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追究編
・・・あなたは誰?
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アカイ・・・
あかい・・・・・
赤い・・・・・・・
気づくと、目の前に広がる色をただただ眺めていた
瞬きも呼吸も忘れて食い入るように見る
徐々に広がる足元のそれは一体何だろうか?
目線をそれが広がって来た元の物に向ける
それは、目に映れば最後絶望が待っているにも関わらず背けることも瞑ることも出来ずに段々と視界に入ってくる
果して、そこにあるものとは────
『今回はここまでだ』
その声が聞こえた瞬間、私は自分という存在を認識した
「っ!!」
それからさっきまで自身が何をしていたのかが思い出せず己を振り返る
「そうだっ、如月君・・・!」
思い出した瞬間一気に記憶が甦ると同時にあの後どうなったのかを知るため次の行動に出ようとした
それに伴い、ふと周りを見る
「あぁ、今は夜か」
己の体は今片割れの時間帯なのだろう
なので、いつものように自分の番が来るのを待つのみである
そこで、違和感を覚える
いつもなら彼女が起きていれば、彼女の行動がわかるはずだが、辺りは音も色も無い暗闇が広がるばかりである
かといって寝ていれば、彼女の場合おやすみの挨拶をしに来るため、今日はまだ寝ていないはずである
「なんと呑気な姫が居たものか」
「───っっ!!」
困惑していると、後ろから声をかけられた
しかし、それは知らない誰かであった
この場は己と彼女しか存在していないはずで、知らない人物がいるはずが無い
その事実に怖くて振り向くことが出来ない
「ふん、無視か。まあ、いい。」
謎の人物は鼻で嗤い、すぐ近くまで来た
恐らく、相手との距離はそう遠くないだろう
声の感じからして1m程か
「・・・あなたは誰?」
黙っているだけでは埒があかないので、思いきって相手に尋ねる
「誰ね・・・ここに存在している時点で想像はつくんじゃないのか?」
まるでこちらをバカにしたかのようにそう指摘された
それにより、悔しいが答えに辿り着く
恐る恐る振り返ればそこには思っていた通りの存在が居た
「私?」
「ふっ、正解だ」
今回も鼻で笑われたが、さっきとは違い多少柔らかさがあった
「でも、あなたなんか知らない。ここには私とリラしか居ないはずなのに・・・」
「それは、お前の片割れにでも聞いてみればいい」
「えっ?」
そう言って彼女は私の後ろに視線をやる
その視線を追いかけるともう一人の私が居た
「・・・・・・」
「リラ?」
いつもは明るい彼女が一言も口にせず、無表情で知らない私を見つめる
「なんで?・・・どうして出てきてるのぉっ!?」
「それは、度々ワタシが出て来ざるを得ない状況を作りだすからだろう?」
彼女は、先程の無からいきなり怒りの表情で相手に詰問をする
しかし、その相手はどこ吹く風と言わんばかりに表情を崩さなかった
私は二人が話している内容も状況も意味が解らなかった
「ね、ねぇ!リラ、どういうこと?この私は何なのっ?」
「そ、それはぁ・・・言えないのぉ」
「なんでっ!?」
事情を知っていそうな彼女を問い詰めると、初めて私の存在を認識したかのようにこちらを見た
視線は一瞬合ったものの彼女は口を一文字にし、すぐ下を見た
欲しい回答が得られず、互いにだんまりを決め込んでいると、突然笑い声が響いた
「ふ、ふはははっ!まあ、そうだよな?言えないよな?」
「・・・・・・」
冷たく、凍るような嗤いが響く中それでもリラは悔しそうに唇を噛みしめ、無言を通す
「おっと、もうそろそろ時間のようだ。ユリ、また今度会おう。」
「えっ、ちょ・・・」
一方的に別れの挨拶をした彼女を引き止めようと手を伸ばした
だが、手が届く前に彼女は暗闇の向こうに消える
「・・・・・・ユリちゃん、ビックリしたよねぇ?ごめんねぇ。」
掴むものの先を失った手を彷徨わせ、彼女が消えた方を見つめていると、後ろからリラが声をかけてきた
仕方がなかったのでリラの方に向き直る
「謝るぐらいなら教えてよ・・・」
「それはぁ、出来ないのぉ」
「なんで・・・」
「ユリちゃんを守るため。だから、今は何も聞かないで・・・」
いつもの語尾伸ばしがなく、私の目を真剣に見つめる彼女の言葉はこれ以上譲る気はないという気迫と懇願を感じた
しばらくお互い見つめ合っていたが、こちらが折れることとした
「・・・・分かった」
「・・ありがとぉ」
そこで、お互いに気まずい空気の中今は何も出来ない憤りを感じながら私は目を閉じて朝が来るのを待つ
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました。
そろそろ物語の根幹に関わってきました!
亀更新で申し訳ありません。
次回もお楽しみに!!
