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第四章 全ての想いの行く末
52話 後悔は先には立ちません
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メイは木の上に駆け上がると、太い幹の上へ登る。そして、目を瞑り、意識を集中させ始めた。
(おそらくは近くにいるはず…どんな小さな違和感も見落としてはダメ…)
神経を静かに研ぎ澄ます。
ミコトが戦う激しい音すら聞こえなくなるほどに、メイは集中力を向上させた。
風の音…葉擦れの音…虫の声…鳥たちの寝息まで聞こえそうなほど、彼女の耳の中には様々な音が集まっていく。
(どこ…絶対にどこかにいるはず…)
そんなメイに気づいた一人のメイドが、メイに向けて駆け出そうとした。
…が、ミコトがそれをさせない。
瞬時にメイドの前に現れて腹部に蹴りを放てば、メイドの体はおもちゃのように吹き飛んでいき、他の執事たちを巻き込んで砂埃を巻き上げる。
「メイさんの邪魔はさせないよ!ここを通りたいなら、私を倒してからだから!!」
そう豪語するミコトの周りに、ジリジリと詰め寄るたくさんのメイドや執事。
『倒しても倒しても…これではきりがないな。』
「そうだね…」
思わず愚痴をこぼすゼンの言葉に、ミコトは苦笑いを浮かべた。確かにキリがないが、その元凶をメイが探してくれているのだ。彼女の邪魔は絶対にさせるわけにはいかない。
そう考えているミコトに、一人の執事が飛びかかってきた。
それに気づいたミコトは攻撃を受け止めて、逆にカウンターを放つ。
しかし、その拳が当たる瞬間、ミコトはある事に気づいた。
(え…?この人…何か持って…)
いつの間にか、彼の手の中に紅く輝く球体がある。それは小さく火花を散らしており、花火をギュッと凝縮したような美しさがあった。
だが…
「ミコト!いったん離れろ!!」
「え…あ…うん!」
目の前の執事に対して、改めてカウンターを見舞ったミコトがすぐに距離を取った瞬間、
ドォォォォン!!
大きな爆発音と共に、真っ赤な炎が執事を包み込んだのである。
「な…何が起きたの?!」
動揺するミコトに、ゼンが今の一瞬で把握したことを簡単に伝えていく。
「今のは魔力を練り込んだ爆弾だな。念のため避けてはみたが…あの程度なら私たちにはほとんど効かないな。」
「爆弾…か。なんか嫌な感じだね。」
ミコトは苛立ちを隠せなかった。目の前の執事やメイドたちは、恐らく生きた人間ではない…なんとなくそれは理解している。だが、そんな彼らに自滅ありきの特攻のようなことをさせるなど…
「胸くそ悪いよ…」
そうボソッと呟いたミコトだが、目の前の敵たちは待ってはくれないようだ。気がつけば、先ほどの執事と同じように魔力の爆弾を全員が手に持っている。しかも、それらは赤色だけでなく、青、緑、黄色など様々な色に輝いているのだ。
『ミコト…気をつけろよ。奴ら、属性ごとの魔力爆弾を持っている。しかもあの量だ…いくらお前でも、全部を一気に喰らえばまずい…』
「うん…」
ミコトは小さく頷いた。
その瞬間、無数に増えた執事とメイドたちが一斉に飛びかかってきたのである。
『来たぞ、ミコト!!あれは自らの意思で爆発させるタイミングを操作できる!常に動き回り、先手を打て!!』
ゼンの指示通り、ミコトは今まで以上のスピードで動き回り、一人ずつ攻撃を浴びせていく。攻撃を受けた者たちは吹き飛ばされ、その衝撃で持っている魔力爆弾が爆ぜていく。
空では花火のように…地面では夜の花畑のように…
暗闇に輝くイルミネーションの彩りを想像させるように、爆発音と共に輝きが散っていった。
「おい…あれって…」
「ヴィリの予想の通り…あれはこの前邪魔した女…」
上空から見下ろす二つの影は、多彩な彩りと共にランドール家の敷地内で暴れる赤き少女の姿を捉えていた。
