センスレスシンドローム

第１章

部屋で

家に着いたのは昼過ぎだった。まだ六月なのに暑すぎて、嫌になる。汗だくになりながら部屋に入り、シャワーに直行した。


結局、昨日は意識を飛ばしては叩き起こされるというのが三、四回繰り返された。おかげで腰はダルいし、後ろはじんじんと痛む。


はぁ......俺なにしてんだろうな...


熱いシャワーを浴びながらボーッとした頭で考える。身体の痛みがどうしようもなく虚しくて、それをどう消化すればいいのかわからない。


セックスして意識なくして、そのまま目が覚めなければいいのに...


それなら...俺は......


くそっ、と膝で目の前の壁を蹴ると、膝に血が滲んだ。足を伝って流れていく血も、なにもかも全部、自分の責任だ。


「こんなクズに大金払ってバカな男たち......」


本当に愚かなのがどちらかなんて考えたくもない。カラカラと乾いた笑いが浴室に響いた。













シャワーから上がり、一人掛けの小さいソファの上に膝を抱えて座る。昨日の重苦しい空気は消えていて、安心して目を閉じた。


しばらくして、冷や汗をかいてうっすらと目を開ける。


......寒い


そんなはずはない。さっきまであんなに汗だくだったのに。中からも外からもスッと冷えていく感覚に、身震いした。


ダメだ...こんなんじゃ眠れない


こんなとき、了の知っている対処法は一つだけだ。急いで立ちあがり、デニムとTシャツを着て、部屋を出る。


本当は二日連続で客をとるのは好きじゃない。身体、ツラいし。でもあの部屋に戻りたくないなら、今夜の相手を探すしかない。