豚姫

にしめ

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決意表明

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私みたいななんの取り柄もない人でも役に立てるチャンスかもしれない…
そう考えてみるが1人で大勢の前で歌うのはやはり怖かった。
その考えを私は結局捨てることになる。
ライブを聞いた次の日、昼休みに岸くんが私の元へやってきた。私は、高校では友達を作ることに成功しなんとかボッチは回避していた。
そのため、友達とお弁当を食べている時に突然声をかけられ友達たちに何?何?と聞かれるはめになった時なんだか嬉しかった。
まぁそんなことは置いといて、岸くんは
「間宮さんちょっと来て欲しいんだけど…」
と私を教室の後ろの方に誘い出した。
「バンドのこと考えてみた?」
「考えたけど、大勢の中で1人で歌うのはやっぱり怖い…」
素直に気持ちを伝えると、岸くんは
「間宮さん、何言ってんの?間宮さんの歌声聴いていて心を動かされるし俺らのバンドにピッタリなんだよ!間宮さんなら絶対に多くの人に愛されるボーカルになる!」
と自信に満ちた表情で私の肩を叩いた。
「そうかな…」
「間宮さん、油性歌屋には君が必要なんだよ!明日ライブハウスに来て答えを聞かせてね」
そう岸くんに言われ私はハッとさせられた。
私は誰かに認められたことが今まで無かった。
マオさんに認められたのが初めてだった。
そして、油性歌屋のみんなが認めてくれた。
誰からも必要とされて来なかった自分でも誰かの役に立てる、それならやってみる価値がある!
今まで散々いじめられてきたんだ今さら何を言われたって私はもうへこまない!
歌声を認めて貰えたんだ!
このチャンスを無駄になんてできない!
私は遂に油性歌屋のボーカルになることを決意した。
これが岸くんに最後の誘いをかけられた時の夜、寝る前に決めた最初の運命を変える瞬間だった。
そして約束の期日私はライブハウスに向かった。岸くんと一緒に。
「間宮さんどうなの?」
「やるかどうかはライブハウスに皆さんが集まった時に話す」
「確かに俺だけ先に聞くのもおかしいか」
と岸くんは笑顔を見せた。
そしてライブハウスに着いた。
マオさんと加藤先輩は先に着いていた。
「よぉ、しのちゃん!それで決めた~?」
マオさんがいの一番に聞いてきた。
加藤先輩も岸くんも私をまじまじと見る。
「はい、決めました!私、ボーカルやります!」
私は背筋をピンと伸ばし自信に満ちた表情で言った。
さぁこれからが本番。油性歌屋の時代の幕開けです。
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