「なんであいつがいるんだよ。かぁ~めんどくせぇ!」
「状況がよくわからない…兄様が到着する前に確認を急ぐ…」
「あっ!おい…ヴェー!ったく、何なんだよなぁ!」
愚痴をこぼしていると、ヴェーがミコトの下へと向かい始めた事に気づき、ヴィリは面倒くさそうに声を上げてそれを追いかけた。
「これは…屍士の死霊術…」
近づいて、ミコトが戦っている相手を確認したヴェーがそうこぼす。
「クリスの野郎は何やってんだ…俺らのアジトに賊の侵入を許すなんてよ。」
「相手はプレイヤー…クリスじゃ抑えることは無理だから仕方はない…でも…奴らはなぜここに…?その理由がわからない…」
「何でもいいじゃねぇか!今はこの状況をどうにかしねぇと、また兄貴に…」
「ヴィリはせっかち…まずは状況を分析してからでも遅くはない…物事は常に冷静に見るべき…」
苛立つヴィリとは対照的に、相変わらず無表情のまま淡々と考察を続けるヴェー。ジッとミコトを見据えていたが、ふと何かに気づいたように再び近づいていく。
「お…おい、ヴェー…ったく!せっかちはどっちだよ!」
声をかけるヴィリに振り向くことなく、ヴェーは浮遊しながらミコトのそばへと寄っていった。
「本当にキリがないね!」
『だな!メイのやつはまだか?!』
未だ大量に湧き続ける敵。魔力爆弾を持って特攻を繰り返してくる敵たちに対して、ミコトもゼンも痺れを切らしていた。
だが、突如現れた別の殺気を感じ取ったミコト。ゼンもそれには気づいたようで、一度大きく跳躍し、メイがいる木のそばの前に戻ると、体制を整えつつ殺気の方へ視線を向けた。
すると、目の前にゆっくりと降り立った薄紫のツインテールの少女が視界に映る。
「あ…あなたは…!」
「女…また会った…」
驚くミコトに対し、ヴェーは無表情のままミコトをジッと見つめる。そして、単刀直入に問いかけた。
「一つ聞く…お前…なんでここにいる…」
唐突に問いかけてきたヴェーに対し、ミコトも負けじと睨み返して口を開く。
「それを今、あなたに言わなければならない理由はないよね。」
ミコトの言葉にヴェーは眉をひそめたが、それでもなお、彼女は静かに冷静さを保ちつつ、ミコトを見据えていた。
その後ろでは、ヴィリが心配そうにそれを見つめている。
「女…つけ上がるな…お前じゃ私には勝てない…だから素直に…」
ヴェーは表情を変えずに、ミコトを指差してそう告げたが、ミコトも負けじとそれに返す。
「そんなの、やってみないとわからないじゃん!」
「わかる…お前は人間…私たちとは…そもそも創りが違う…」
「創り…?何を言ってるのかよくわかんないけど、やりもせずに諦めるなんて、私はそんなことしない!」
ミコトの強気な態度に対して、ヴェーは舌打ちした。それを聞いたヴィリは、さらに心配そうな表情を浮かべてヴェーを見る。
「おまえ…調子に乗り過ぎ…痛い目にあう前に答えるべき…」
「そんな脅しには乗らない。先にあなたたちの目的を教えてくれたら、答えてあげてもいいよ。」
「……」
ヴェーは突然押し黙った。少し下を向いているせいかその表情は見ることができない。その様子を見て警戒心を高めるミコトに、ゼンが小さく告げる。
『ミコト…目の前の御方だが…』
「わかってる…神様なんでしょ?」
『あぁ…イノチに力を授かっているとはいえ、侮るなよ。』
ミコトはその言葉に小さく頷いた。それと同時にヴェーがゆっくり前を向く。だが、先ほどとは違い、その瞳は紫の光を宿していた。
後ろの方で、ヴィリが「あ~あ、知らねぇぞ。」と額に手を置いてため息をついているが、ヴェーはそんなことを気にすることなく、ミコトに殺意を向ける。
「女…後悔するな…」
「後悔…?後悔って文字通り、後でするものでしょ?」
「…やっぱり…死ね…」
その瞬間、ヴィリが大きく叫ぶ。
「おい、屍士!ヴェーに合わせろよ!」
ヴィリの声に、止まっていた執事たちも一斉に動き出し、それに合わせてヴェーが姿を消す。
