上 下
47 / 49

四十七話 動き

しおりを挟む
「さっきのも壁を破壊したけど....え?威力が....」

(もし当たったら私達も粉々よ....)

「早く倒さないと不味そうだ。」

二人共頭を抱えている。私もだが。すると大きな音がして私達がいる壁と同じような高くて分厚い壁が道を作っていた。

「....迷路?」

「確かに迷路っぽいな。」

(でも、なんで迷路が?)

「もしかしたら、倒さないで迷路を攻略するとか?」

二人は納得する様子を見せた。

「なるほどな、確かにそれだとこの強さもわかるな。」

(じゃあ進みましょ‼この壁の高さならきっとバレないでしょ!)
そしてスピカが次の壁に向かってゆっくり進もうとするとスピカと私の間を風の刃が壁を貫いた。

「ふぁっ⁉」

「出るぞ‼こいスピカ‼」

(はっはい‼)

レイド兄さんが私を抱えて(お姫様抱っこではない)他の壁へと移動した。でも移動先の壁もまたすぐに突き破られた。

「いやっ、あのっ、レイド兄さん⁉」

「うるさい‼黙ってろ‼」

「はいっ‼」

避けても避けても壁が私達が通ったあとには粉々になってる。だからもし止まったら死だ。
だけど私を抱えて走っているレイド兄さんもスピカも息切れが激しい。止まるのは時間の問題だ。その中レイド兄さんがしびれを切らした。

「俺が囮になるからその間どっかに隠れて攻略する方法でも考えてくれ‼」

「いやっ、でも!」

(分かったわ‼)

そしてレイド兄さんは少し止まり、私を次の次ぐらいの壁まで投げ飛ばした。私は少し違和感を感じた。だって、今レイド兄さんは攻撃されていないから。そして私は着地し、移動しようとするレイド兄さんをよ呼び止めた。

「待って‼そのまま動かないで‼」

レイド兄さんの動きが止まった。

「....攻撃が来ない?」

(確かに、いきなり攻撃がやんだわ。)

「理屈はわからないけどね。でも、少し作戦が出来た。」

「言ってみろ。」

「その前に。」

私は抱えられているときに粗っぽいけど魔法をイメージしていた。

『マッピング』

ここらへん一帯は全部陰があるから容易くマッピング出来た。性能は作ったばっかりだからイマイチだけどそれでもまぁ地図としての役割は果たしてくれるでしょ。

「地図か?」

(また規格外なことを....)

「まぁまぁ、それで、あともう一つ。」

『身代わり』

私は自分の三人の陰から自分たちにそっくりな陰を作った。もちろんこれもさっき作ったばっかだから顔とかは出来ずに陰の人形って感じだけど。

「.....」

(もう驚かないわ....)

なんかすっげぇ気まずくなってるけどもうなんか自分が耐えきれなくなってきた。

「まぁまぁ、それで『これ』を使って、ゴールにたどり着くって感じ。」

「なるほどな。けどゴールまで距離があるぞ?その間は?」

「その間は、私が反対方向に動かすよ。」

(でも身代わりってばれない?)

「これは憶測だけど今回のは“動き”が重要だと思う。動いたらいっつも攻撃されてたじゃん?だから私達が静かに、素早く移動して、『身代わり』は大きく、荒く移動すればうまくいくと思うんだ。」

(なるほどね~それなら私は賛成よ。)

「俺も賛成だ。」

「よしっ‼じゃあ始めるよ‼」

ふたりの賛成が出たことで私は気合が入った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

処理中です...