とは違う了くんに少し期待してしまう。
上手くいくといいな、水無瀬...
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる