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二人の出会い

プロローグ

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 カツカツとヒールが鳴る音が隣から聞こえる。時折カッと鳴るのは小石を蹴った音か。

「随分と陰気臭い呪禍じゅかですこと」

 恵麗奈えれなが薄ぼんやりとした月明かりの下でポツリとそう呟いた。

 金糸のような長い髪を柔く巻き、青い瞳と相まって西洋人形のような美しい少女。そんな彼女の声音にはウンザリしたような色が浮かんでいた。

 呪禍。

 それは力を持ったあやかしが創り上げた箱庭といえるべき場所。今回のターゲットは随分と寂しい世界を望んだようだ。

 目の前に広がるのは墓場。それも現代の管理された霊園といった、穏やかな時が流れる場所などでは決してない。
 
 そこは映画で見た戦国時代の合戦場跡のようだ。野晒しの死体が無数に転がり、白く濁った目をしたからすがそれをついばんでいる。時折見かける白骨死体は彼らの食事の成れの果てか。

 そんな光景をなぜ墓場と称したか。それは所々に苔むした墓石が、先ほどから何個も置かれているから。

 刺さった卒塔婆そとばは生暖かい風に揺られて悲し気に鳴り、通り過ぎた六地蔵は頭が全てぎ取られ、道端に無造作に捨てられている。

 墓にはかじられた跡のある、カビだらけの饅頭まんじゅうが置かれていた。

「ちょっと美憂みゆ。熱心に饅頭なんか見つめてお腹でも空いたんですの? いくら空腹でもそれを食べるのはやめておきなさい」

 こんな生命を感じない場所で誰が食べたのか。そんなことを思いながら美憂が饅頭を見ていると、なにを勘違いしたのか恵麗奈がそんなことを口にした。

「恵麗奈は私が道端に置かれているカビ饅頭を食べるような、そんな頭のおかしい人間だと思ってるの?」

「あら。貴女なら節約のためなんて言って食べてもおかしくありませんわよ。この間も落とした唐揚げを食べてましたわよね?」

「あれは三秒ルールでセーフだから」

「思いっきり外で落としてましたわ。砂が付いているのを見ました」

 付いているものが砂くらいなら食べても問題ないだろう。そんな美憂の考えが筒抜けだったのか、恵麗奈は呆れたような表情をしている。

「……顔から考えてることがなんとなく分かりますが、普通の人でも公園で落とした砂まみれの唐揚げは食べませんわよ」

 ジトっとした目をした恵麗奈の言い分に美憂が首を傾げていると、どこからかかねの低く響く音が聞こえてきた。
 
 始まった。

 空を見上げると赤黒くなった満月が妖しく世界を照らしていく。二人にとって見慣れてきたものではあるが、それでも世界が歪に変わる光景は気持ち悪さを感じざるを得ない。

「いよいよですわね」

 恵麗奈の声が合図になったように辺りからカタカタと鳴子なるこのような、硬く軽いものを打ち合わせる音が聞こえる。

 カーァ! ギャアギャア!

 遠くから鴉の慌てた鳴き声と共に、ぐちゅりぐちゅりと熟れた無花果いちじくを潰すような湿った音。生温かい風に乗って鉄の匂いも漂ってきた。

 ザッザッ

 薄暗くなった墓地にすり足の音が響き渡り、こちらへと向かっているのが分かる。

 そしてぐるりと二人を囲むように止まった足音達が、赤い月光に照らされ姿を浮かび上がらせた。

「まぁ。エリザベスが喜びそうな光景ですわね」

「一応聞くけどエリザベスって?」

「我が家で飼ってるグレートピレニーズですわ。骨付き肉をあげると嬉しそうに骨を齧ってますの」

「はは。それは確かに喜びそうな光景だね」

 二人を囲んでいたのは無数の骸骨がいこつだった。通り道で見た死体だろう。中にはまだ肉付きの個体もいて、腐敗した口で美味そうに鴉の頭部をくちゃくちゃと噛み千切っている。

