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八話 平和に....

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この世界に来てなにげにもう三日目になっていた。一日目はこの世界に呼び出されて初めて牢に入り、二日目は逃げ出したのものまた殺されかけた。今日こそは平和になるといいな。
私達はこれからどうするかを二人で考えていた。

「やっぱりこのままここに住むわけにはいかないよ。それにお金も一応持っておかないといざって時に...う~ん」

(あっ、じゃあ冒険者ギルドにいけば?多分貴方ぐらいだったらすぐにオッケーをもらえると思うわよ?)

「.....あるんだね、その冒険者ギルドというものが...」

私はもうファンタジーで定番の冒険者ギルドという言葉を聞いて頭の中ではどんちゃん騒ぎだ。ニヤニヤを抑えようとするけど無理。楽しみすぎる。

「うん‼その案採用‼あ...でもやっぱりこのボロボロの服だとダメだよなぁ」

あと顔も変えておきたいし...

(貴方のオリジナルで服を作れば?)

私はなぜ思いつかなかったんだ‼そんな事‼そうだね‼もうこのまま服も顔を変えるか‼
私はすごい勢いで頷いてグッドポーズをした。
私はもうすごい勢いで服のイメージをした。もう自分のなりたい姿に妄想を膨らむに膨らませた。もう自分でも驚くぐらい今までで一番本気になっていた。

『影縫い』

私がそう言うと私の下の影が私の体を覆った。スピカは心配そうに私を見ていたけどすぐに顔も影が覆った。

私をまとっていた影が引いていく。目の前には目をまんまるにしたスピカがいた...

(すっごい....こんなことも出来るのね....)

私が想像したのは、茶色い胸当てに肘まで折った白いシャツ、ぴっしりしてるズボンだけど裾がくしゃくしゃになって顔はきれいな黒髪の前髪があるロングを一つにまとめて目は少しきりりとした感じにして黒髪とあう感じにしよう。あ、あと、武器がなかったら怪しまれると思うから腰にベルト、そこに短剣を後ろにつけている、うん。例えるなら〈まぁまぁ運動ができる新人冒険者〉だ。私の妄想が爆発した。傑作です。

「どう?大丈夫そう?」

(え...ええ、うん、面影はあるけど初めてみた人にはわからないわ。魔法って改めてすごいと思ったわよ。)

スピカが言うなら間違っては無いだろうな。なかなかいいんじゃないか?よしよし、これで冒険者ギルドに行ける。

「じゃ行こう?」

(....うん)

何かを考えているスピカを見てちゃんとついてくるか心配だったけど、ちゃんとついてきていた。片腕を肘につけて、もう片方の手を顎につけて、じっと何かを考えながらフヨフヨとついてくる姿に面白くて吹いてしまいそうになった。ん?なにか忘れてないかな、なんか...こう...すごく今思い出さないとやばいもの....まぁ思い出さないってことはそんなに大変なことじゃないと思うから大丈夫かな?
すぐに森を抜けたらすぐに大きな塀を見つけた。すぐに石でできた門があったのでそこに向かうと何やら門番さんがいる。やっぱりなんかお金とか取られたりするのかな....

(精霊がいると大変なことになるからしばらくは姿を消すわね。)

私はこそっとスピカが言ったから私はコクリと頷いて門番に歩いていった。

「あの~、すみません。この門を通りたいのですが田舎から出てきたばっかで何も持っていなくて....」

「ん?身分証も持っていないのか....そうだな....って!?あの‼もしかしてその田舎ってヘルト村から来たのですか!?」

はい?え、ヘルト村ってなんですかってこっちが聞きたい。けどきっとここで聞き返すと更に怪しまれる気がする....ん~うん。そういうことにしよう。理由とかなんか色々と考えなくてもいいしね。そうしよう。

「はい。一応...そのヘルト村から来ました。」

「おおお‼やっぱりそうですか‼そういうことでしたらぜひ‼あっ、冒険者ギルドに行くんですよね‼よかったら案内します‼」

「えっ‼本当ですか!ありがとうございます‼」

そう言うと門番さんは確認を取るかのように門にあった木の扉を開け、何やらボソボソと話すと何やら大声がしてから、門番さんが出てきた。その大声の意味がわからなかったけどまぁまぁ。なにわともあれいいんじゃないか?うんうん、いい方向に順調に進んでいる気がする。そして私は門番さんに案内されながらギルドに入った。またまたギルドに入ると歓声みたいなのが上がって怖かった、なんで歓声が上がったの?と頭でいっぱいいっぱいだったけどなんとか!冷静を保っていた。もうなんかとっとと登録をしたかったので受付に行くと可愛らしい受付の人がいた。

「こんにちは‼私はここのイニーギルドの受付をしています‼カリーナと申します‼冒険者登録ですか?」

「はい。冒険者登録をしに来ました。」

そのカリーナという人は金髪のふわふわした髪の毛を高く二つ結びにして、目はくりくりしている。目の色は森の葉っぱのようなきれいな緑色だった。日本の学校のクラスメイトで例えると陽キャのリーダーについていくちょっと清楚っぽい可愛い女の子みたいな感じだ。

「あの‼もしかしてあの〘青炎〙の二つ名を持つレイドさんの妹さんですか!?」
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