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番外編 エリックside 〜アエリアとのお出掛け〜
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ハリスの事件から2ヶ月後。
殿下がドイル国の真実を公表して国の改革を始めた。
はじめこそ貴族社会を中心に多少の混乱はあったものの、国民達は改革に対して好意的でドイル国が何のしがらみのない自由な国になるのはそんな遠い未来の話ではないかもしれない。
ドイル国は今、過去の呪縛から解き放たれて新たな道を進もうとしている。
私もあの事件後すぐに政務局を辞めて殿下の側近として改革に携わらせてもらっている。
殿下とはこの2ヶ月でかなり信頼関係を気付けてきた。
昔の気まずさはもう無い。
そして、それから数ヶ月経ち、国内の改革が落ち着いてきた頃、帝国との同盟が正式に締結される事が国中に伝えられた。
そして、それと同時にアエリアが帝国に行く事を私は父から教えられた。
アエリアが帝国に行けばもう今まで以上に会う事は難しくなる。
私は心の中で複雑な思いがうごめく。
『アエリアも今度一緒に街に行こう。その時にはアエリアに似合いのものを買ってあげるよ』
もう何回も約束をしていながらも一度も叶えられなかったアエリアとの約束。このまま果たせずに終わってしまうのだろうか?
最初に約束した時、アエリアは満面の笑顔だった。でも、次第にアエリアは約束の度に悲しげな微笑みを向けるようになっていった。
毎回、誘おうとアエリアの部屋の前まで行くが、妃教育で疲れ切ったアエリアの表情が脳裏に浮かぶ。
マリーナにも「アエリアに無理させたくないわ」と言われて次第に誘うのを遠慮するようになっていた。
アエリアに無理をさせたくなくて……アエリアと殿下の時間を邪魔したくなくて……先延ばしになってしまっていた約束を私はどうしてもはたしたかった。
私は殿下と父に理由を話してなんとか丸1日休みをもらうとアエリアの元に向かった。
「アエリア。明日、一緒に街に買い物へ行かないか?」
私がアエリアの部屋に行き声を掛けるとアエリアはキョトンとした顔をする。
「明日……ですか?」
「あぁ。前から約束していただろう?」
私がそう言うとアエリアは一瞬驚いた顔をしてから嬉しそうに微笑んだ。
翌日、街へ行くためにアエリアをエスコートして馬車に乗り込んだは良いが、私はアエリアと今までこのように2人きりで過ごした事が全くない事にその時はじめて気付いた。
いざとなると何を話したらいいか分からない。
アエリアは嬉しそうに馬車の外を眺めている。
一つ一つの動作が上品でひいき目で見なくてもアエリアは美しい淑女だった。
いつのまにかこんなに大きくなっていたんだな……
私がオムツを替えてあげていた時の面影はもうない。
当たり前の事なのに、改めて感じてしまう。
馬車が着いたのはマリーナとよく来ていた可愛らしい雑貨屋だった。
女性が気に入りそうな店をそこしか知らなかったので深く考えずにきてしまったが、入口に立った瞬間に少し胸が痛む。
「ここはお姉様と来られていたお店ですか?」
「あぁ……よく来てた。マリーナの好きな店だ」
嘘を言う必要もないので私が答えるとアエリアは優しく微笑えむ。
「連れてきて頂きありがとうございます。お兄様」
そう言ってアエリアは迷いなく店の中に入って行く。
所狭しと並べられた商品に驚きつつ、目を輝かせて小さな子供のように色々な物を見ているアエリアに私は近づく。
「気に入ったものがあったら買ってあげるよ」
私が言うとアエリアは嬉しそうに頷く。
年頃の女の子に関わらず、今までこのような店にすらきた事がなかったんだな……
「ここに来る度にアエリアにお土産をと思っていたけど何を買ったらアエリアが喜んでくれるかわからなかった。母達やマリーナ、マリテレス。サラの喜ぶ物はわかるのにアエリアには何を買ったらいいか迷ってしまってずっと買ってあげられなかった。だからずっとアエリアをここに連れてきてあげたいと思っていたんだ」