「ちなみにあんな感じの人骨をあげたことは?」

「まさか。それにエリザベスはグルメですもの。松阪牛しか食べませんわよ」

「随分と良い食生活を送ってるね。私も鳳凰院ほうおういん家で飼ってもらおうかな?」

生憎あいにくとペットはエリザベスだけで間に合ってますわ。さて、お喋りはここまでに致しましょう? お客様はエリザベスと違って、待てが出来ないみたいですから」

 生者が妬ましいのか。骸骨達はあごをカタカタと鳴らしながら一歩一歩こちらへと向かってくる。
 走ることはできないようだが、磁石に群がる砂鉄のようにワラワラと増え続ける骸骨の数は、すでに百を超えていそうだ。

「以前見た映画にこんなシーンがありましたわね。あっちは噛まれたら仲間入りでしたが」

「お嬢様なのにゾンビ映画なんて見るんだ」

「あら? 野外で綺麗な花に囲まれながらお紅茶をたしなんでるだけと思いましたか? お嬢様でも雨の日なら映画くらい見ますわよ」

「ということは晴れの日は?」

「メイド長に入れてもらったお紅茶を飲みますわ。そんな日常に早く戻りたいものですわね」

「私も日常を取り戻したいよ。そのためにまずはこの場を切り抜けないとね」

「ええ。その為にまずはせっかちなオーディエンスを華麗に蹴散らしましょう。牛頭鬼ごずき! 力を貸しなさい!」

 そう叫んだ恵麗奈の周りを呪力の奔流がうずを巻く。額から二対の黒曜石みたいな角が生えて、鮮やかな赤いドレスが下から這うように黒に染まる。まぶたを開くと澄んだ青空のような瞳は、ルビーのように真っ赤に変わっていた。

 その一連の流れはまるで魔法少女の変身シーンのようだが、そんな可愛らしいものではない。

 この力は祝福ではない。黒い悪意に満ちた呪いの一部なのだから。

「あぁ! なんて美味しそうな匂いなのかしら! こんなにもご飯が用意されてはわたくし待てなんて出来ませんわ!」

 恵麗奈は整ったかんばせを喜悦にとろけさせながら、骸骨の群れへとフラリフラリと近づいていく。

 少しお散歩へ。そんな清々しいほどに無警戒な恵麗奈に骸骨達が我先にと殺到していく。その中でも真っ先に辿り着いた骸骨の頭を、恵麗奈は花でも愛でるような手つきで優しく触れた。

 グシャッ!!!

 軽く握っただけ。それだけで紙風船でも潰すかのように頭蓋骨は易々と砕けた。頭部を失った骸骨の体は崩れ落ちるように膝をつき、二度と動くことはない。

 そんな中で恵麗奈は手の中にある頭蓋骨の破片を、ホワイトチョコレートでも食べるように口に入れた。

「あら。雪のように淡く溶けていきますわ。これならいくらでも食べられそう」

 極上のスイーツでも食べたようにうっとりした表情で、手に持つ破片を口に入れる恵麗奈に、骸骨達は動きを止めている。

 骸骨達に感情があるのかは分からないが、どことなく戸惑っているように思えた。

 美しい少女が頭蓋骨を恍惚の表情で食べていくという光景は、この場にあるどんな物より不気味で恐ろしく見えるだろう。

 そこそこ付き合いの長くなった美憂でさえそう思うのだから、同朋どうほうを目の前で食べられている骸骨達の衝撃は容易に想像できる。

「食べ終わってしまいましたわ。でもまだ物足りませんわね。おかわりなんて淑女しゅくじょとしてはしたないですが、わたくし我慢出来ません」

 ニッコリと花の咲いたような笑顔を浮かべた恵麗奈は次の獲物へと手を伸ばす。

 そこからは一方的であった。

 逃げ惑う骸骨の群れを恵麗奈は片っ端から砕いて回る。真っ白な細腕からは想像出来ないような力で砕いて、へし折って、投げて数を減らしていく。

 その合間に聞こえる声は頭蓋骨を食べているはずなのに、どんなタレントよりも上手な食レポだと美憂は感心してしまった。

 そうこうしていると美憂の方にも骸骨達が向かってきた。恵麗奈の捕食から逃げようとしたのだろう、骨を鳴らしながらヨタヨタと懸命に歩いている。

「これじゃ給料泥棒だ。私も戦わないとね。今回は大きな依頼。張り切っていこう」

 美憂は着ている黒いパーカーのフードを被る。そこにはウサ耳が付いていて、はたから見れば緊張感のある場面で随分と滑稽こっけいな姿に見えるだろう。

 フードの奥の美憂の顔が闇に包まれたように消えた。そしてその闇に二つの真っ赤な目のような光が浮かび上がり、そこへと美憂は手を突き入れる。

 ずるり。そんな音が聞こえてくるようにフードから引きずり出したのは一丁の猟銃であった。

「血に飢えたこいつには悪いけど、今日の獲物からは血が出そうになさそうだ」

 軽口めいたことを口にして猟銃を構えると、手近の骸骨に向けて引き金を引いた。

 ズガンッ!

