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ファースト・・・
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私は朝までは今日は人生で最悪の日だと思っていたが、案外そうではなかった
彼が意外にも噂と違って優しくて照れ屋さんだということを知ってしまったからだ
今日は一日中彼と手をつなぎ、色々な場所を廻った
そして今、私達は2人でカラオケにいる
「ねえ、煉君次は何歌う?あっ・・・」
「俺はじゃあこれ」
そう言って私が持っていたタッチパネルを取り上げ、勝手に曲を選んだ
曲が流れだすと彼はマイクを持って最後まで彼の美声で歌い上げた
何回聞いても彼の歌声はキレイで優しい
すると彼はおもむろに語り出した
「俺実はこの曲が歌った中でも一番好きなんだ。特に最初のところなんか」
私はさっきの歌いだしのフレーズを思い出し、うんうんと頷きながら賛同した
ちなみに私もこの曲はよく聴くほうでこの曲はいつも心にじんとくる歌詞だ
「そうだよね!この曲すごくいい歌詞だよね」
「そうなんだよな~」
2人でこんなふうにワイワイしていると時間はあっという間に過ぎ去っていった
一日で私は今朝とは見違えるように元気になった
それというのも最初は色々な噂が付きまとう彼のことを怖いと思いながらも事情により仕方なくのデートだったが、私は彼の沢山の顔を知れて嬉しく、最後にはこうやって2人で楽しく盛り上がっていた
そしてあれから時間が経ち、外は闇に覆われていた
私は帰り道、自分の家の近くだからと言って私を家まで送ってくれている彼を見上げながら今日を振り返って感じたことがあった
『噂って本当のところどうなんだろう?』
この疑問を解決すべく、本人に直接尋ねることにした
「煉君・・・」
「ん?」
「あのね、煉君のう――」
だがそれに被せるかのように第三者が私達の前に立ち止まり、話に割り込んできた
「なぁお前、もしかしてあの相崎煉?」
その人物はいかにも不良といった男達だった
ところが煉は彼らを無視して、私の手を引きながらさっさと歩きだした
「おいこら待てよ、俺らんこと舐めてんのかっ!?」
「人違いだ」
「なんだと!?」
「走るぞ・・・・」
「え?」
彼は私の耳元でそう囁き、いきなり走り出した
私は引っ張られるままに走り、それからなんとかあの人達から逃げきった
公園に避難した私はへばりながらも息を整えたが彼は何事も無かったかのように涼しい顔をして息1つ乱れなかった
それを恨めしく思いながらも、さっきの人達を撒けたことに少なからずほっとした
「それにしてもさっきの人達なんだったんだろうね・・・もしかしていつも?」
「まあな・・・・・俺のせいで悪いことしたな・・・・」
「全然、大丈夫」
「そうか・・・家まで送る」
「うん」
そう言って私の息が落ち着いたのを見計らって、彼はまた私の手を引いて家の前まで連れて来てくれた
「ここがお前んち?」
「うん、送ってくれてありがとう」
「別に・・・」
「それじゃ」
私はあいさつをして家に入ろうとしたが、叶わなかった
彼が私の手を引っ張って阻止したからだ
もちろん私は疑問に思って振り返った
「何?」
「デートの最後は決まってんだろ?」
一瞬彼の瞳に凶器的なものが映った気がした
そう感じた次の瞬間、私は彼に強く引かれ相手との距離が0になった
その時、一瞬だけ唇に何か柔らかいものが触れた
私はその正体が何か少しの間分からなかった
でも彼の言葉によってそれがなんなのかが分かった
「ごちそうさま」
「っ!な、なっ何すんのよ!?」
「何ってキスだけど?」
「最低!!」
彼を突き飛ばして今度こそ私は家に入った
だから私は後ろで彼がとても切なく寂しそうな笑顔を浮かべていたことに気づかなかった
そして、すぐさま自分の部屋に入り、さっきの感触を消すかのように口が腫れそうになるまで手でぬぐった
「ファーストキスだったのに・・・!」
それからポロポロと1人涙をこぼした
______________________________________
ここまでありがとうございました!
