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第一章〜幼少期〜

第一章 第十八話 帰郷~村と家族と友人と~

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「じゃあ始めるね」
 事前にティナに説明をして了解を得たグランは魔法でティナの村について探ることにした。
 グランが今回使おうと思っている魔法は”記憶探知メモリーサーチ”である。
 この魔法は対象の記憶をに入ることができるものだ。

(おっ見えてきた見えてきた。結構自然豊かなところだな……。秘境とか隠れ里とかの類か?周りの様子も見ておこう)
 グランは川などの目立つものを探した後記憶から出てきた。

「ティナの村の様子がよく見えたよ。周りの川なんかも見てきたから早速地図と照らし合わせてみよう!」
 地図を見てみるとここからかなり近く馬車で一日とかからずに行ける場所にあった。

「結構近かったんだね……」

「多分ティナに場所がばれないように森をぐるぐると回っていたんじゃないかな?」

「そっか……。でも近くにあってよかった!」

「そうだね。こんなに近ければまたいつでも会えるし」

「本当!?じゃあその時は村のみんなで歓迎するね!」

「ああ。ありがとな!じゃあ早速ティナの村まで行こうか!」

「うん!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「……ところでグランもカノンもみんなこの部屋にいるけど行かないの?」

「行くんですけど行かないんです。ティナお姉様」

「???」
 禅問答のような答えにどういうこと?と首を傾げるティナにカノンが事情を説明した。

「ええっと…グランの固有技能ユニークスキルで瞬間移動ができるってこと?」

「そうなんです!いくら馬車で一日の距離とはいえ早いに越したことはないですから!」

「そうなんだ……。貴族様ってすごいんだね」

「そういえばティナお姉様の固有技能ユニークスキルってどんなものなんですか?」

「私のは相手の心を読む技能だよ」

「「!!!」」

「あっ!でもそんな便利なものじゃなくて自分に向いてる印象?みたいなものがわかるんだよ。だから敵意が向けられたりするとすぐわかるんだ!」

「それでもかなり便利だな」

「でもでもグランの瞬間移動できる技能の方がすごいよ!」

「お兄様はすごいんです!」
 なぜカノンが得意げにしているのかわからないままグランは準備を始める。

「じゃあ転移するから荷物とか持って僕に触れてて」

「お兄様!私も行きたいです!」

「じゃあカノンも行こうか!しっかりと捕まってね。“転移”」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 いつも通り景色が真っ白に染まり視界に色が戻ってくるとそこは森だった。

「あれ?ティナお姉様の村に着くんじゃなかったんですか?お兄様」

「いきなり村に飛んだら村の人たちを驚かせてしまうだろう?だから村の近くに飛んだんだ」

「なるほど……それもそうですね!じゃあ村に向かいましょう!」

「ちなみにティナお姉様ここに見覚えはありますか?」

「すごい!ここは村から少し歩いたところにある採取スポットなんだ。ここで薬草とかきのみとか取ったりして友達と遊んだしたんだよ!」

「正確に飛べたみたいでよかった!」

「お兄様、ティナお姉様!私もきのみ拾ってみたいです!」

「でもティナを送り届けなきゃ」

「まだ時間もあるし村までにいくつかスポットはあるから寄って行ってもいいよ」

「本当ですか!?」

「じゃあ日が暮れる前には村につけるように行こう」

「はい!」

 その後森を散策しつつ村に向かい村の門にたどり着いた。

「人間族の貴族様とお見受けられるがいかがなさっただろうか」

「久しぶり!アルさん!お父さんとお母さんいるかな?」

「ティナ!?お前あの盗賊らに攫われたんじゃねえのか?大丈夫か?」

「もう大丈夫だよ。ここにいるグランが助けてくれてみんなにもよくしてもらったの!」

「そうだったのか……。グラン様。ティナを、仲間を救っていただきありがとうございます」

「いえいえ、困っている人がいたら助けるのが当然です!」

「こうしちゃいられねぇ!ティナ皆様をお前の家に案内してくれ!俺は他の奴らに伝えてくる!」
 ティナに案内され村の中を移動していると人は珍しいのか好奇の目が集まっていた

「自然豊かな村ですね!ティナお姉様」

「いろいろ緑があってとても過ごしやすいんだよ!」

「そうなのか。魔物とかは寄ってきたりしないのか?」

「それは大丈夫。あっ!ついたよ!」
 そう言ってティナが指差す方向には大きな木をくり抜いたような家があった。

「すごいな……。ほぼ木でできてるぞ」

「昔から獣人は自然と共に生活してきたからね。村の真ん中に大きな木があるでしょ?あれは村の御神木でそのお陰で魔物がこの付近に寄りつくことはないんだ!」

「だから塀とか堀とかがないんだ」

「ただいま~!」
 ティナがそう言い扉を開けると中から二人の人が出てきた。

「テ、ティナなのか?」

「そうだよ!お父さん」

「本当にティナなの……?」

「もうっ!だからそうだよって……」

「「ティナっ!」」

「も、もうっ!恥ずかしいよ!いきなり抱きつかないでよ」

「それはともかく……」

「「おかえりティナ」」

「ただいまお父さんお母さん!」





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