42 / 49
四十二話 新魔法の試し打ち
しおりを挟む
――私達はオーク討伐に向かっていた。
「そろそろバイオウルフが出てもいい頃合いだが....」
そう、レイド兄さんが言った瞬間に後ろでガサッと草が揺れる音がした。突然音がしたお思ったら今度は狼が飛び出してきた。真っ黒な毛並みでところどころ白いところがある。
「来たぞ!バイオウルフだ!」
レイド兄さんは私を守るように囲っている。私も戦闘態勢に入りながらもこれがバイオウルフねと関係ないことを考えてしまう。
バイオウルフが一体、率先して突っ込んで来たところをレイド兄さんは逃さず綺麗に切断する。多分素材を傷つけないように慎重にやっているんだと思う。バイオウルフがその後、警戒しながらジリジリと間合いを詰めてくる。見た感じ群れで行動していてざっと20ぐらいはいることを確認した。けどレイド兄さんがなりふり構わず群れに突っ込んでいって倒していくので私のところに流れてくるのは少なく、とてもやりやすかった。その中で新魔法について考えてみた。新しい魔法は補助系がいいのかな?とか。考える前にあっさりと終わってしまったからあんまり考えて無いんだけどね。
「終わったから素材取るぞ~」
「はーい。」
私はもうなれた手順で素材を剥ぎ取った。いや~いつかはなれるだろうと思ってたけどもう慣れるとは....やっぱなれって怖いわ~。そこから20体もの素材を剥ぎ取り、これであとはオーク討伐だけとなった。
「ところで少しは新魔法考えたのか?」
「いや~う~ん今までは攻撃だったから補助系?とか。」
(良いんじゃない?でも闇魔法で補助系って思いつかないわね....)
「う~ん。」
歩き始めて数分。道も少し険しくなってきた頃、大きな足音がした。もしかしたらオークかもしれない。
「近いな。」
「うん。」
レイド兄さんが率先して前に出てそのまま歩き始めると案外早く足音のする場所へと着いた。想像したとおりオークだった。隣の木と同じかそれ以上くらいある。こん棒を持っていて言い方は悪いけど太っていた。私は『サーチ』をかけた。前にゴーレムと戦ったときから魔物を見たときに反射的にやるようになったのだ。
「二体いるな、一体は俺がやる。残りは二人でやれ。」
『サーチ』をかけ終わる前にレイド兄さんが気づいた。そしてオークに突っ込んでいった。私はその背中を見て、『サーチ』なしでも気づけるように頑張ろうと誓った。そして一体のオークはレイド兄さんに。もう一体は私達がやることになった。
(それで?どうするの?)
「う~ん。ちょっと今思いついたのをやっていい?」
(えっ?)
強くイメージ。新しい魔法だから慎重に。それを心がけて私はオークに手をかざした。
黒の闇魔法で個人的にぴったりだと思う魔法。
『ブラックアウト』
私がそう言うとオークの目の周りが黒いモヤで覆われた。私はその姿を見て成功しているか祈った。
(えっ、何したの?)
「えっと、成功したらなんだけど対象の相手を盲目にさせる魔法にしたんだ。視界って奪われると結構何もできないでしょ?」
スピカは感心したのかと思えば苦笑いをした。
(よくそんなえげつないことを考えるわね....)
「それ褒めてるの?」
(まぁいいわ、とっとと倒しちゃいましょ?)
「そう切り捨てるスピカも私は怖いと思うけどね....」
思ったとおりサクッとオークを討伐できた。正直今まで死線をくぐり抜けてきたんだもの、負けるはずがないと確信していた。そしたらレイド兄さんも終わったっていう報告があったから、毎回のように依頼完了の素材を剥ぎ取って街に戻り、依頼を完了して素材も買い取ってもらって....ってまぁ平穏だよね。
「じゃあ金も手に入ったし、宿で一泊でもするか。」
「まじで⁉やったね!」
「でも武器も新調するんだぞ。」
(分かってるわよ~)
私達はこの街で評判の良い宿の部屋をとり、少し部屋で休憩していた。
「そういえばディル、新魔法はできたのか?」
「ああ、それ?できたと思う。まだ完璧じゃ無いと思うけどね。」
(またとんでもない魔法を生み出したのよ?全く....)