『ミコト来るぞ!心してかかれよ!』
「大丈夫!私だって…強くなったんだから!」
そう告げるミコトの瞳は、真っ赤な炎を纏ったように輝いていた。
(おそらくは近くにいるはず…どんな小さな違和感も見落としてはダメ…)
神経を静かに研ぎ澄ます。
ミコトが戦う激しい音すら聞こえなくなるほどに、メイは集中力を向上させた。
風の音…葉擦れの音…虫の声…鳥たちの寝息まで聞こえそうなほど、彼女の耳の中には様々な音が集まっていく。
(どこ…絶対にどこかにいるはず…)
そんなメイに気づいた一人のメイドが、メイに向けて駆け出そうとした。
…が、ミコトがそれをさせない。
瞬時にメイドの前に現れて腹部に蹴りを放てば、メイドの体はおもちゃのように吹き飛んでいき、他の執事たちを巻き込んで砂埃を巻き上げる。
「メイさんの邪魔はさせないよ!ここを通りたいなら、私を倒してからだから!!」
そう豪語するミコトの周りに、ジリジリと詰め寄るたくさんのメイドや執事。
『倒しても倒しても…これではきりがないな。』
「そうだね…」
思わず愚痴をこぼすゼンの言葉に、ミコトは苦笑いを浮かべた。確かにキリがないが、その元凶をメイが探してくれているのだ。彼女の邪魔は絶対にさせるわけにはいかない。
そう考えているミコトに、一人の執事が飛びかかってきた。
それに気づいたミコトは攻撃を受け止めて、逆にカウンターを放つ。
しかし、その拳が当たる瞬間、ミコトはある事に気づいた。
(え…?この人…何か持って…)
いつの間にか、彼の手の中に紅く輝く球体がある。それは小さく火花を散らしており、花火をギュッと凝縮したような美しさがあった。
だが…
「ミコト!いったん離れろ!!」
「え…あ…うん!」
目の前の執事に対して、改めてカウンターを見舞ったミコトがすぐに距離を取った瞬間、
ドォォォォン!!
大きな爆発音と共に、真っ赤な炎が執事を包み込んだのである。
「な…何が起きたの?!」
動揺するミコトに、ゼンが今の一瞬で把握したことを簡単に伝えていく。
「今のは魔力を練り込んだ爆弾だな。念のため避けてはみたが…あの程度なら私たちにはほとんど効かないな。」
「爆弾…か。なんか嫌な感じだね。」
ミコトは苛立ちを隠せなかった。目の前の執事やメイドたちは、恐らく生きた人間ではない…なんとなくそれは理解している。だが、そんな彼らに自滅ありきの特攻のようなことをさせるなど…
「胸くそ悪いよ…」
そうボソッと呟いたミコトだが、目の前の敵たちは待ってはくれないようだ。気がつけば、先ほどの執事と同じように魔力の爆弾を全員が手に持っている。しかも、それらは赤色だけでなく、青、緑、黄色など様々な色に輝いているのだ。
『ミコト…気をつけろよ。奴ら、属性ごとの魔力爆弾を持っている。しかもあの量だ…いくらお前でも、全部を一気に喰らえばまずい…』
「うん…」
ミコトは小さく頷いた。
その瞬間、無数に増えた執事とメイドたちが一斉に飛びかかってきたのである。
『来たぞ、ミコト!!あれは自らの意思で爆発させるタイミングを操作できる!常に動き回り、先手を打て!!』
ゼンの指示通り、ミコトは今まで以上のスピードで動き回り、一人ずつ攻撃を浴びせていく。攻撃を受けた者たちは吹き飛ばされ、その衝撃で持っている魔力爆弾が爆ぜていく。
空では花火のように…地面では夜の花畑のように…
暗闇に輝くイルミネーションの彩りを想像させるように、爆発音と共に輝きが散っていった。
「おい…あれって…」
「ヴィリの予想の通り…あれはこの前邪魔した女…」
上空から見下ろす二つの影は、多彩な彩りと共にランドール家の敷地内で暴れる赤き少女の姿を捉えていた。
「なんであいつがいるんだよ。かぁ~めんどくせぇ!」
「状況がよくわからない…兄様が到着する前に確認を急ぐ…」
「あっ!おい…ヴェー!ったく、何なんだよなぁ!」
