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第6話 義兄の『運命の番』になってしまった件6★
しおりを挟む構わずに下半身に刺激を与えられ続け、俺は軽くイった。
「あぁっ」
ユージスの手の中に、蜜液を吐き出す。手を汚してしまったことに、反射的に「ご、ごめん」と謝罪したけど、ユージスは無言だ。ま、まさか怒ってる!?
内心あわあわしたけど、そんな不安は杞憂だった。ユージスは意に介した様子はなく、俺の蜜液で汚れた指を、双丘に這わせ、最奥に触れる。
「ん…っ……」
菊門に蜜液を塗りたくって、指が一本入ってきた。じっくりとほぐす動作が、俺のそこを花開かせていく。二本入った頃には、そこはとろとろに蕩けていた。
それでもなお、ユージスは三本目を挿入しようとしている。……ううっ、丁寧にほぐしてくれるのはありがたいんだけど、じれったい。
「ユー、ジス……も、いいから」
早く挿れてほしい。それで俺の中をめちゃくちゃにしてほしい。
とうとう我慢できなくなった俺は、自ら脚を大きく開き、大胆に誘った。ひくつく花襞が咥え込んだユージスの指をぎゅうぎゅうに締めつけ、物足りないと訴える。
「きて」
息を弾ませながら、熱で潤んだ目で見上げると、ユージスは生唾を飲み込んだ。上擦った声で「……分かった」と了承し、指を引き抜く。
ズボンを下着ごと脱ぎ捨て、怒張したモノを俺の後孔に押し当てた。待ち望んでいたモノに俺の胸が期待に弾む。
「挿れるぞ」
ぽっかりと口を開けたそこに、ぐっと圧力が加わる。熱した釘のように熱い肉棒が、ゆっくりと俺の中に押し入ってくる。
痛みはない。丹念にほぐしてもらったからかな。まぁ、もう複数回目っていうのもあるかもしれない。
あっさりとうずめられた雄棒が、中に馴染んでから、前後に動き出す。
「あっ、ん、あぁっ」
抜き差しされるたびに、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響く。自分が吐き出した蜜液の音だと思うと、ちょっと恥ずかしい。
でも、そんな羞恥心さえ快楽のスパイスとなる。耳まで犯されている気分を味わいつつ、雄棒で中を擦られると、とんでもなく気持ちがいい。喘ぎ声が抑えられない。
「はっ、あぁっ、んんっ」
頭の中に快楽の火花が散る。もっと、中を擦ってほしくて、腰が勝手に動く。ふしだらなことをしているのは分かっているけど、止められない。
初めはゆったりとした抽挿だったのが、少しずつ加速していった。激しく揺さぶられて、俺はついユージスの首裏に腕を回してしがみつく。
派手に音を立てて打ちつけられる腰使い。何度も何度も貫かれて、次第に頭がぼぅっとしてきて。
「ああ…っ……イ、く」
「なら、イけ」
俺は子どもみたいに首を横に振った。
「やだ、一緒にイきたい…っ……」
虚を突かれた顔をするユージス。戸惑いの中に欲情の色が広がって、腰の動きがますます力強くなっていく。指とは比べ物にならない重量感と質量が、俺の後孔を抉る。
「出すぞ」
ぐいっと奥深くまで侵入してきた雄が膨張したかと思うと、弾けた。それとほぼ同時に俺も絶頂を駆け上がる。
「あぁぁぁぁっ――……!」
肉奥まで濡らす熱い蜜液。性的欲求を満たされたことで、俺のヒート状態はようやく落ち着き始めた。肩で息をしながらも、全身から熱が引いていくのを感じる。
自覚はなかったけどよほど体力を消耗していたのか、そこで俺の意識は途切れた。
目を覚ました時、もう夕方だった。窓の外の景色が夕暮れに染まっている。
寝台の上に裸体のまま横たわっていた俺は、ゆっくりと上体を起こした。肩までしっかりと布団がかけられていたから、ユージスがかけてくれたんだろう。
そのユージスの姿は、ここにはもう見当たらないけど。
「……はあ。ヒートってあんな感じなのか」
今までは始まってすぐ抑制剤を飲んでいたから、あれほど長時間ヒート状態を味わった上、性行為に及んだのは初めてだ。おかげで途中から理性が吹っ飛んで、なんだか子どもみたいなことを口走ってしまった気がする。
次にユージスと会った時、どんな顔をすればいいんだろう。散々、乱れた姿を見せてしまったものだから、気恥ずかしくて目を見られないかもしれない。
今度からは、常に薬棚をチェックしておかないと。二度と同じ目に遭いたくない。ヒート状態はもうこりごりだ。
「っていうか、体がだるい……」
ひとまず衣服を着たものの、全身が鉛のように重い。俺は再び寝台に横たわり、布団の中にもぐった。
――妊娠、できたかな。
早く子どもを授かれますようにと願いながら、再び眠りについた。
◆
あの時のフィルリートの目が焼き付いて離れない。
『ユー、ジス…っ……』
熱で潤んだ、助けを求めて縋るような眼差し。いや実際、ヒートを起こしてユージスに抱いてもらいたかったんだろうが。
『きて』
淫らに足を開いて誘ってきたかと思えば、
『やだ、一緒にイきたい…っ……』
子どものように可愛く駄々をこねて――
「――ユージス?」
聞きなじみのある声音に、ユージスははっと我に返った。気付けば、執事のミリマが文机に温かい紅茶を置いている。不思議そうな顔だ。
「どうしたの。ぼんやりとして」
「あ、ああ。ちょっと、疲れているみたいだ」
反射的に答えてから、ユージスはそうかと思う。
疲れている。そうだ。疲れているんだ。だから、あんなくだらないことを思い出してしまっていたのだ。フィルリートのことなど考えたくもないのに。
記憶を追い出すように頭を振り、ユージスは紅茶を飲んで気を落ち着けた。
◆
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