あかい・・・・・
赤い・・・・・・・
気づくと、目の前に広がる色をただただ眺めていた
瞬きも呼吸も忘れて食い入るように見る
徐々に広がる足元のそれは一体何だろうか?
目線をそれが広がって来た元の物に向ける
それは、目に映れば最後絶望が待っているにも関わらず背けることも瞑ることも出来ずに段々と視界に入ってくる
果して、そこにあるものとは────
『今回はここまでだ』
その声が聞こえた瞬間、私は自分という存在を認識した
「っ!!」
それからさっきまで自身が何をしていたのかが思い出せず己を振り返る
「そうだっ、如月君・・・!」
思い出した瞬間一気に記憶が甦ると同時にあの後どうなったのかを知るため次の行動に出ようとした
それに伴い、ふと周りを見る
「あぁ、今は夜か」
己の体は今片割れの時間帯なのだろう
なので、いつものように自分の番が来るのを待つのみである
そこで、違和感を覚える
いつもなら彼女が起きていれば、彼女の行動がわかるはずだが、辺りは音も色も無い暗闇が広がるばかりである
かといって寝ていれば、彼女の場合おやすみの挨拶をしに来るため、今日はまだ寝ていないはずである
「なんと呑気な姫が居たものか」
「───っっ!!」
困惑していると、後ろから声をかけられた
しかし、それは知らない誰かであった
この場は己と彼女しか存在していないはずで、知らない人物がいるはずが無い
その事実に怖くて振り向くことが出来ない
「ふん、無視か。まあ、いい。」
謎の人物は鼻で嗤い、すぐ近くまで来た
恐らく、相手との距離はそう遠くないだろう
声の感じからして1m程か
「・・・あなたは誰?」
黙っているだけでは埒があかないので、思いきって相手に尋ねる
「誰ね・・・ここに存在している時点で想像はつくんじゃないのか?」
まるでこちらをバカにしたかのようにそう指摘された
それにより、悔しいが答えに辿り着く
恐る恐る振り返ればそこには思っていた通りの存在が居た
「私?」
「ふっ、正解だ」
今回も鼻で笑われたが、さっきとは違い多少柔らかさがあった
「でも、あなたなんか知らない。ここには私とリラしか居ないはずなのに・・・」
「それは、お前の片割れにでも聞いてみればいい」
「えっ?」
そう言って彼女は私の後ろに視線をやる
その視線を追いかけるともう一人の私が居た
「・・・・・・」
「リラ?」
いつもは明るい彼女が一言も口にせず、無表情で知らない私を見つめる
「なんで?・・・どうして出てきてるのぉっ!?」
「それは、度々ワタシが出て来ざるを得ない状況を作りだすからだろう?」
彼女は、先程の無からいきなり怒りの表情で相手に詰問をする
しかし、その相手はどこ吹く風と言わんばかりに表情を崩さなかった
私は二人が話している内容も状況も意味が解らなかった
「ね、ねぇ!リラ、どういうこと?この私は何なのっ?」
「そ、それはぁ・・・言えないのぉ」
「なんでっ!?」
事情を知っていそうな彼女を問い詰めると、初めて私の存在を認識したかのようにこちらを見た
視線は一瞬合ったものの彼女は口を一文字にし、すぐ下を見た
欲しい回答が得られず、互いにだんまりを決め込んでいると、突然笑い声が響いた
「ふ、ふはははっ!まあ、そうだよな?言えないよな?」
「・・・・・・」
冷たく、凍るような嗤いが響く中それでもリラは悔しそうに唇を噛みしめ、無言を通す
「おっと、もうそろそろ時間のようだ。ユリ、また今度会おう。」
「えっ、ちょ・・・」
一方的に別れの挨拶をした彼女を引き止めようと手を伸ばした
だが、手が届く前に彼女は暗闇の向こうに消える
「・・・・・・ユリちゃん、ビックリしたよねぇ?ごめんねぇ。」
掴むものの先を失った手を彷徨わせ、彼女が消えた方を見つめていると、後ろからリラが声をかけてきた
仕方がなかったのでリラの方に向き直る
「謝るぐらいなら教えてよ・・・」
「それはぁ、出来ないのぉ」
「なんで・・・」
「ユリちゃんを守るため。だから、今は何も聞かないで・・・」
いつもの語尾伸ばしがなく、私の目を真剣に見つめる彼女の言葉はこれ以上譲る気はないという気迫と懇願を感じた
しばらくお互い見つめ合っていたが、こちらが折れることとした
「・・・・分かった」
「・・ありがとぉ」
そこで、お互いに気まずい空気の中今は何も出来ない憤りを感じながら私は目を閉じて朝が来るのを待つ
─────────────────────────────────────────────
ありがとうございました。
そろそろ物語の根幹に関わってきました!
亀更新で申し訳ありません。
次回もお楽しみに!!
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