愚痴をこぼしていると、ヴェーがミコトの下へと向かい始めた事に気づき、ヴィリは面倒くさそうに声を上げてそれを追いかけた。
「これは…屍士の死霊術…」
近づいて、ミコトが戦っている相手を確認したヴェーがそうこぼす。
「クリスの野郎は何やってんだ…俺らのアジトに賊の侵入を許すなんてよ。」
「相手はプレイヤー…クリスじゃ抑えることは無理だから仕方はない…でも…奴らはなぜここに…?その理由がわからない…」
「何でもいいじゃねぇか!今はこの状況をどうにかしねぇと、また兄貴に…」
「ヴィリはせっかち…まずは状況を分析してからでも遅くはない…物事は常に冷静に見るべき…」
苛立つヴィリとは対照的に、相変わらず無表情のまま淡々と考察を続けるヴェー。ジッとミコトを見据えていたが、ふと何かに気づいたように再び近づいていく。
「お…おい、ヴェー…ったく!せっかちはどっちだよ!」
声をかけるヴィリに振り向くことなく、ヴェーは浮遊しながらミコトのそばへと寄っていった。
「本当にキリがないね!」
『だな!メイのやつはまだか?!』
未だ大量に湧き続ける敵。魔力爆弾を持って特攻を繰り返してくる敵たちに対して、ミコトもゼンも痺れを切らしていた。
だが、突如現れた別の殺気を感じ取ったミコト。ゼンもそれには気づいたようで、一度大きく跳躍し、メイがいる木のそばの前に戻ると、体制を整えつつ殺気の方へ視線を向けた。
すると、目の前にゆっくりと降り立った薄紫のツインテールの少女が視界に映る。
「あ…あなたは…!」
「女…また会った…」
驚くミコトに対し、ヴェーは無表情のままミコトをジッと見つめる。そして、単刀直入に問いかけた。
「一つ聞く…お前…なんでここにいる…」
唐突に問いかけてきたヴェーに対し、ミコトも負けじと睨み返して口を開く。
「それを今、あなたに言わなければならない理由はないよね。」
ミコトの言葉にヴェーは眉をひそめたが、それでもなお、彼女は静かに冷静さを保ちつつ、ミコトを見据えていた。
その後ろでは、ヴィリが心配そうにそれを見つめている。
「女…つけ上がるな…お前じゃ私には勝てない…だから素直に…」
ヴェーは表情を変えずに、ミコトを指差してそう告げたが、ミコトも負けじとそれに返す。
「そんなの、やってみないとわからないじゃん!」
「わかる…お前は人間…私たちとは…そもそも創りが違う…」
「創り…?何を言ってるのかよくわかんないけど、やりもせずに諦めるなんて、私はそんなことしない!」
ミコトの強気な態度に対して、ヴェーは舌打ちした。それを聞いたヴィリは、さらに心配そうな表情を浮かべてヴェーを見る。
「おまえ…調子に乗り過ぎ…痛い目にあう前に答えるべき…」
「そんな脅しには乗らない。先にあなたたちの目的を教えてくれたら、答えてあげてもいいよ。」
「……」
ヴェーは突然押し黙った。少し下を向いているせいかその表情は見ることができない。その様子を見て警戒心を高めるミコトに、ゼンが小さく告げる。
『ミコト…目の前の御方だが…』
「わかってる…神様なんでしょ?」
『あぁ…イノチに力を授かっているとはいえ、侮るなよ。』
ミコトはその言葉に小さく頷いた。それと同時にヴェーがゆっくり前を向く。だが、先ほどとは違い、その瞳は紫の光を宿していた。
後ろの方で、ヴィリが「あ~あ、知らねぇぞ。」と額に手を置いてため息をついているが、ヴェーはそんなことを気にすることなく、ミコトに殺意を向ける。
「女…後悔するな…」
「後悔…?後悔って文字通り、後でするものでしょ?」
「…やっぱり…死ね…」
その瞬間、ヴィリが大きく叫ぶ。
「おい、屍士!ヴェーに合わせろよ!」
ヴィリの声に、止まっていた執事たちも一斉に動き出し、それに合わせてヴェーが姿を消す。
『ミコト来るぞ!心してかかれよ!』
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