婚約者を妹に奪われて政略結婚しましたが、なぜか溺愛されているようです。

「ルシナお姉さまよりも私のことが好きだと言うのだから、仕方がないじゃない」

 なんでも欲しがるわがままな妹に婚約者を奪われた私、ルシナ・アルベール。
 事業に失敗続きの父に加えて、義母と妹の散財。おかげでわが家は没落寸前。

 そんな時、アルベール家に手を差し伸べてきたのは若き実業家の男、グレン。交換条件は私との結婚。

「この結婚には裏があるはずよ」

 怪しむ私の前に現れたのはスラッとした高身長に、金髪碧眼の端正な顔立ちの男性。内心、ときめいてしまった私。

 だが、参加した舞踏会で彼の愛人と思わしき女性からけん制され、挙句には彼と友人の会話を聞いてしまった。

「お嬢さまはお嬢さまらしく、綺麗な鳥かごにいるのがお似合いだ。せめて大事にしてやるさ」

 平民出身の彼が欲しているのは身分。彼は貴族社会に進出したいがために、私を選んだのだ。
 ……上手い話は、そう転がっているわけではないわね。

 それならいっそ、政略結婚だと思って割り切るわ!!
 我が家の借金を払ってくれてありがとうございます!!
 将来的に離婚したいのなら、私は田舎に引っ込みましょう!! 愛人がいるもよし!! 
 だけど隠し子だけは事前に言ってくださいね。
 
「私たち、白い結婚にしません?」
「――ふざけるな」
 
 彼に切り出したが、バッサリ拒絶された初夜。
 それになぜか結婚後もドレスに装飾品、山のような贈り物。 
 どうした、旦那さま。借金を払ってくれただけで十分です。もう贈り物は結構ですから。

 そして最近、妹と一緒にいるのを見かけたのですが。
 あなたも妹がいいって言い出すのかしら?     
 元婚約者のようにーー。
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