「それで?どんな魔法なんだ?」
「『ブラックアウト』っていう魔法。」
「何だそれ?」
「使ってみても良い?」
私はレイド兄さんの許可が降りたのでレイド兄さんに『ブラックアウト』をかけることにした。レイド兄さんの眼に黒いモヤが出てくる。
「.....これまた。」
「大丈夫?レイド兄さん。」
「対象の相手を盲目にさせる魔法か?」
「あったり!やっぱ分かっちゃうか~」
(えげつないけど使えそうよね。)
「折角出し他にも作ろうと思ったけどイメージできなかったや。」
そんなくだらないことを話していると今までの疲れが一気に私達に来て武器屋に行こうとか言ってたのにすぐに寝てしまった。スピカはお風呂に必ず入ってたけどね。
「そろそろバイオウルフが出てもいい頃合いだが....」
そう、レイド兄さんが言った瞬間に後ろでガサッと草が揺れる音がした。突然音がしたお思ったら今度は狼が飛び出してきた。真っ黒な毛並みでところどころ白いところがある。
「来たぞ!バイオウルフだ!」
レイド兄さんは私を守るように囲っている。私も戦闘態勢に入りながらもこれがバイオウルフねと関係ないことを考えてしまう。
バイオウルフが一体、率先して突っ込んで来たところをレイド兄さんは逃さず綺麗に切断する。多分素材を傷つけないように慎重にやっているんだと思う。バイオウルフがその後、警戒しながらジリジリと間合いを詰めてくる。見た感じ群れで行動していてざっと20ぐらいはいることを確認した。けどレイド兄さんがなりふり構わず群れに突っ込んでいって倒していくので私のところに流れてくるのは少なく、とてもやりやすかった。その中で新魔法について考えてみた。新しい魔法は補助系がいいのかな?とか。考える前にあっさりと終わってしまったからあんまり考えて無いんだけどね。
「終わったから素材取るぞ~」
「はーい。」
私はもうなれた手順で素材を剥ぎ取った。いや~いつかはなれるだろうと思ってたけどもう慣れるとは....やっぱなれって怖いわ~。そこから20体もの素材を剥ぎ取り、これであとはオーク討伐だけとなった。
「ところで少しは新魔法考えたのか?」
「いや~う~ん今までは攻撃だったから補助系?とか。」
(良いんじゃない?でも闇魔法で補助系って思いつかないわね....)
「う~ん。」
歩き始めて数分。道も少し険しくなってきた頃、大きな足音がした。もしかしたらオークかもしれない。
「近いな。」
「うん。」
レイド兄さんが率先して前に出てそのまま歩き始めると案外早く足音のする場所へと着いた。想像したとおりオークだった。隣の木と同じかそれ以上くらいある。こん棒を持っていて言い方は悪いけど太っていた。私は『サーチ』をかけた。前にゴーレムと戦ったときから魔物を見たときに反射的にやるようになったのだ。
「二体いるな、一体は俺がやる。残りは二人でやれ。」
『サーチ』をかけ終わる前にレイド兄さんが気づいた。そしてオークに突っ込んでいった。私はその背中を見て、『サーチ』なしでも気づけるように頑張ろうと誓った。そして一体のオークはレイド兄さんに。もう一体は私達がやることになった。
(それで?どうするの?)
「う~ん。ちょっと今思いついたのをやっていい?」
(えっ?)
強くイメージ。新しい魔法だから慎重に。それを心がけて私はオークに手をかざした。
黒の闇魔法で個人的にぴったりだと思う魔法。
『ブラックアウト』
私がそう言うとオークの目の周りが黒いモヤで覆われた。私はその姿を見て成功しているか祈った。
(えっ、何したの?)
「えっと、成功したらなんだけど対象の相手を盲目にさせる魔法にしたんだ。視界って奪われると結構何もできないでしょ?」
スピカは感心したのかと思えば苦笑いをした。
(よくそんなえげつないことを考えるわね....)
「それ褒めてるの?」
(まぁいいわ、とっとと倒しちゃいましょ?)
「そう切り捨てるスピカも私は怖いと思うけどね....」
思ったとおりサクッとオークを討伐できた。正直今まで死線をくぐり抜けてきたんだもの、負けるはずがないと確信していた。そしたらレイド兄さんも終わったっていう報告があったから、毎回のように依頼完了の素材を剥ぎ取って街に戻り、依頼を完了して素材も買い取ってもらって....ってまぁ平穏だよね。
「じゃあ金も手に入ったし、宿で一泊でもするか。」
「まじで⁉やったね!」
「でも武器も新調するんだぞ。」
(分かってるわよ~)
私達はこの街で評判の良い宿の部屋をとり、少し部屋で休憩していた。
「そういえばディル、新魔法はできたのか?」
「ああ、それ?できたと思う。まだ完璧じゃ無いと思うけどね。」
(またとんでもない魔法を生み出したのよ?全く....)
「それで?どんな魔法なんだ?」
「『ブラックアウト』っていう魔法。」
「何だそれ?」
「使ってみても良い?」
私はレイド兄さんの許可が降りたのでレイド兄さんに『ブラックアウト』をかけることにした。レイド兄さんの眼に黒いモヤが出てくる。
「.....これまた。」
「大丈夫?レイド兄さん。」
「対象の相手を盲目にさせる魔法か?」
「あったり!やっぱ分かっちゃうか~」
(えげつないけど使えそうよね。)
「折角出し他にも作ろうと思ったけどイメージできなかったや。」
そんなくだらないことを話していると今までの疲れが一気に私達に来て武器屋に行こうとか言ってたのにすぐに寝てしまった。スピカはお風呂に必ず入ってたけどね。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる