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四十六話 風

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―――目を覚ますと、薄暗い天井が目に入った。

「おっ、起きたか。」

(おはよ~ディル!もう身体は大丈夫なの?)

起きてすぐのもあり、二人の反応が予想外だったこともあり、驚きが隠せない。

「えっ?ああ、うん。大丈夫だよ....?」

「これから進むのを一旦停止するけどなんでかわかるか?」

二人がニコニコしながら肉を焼いている。この光景に似たの、前にも...見た気がする。
私はなんとな~く、二人から視線を外す。

「......なんでございましょう。」

「もちろん。」

(説教に決まってるじゃない♬)

「.....あっはい。」
この日のことを私は一生忘れることは無いだろう。その....説教のあと、二人は今の現状を話してくれた。まずは予想通り《風耐性大幅減》になっていた。そして私は丸一日寝ていたらしい。二人はその間猪突猛進で2層まで進んでくれた。体力は回復してるって言ってたけど、服がぼろぼろなのは見て分かったからとても迷惑をかけてしまったんだなって申し訳なかった。迷惑はかけて当然とかレイド兄さんから言われたけどやっぱり迷惑かけると申し訳ないって思ってしまった。

「今んとこそんなもんだな。特にあれこれっていうわけでも無いからとっとと進むぞ。」

(頑張っちゃいましょ!)

「うん!挽回できるように頑張るよ!」

もうなんか怒られてテンションが迷子になっているのか全員が猪突猛進で突き進んで、最後の魔物まで青の神殿見たく時間はかからなかった。いやまぁ時間はかかったけどね⁉
私達はそして最後の扉の前に来た。重い扉の隣には松明があり、その松明が今にも消えそうなくらい風が強く吹いている。

「ふぅ。ここを通ったら前回と同じでボス戦だな?」

(そうよ。青の創造主から聞いた通りだと、青の神殿と同じになってるはず。)

「それじゃあ、行こう‼」

私達は重い扉を一斉に開けた。開けたときだけ、風が止んだ。開けた先には高い高い壁があった。

「なんだこれ....」

「とりあえず『サーチ』かけるね!」

(待って‼….何か、音がしない?)

『サーチ』をかけようとした手をスピカが止めた。

「音って?」

(風の音がするわ....)

スピカが言うとその風の音はどんどん大きくなってきた。

「ちょっと様子見てくる。」

私が壁の外の様子を見ようとした。

「待て‼外に出るな‼」

レイド兄さんが私の首根っこを掴んで外へ出ようとした私を引っ張った。

その瞬間、私の目の前を風の刃が横切り、壁を破壊した。レイド兄さんが首根っこを掴んで引っ張ってくれなかったら私は死んでいた。私はびっくりして腰が抜けてしまった。

「大丈夫か⁉」

「少しだけ、敵の姿が見えた....?」

(どういうこと?)

私はレイド兄さんに引っ張られる前に敵の姿を見た。が、実際には見えてない。
だって、姿がなかったから。敵って分かったのは変に風が見えたから。風なんて見えるはず無いのに。

「いたの!ちゃんと!でもなんか姿が見えなくて....とにかく!敵はいる!以上!」

「....なるほどな。じゃあとっととここを移動したほうが良さそうだ。もしかしたらこの壁ごとまた攻撃されるかもだしな。」

(じゃあ目の前にここと同じ壁があるわ。そこに移動しましょ!)

「よしっ。それじゃあいくぞ!」

私達が目の前の壁に素早く移動した瞬間。さっきいた壁が粉々に風の刃で砕かれた。

(「「はっ?」」)
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