彼が意外にも噂と違って優しくて照れ屋さんだということを知ってしまったからだ
今日は一日中彼と手をつなぎ、色々な場所を廻った
そして今、私達は2人でカラオケにいる
「ねえ、煉君次は何歌う?あっ・・・」
「俺はじゃあこれ」
そう言って私が持っていたタッチパネルを取り上げ、勝手に曲を選んだ
曲が流れだすと彼はマイクを持って最後まで彼の美声で歌い上げた
何回聞いても彼の歌声はキレイで優しい
すると彼はおもむろに語り出した
「俺実はこの曲が歌った中でも一番好きなんだ。特に最初のところなんか」
私はさっきの歌いだしのフレーズを思い出し、うんうんと頷きながら賛同した
ちなみに私もこの曲はよく聴くほうでこの曲はいつも心にじんとくる歌詞だ
「そうだよね!この曲すごくいい歌詞だよね」
「そうなんだよな~」
2人でこんなふうにワイワイしていると時間はあっという間に過ぎ去っていった
一日で私は今朝とは見違えるように元気になった
それというのも最初は色々な噂が付きまとう彼のことを怖いと思いながらも事情により仕方なくのデートだったが、私は彼の沢山の顔を知れて嬉しく、最後にはこうやって2人で楽しく盛り上がっていた
そしてあれから時間が経ち、外は闇に覆われていた
私は帰り道、自分の家の近くだからと言って私を家まで送ってくれている彼を見上げながら今日を振り返って感じたことがあった
『噂って本当のところどうなんだろう?』
この疑問を解決すべく、本人に直接尋ねることにした
「煉君・・・」
「ん?」
「あのね、煉君のう――」
だがそれに被せるかのように第三者が私達の前に立ち止まり、話に割り込んできた
「なぁお前、もしかしてあの相崎煉?」
その人物はいかにも不良といった男達だった
ところが煉は彼らを無視して、私の手を引きながらさっさと歩きだした
「おいこら待てよ、俺らんこと舐めてんのかっ!?」
「人違いだ」
「なんだと!?」
「走るぞ・・・・」
「え?」
彼は私の耳元でそう囁き、いきなり走り出した
私は引っ張られるままに走り、それからなんとかあの人達から逃げきった
公園に避難した私はへばりながらも息を整えたが彼は何事も無かったかのように涼しい顔をして息1つ乱れなかった
それを恨めしく思いながらも、さっきの人達を撒けたことに少なからずほっとした
「それにしてもさっきの人達なんだったんだろうね・・・もしかしていつも?」
「まあな・・・・・俺のせいで悪いことしたな・・・・」
「全然、大丈夫」
「そうか・・・家まで送る」
「うん」
そう言って私の息が落ち着いたのを見計らって、彼はまた私の手を引いて家の前まで連れて来てくれた
「ここがお前んち?」
「うん、送ってくれてありがとう」
「別に・・・」
「それじゃ」
私はあいさつをして家に入ろうとしたが、叶わなかった
彼が私の手を引っ張って阻止したからだ
もちろん私は疑問に思って振り返った
「何?」
「デートの最後は決まってんだろ?」
一瞬彼の瞳に凶器的なものが映った気がした
そう感じた次の瞬間、私は彼に強く引かれ相手との距離が0になった
その時、一瞬だけ唇に何か柔らかいものが触れた
私はその正体が何か少しの間分からなかった
でも彼の言葉によってそれがなんなのかが分かった
「ごちそうさま」
「っ!な、なっ何すんのよ!?」
「何ってキスだけど?」
「最低!!」
彼を突き飛ばして今度こそ私は家に入った
だから私は後ろで彼がとても切なく寂しそうな笑顔を浮かべていたことに気づかなかった
そして、すぐさま自分の部屋に入り、さっきの感触を消すかのように口が腫れそうになるまで手でぬぐった
「ファーストキスだったのに・・・!」
それからポロポロと1人涙をこぼした
______________________________________
ここまでありがとうございました!
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