 音を立てて飛び出したのは闇より暗い影のごとき銃弾。それが骸骨に当たると影は骨を這いずり、侵食するようにその身を砕く。

 骸骨は銃口から飛び出した影の舌が舐め、そのまま飲み込んだようにこの世界から消滅した。

 それはさながら猟銃の元の持ち主である男が、村で引き起こした殺人事件が、歴史の闇に葬られたように。

「殺された三十人の怨嗟えんさ。受け止めるには少々骨が折れるよね。あ、ダジャレみたいになっちゃった」

 かつて男が奪った哀れな魂は恨みとなってこの猟銃へと宿っている。それらは強力な呪いとなって、持つものを止めどない殺戮さつりく衝動に引きずり込む危険な呪具じゅぐと成った。

 しかしそれを美憂は涼しい顔で扱っている。彼女には猟銃の呪いは通用しない。なぜならばそれよりも大きな呪いをすでにその身に受けているから。

 その後も二人は次々と骸骨達を葬っていく。そして数が残り僅かとなった時に地鳴りが鳴り響き、地面に大きな亀裂が走った。

「やっとお出ましのようですわね」

 オオオォォォ

 地の底から響き渡るようなおぞましい声と共に、巨大な骨の腕が地割れから飛び出した。生者の気配を感じるのか探すように地を這う腕によって、墓石が風に吹かれた枯葉のように軽々と吹き飛ばされていく。

 やがて全容を現したそれは十メートルはあろうかというほどの巨大な骸骨だった。

「あれが餓者髑髏がしゃどくろか。というか大きすぎない? 私の猟銃じゃ倒せそうにないんだけど」

 巨大な髑髏の妖怪と聞かされていた美憂だったが、まさかあそこまで大きいとは思っていなかった。餓者髑髏は眼窩がんかに灯る青白い炎を揺らすと大きな拳を振り上げた。

「あははははっ! 食べ甲斐がありそうですわね!」

 そう笑っていた恵麗奈に向かって拳が下されると、雷でも落ちたかのような轟音が辺りに響き渡る。

 カタカタと歯を鳴らす餓者髑髏は地面にめり込んだ拳を抜こうとする。しかしなぜか引き抜けないようで不思議そうに首を傾げていた。

「残念ですが貴方の力では牛頭鬼に敵いませんわ」

 土煙が晴れるとそこには餓者髑髏の拳を受け止めて涼しい顔をしている恵麗奈の姿があった。

「さすがの馬鹿力だね。さて、この猟銃はどこまで通用するかな?」

 この隙を見逃すほど美憂は間抜けではない。駆け出して餓者髑髏へと近づくと、右眼窩の炎目掛けて猟銃を構える。

 ズガンッ!

 猟銃から放たれた弾丸は、飢者髑髏を仕留めるまではいかなくとも右眼窩を砕いた。そこからは黒い液体が涙のように流れている。

 オオオォォォ

 骨にも関わらず痛みはしっかりと感じるのか、右目を押さえた餓者髑髏は先程の悍ましい声とは違い悲痛な叫びを上げた。

「やるじゃありませんか」

「今回の報酬は一千万だからね。やる気も上がるってもんだよ」

「わたくしもさっきから美味しそうな香りがしてきて堪りませんわ。さっさと倒しましょう」

 残った左眼窩の炎を、怒りで真っ赤に燃え上がらせている餓者髑髏を指差し恵麗奈は高らかに宣言する。

「さあ! 退魔のお時間ですわ!」

 咆哮を上げる飢者髑髏に二人は対峙する。

 これは呪いのせいで大量のお金が必要な美憂と、呪いのせいで妖を食べなきゃ死ぬ恵麗奈の命をかけた妖怪討伐の物語だ。
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