私が目の前に置かれていたウサギの形の小物入れを手に取り呟くと、アエリアはその小物入れを私から受け取り微笑む。
「なんでも嬉しいですよ。だってお兄様が私の為に思い悩んでくださったものならきっと素敵な物ですもの。お兄様……今日の記念に私の為に何か選んで下さいませんか?」
アエリアの言葉に涙が出そうになった。
私は悩みに悩んでアエリアの赤茶の髪に合いそうな銀細工の髪飾りを選んだ。
「素敵ですね。お姉様が言っていた通りお兄様はセンスがいいですね」
アエリアはそう言ってその髪飾りを付ける。
私は耐えきれず涙を溢してしまう。
「似合うよ。アエリア」
私がそう言ってアエリアの髪に触れるとアエリアは私の手に自らの手を重ねる。
「一生大切にしますね。お兄様」
嬉しそうに笑うアエリアをみて私は胸がいっぱいになった。
殿下がドイル国の真実を公表して国の改革を始めた。
はじめこそ貴族社会を中心に多少の混乱はあったものの、国民達は改革に対して好意的でドイル国が何のしがらみのない自由な国になるのはそんな遠い未来の話ではないかもしれない。
ドイル国は今、過去の呪縛から解き放たれて新たな道を進もうとしている。
私もあの事件後すぐに政務局を辞めて殿下の側近として改革に携わらせてもらっている。
殿下とはこの2ヶ月でかなり信頼関係を気付けてきた。
昔の気まずさはもう無い。
そして、それから数ヶ月経ち、国内の改革が落ち着いてきた頃、帝国との同盟が正式に締結される事が国中に伝えられた。
そして、それと同時にアエリアが帝国に行く事を私は父から教えられた。
アエリアが帝国に行けばもう今まで以上に会う事は難しくなる。
私は心の中で複雑な思いがうごめく。
『アエリアも今度一緒に街に行こう。その時にはアエリアに似合いのものを買ってあげるよ』
もう何回も約束をしていながらも一度も叶えられなかったアエリアとの約束。このまま果たせずに終わってしまうのだろうか?
最初に約束した時、アエリアは満面の笑顔だった。でも、次第にアエリアは約束の度に悲しげな微笑みを向けるようになっていった。
毎回、誘おうとアエリアの部屋の前まで行くが、妃教育で疲れ切ったアエリアの表情が脳裏に浮かぶ。
マリーナにも「アエリアに無理させたくないわ」と言われて次第に誘うのを遠慮するようになっていた。
アエリアに無理をさせたくなくて……アエリアと殿下の時間を邪魔したくなくて……先延ばしになってしまっていた約束を私はどうしてもはたしたかった。
私は殿下と父に理由を話してなんとか丸1日休みをもらうとアエリアの元に向かった。
「アエリア。明日、一緒に街に買い物へ行かないか?」
私がアエリアの部屋に行き声を掛けるとアエリアはキョトンとした顔をする。
「明日……ですか?」
「あぁ。前から約束していただろう?」
私がそう言うとアエリアは一瞬驚いた顔をしてから嬉しそうに微笑んだ。
翌日、街へ行くためにアエリアをエスコートして馬車に乗り込んだは良いが、私はアエリアと今までこのように2人きりで過ごした事が全くない事にその時はじめて気付いた。
いざとなると何を話したらいいか分からない。
アエリアは嬉しそうに馬車の外を眺めている。
一つ一つの動作が上品でひいき目で見なくてもアエリアは美しい淑女だった。
いつのまにかこんなに大きくなっていたんだな……
私がオムツを替えてあげていた時の面影はもうない。
当たり前の事なのに、改めて感じてしまう。
馬車が着いたのはマリーナとよく来ていた可愛らしい雑貨屋だった。
女性が気に入りそうな店をそこしか知らなかったので深く考えずにきてしまったが、入口に立った瞬間に少し胸が痛む。
「ここはお姉様と来られていたお店ですか?」
「あぁ……よく来てた。マリーナの好きな店だ」
嘘を言う必要もないので私が答えるとアエリアは優しく微笑えむ。
「連れてきて頂きありがとうございます。お兄様」
そう言ってアエリアは迷いなく店の中に入って行く。
所狭しと並べられた商品に驚きつつ、目を輝かせて小さな子供のように色々な物を見ているアエリアに私は近づく。
「気に入ったものがあったら買ってあげるよ」
私が言うとアエリアは嬉しそうに頷く。
年頃の女の子に関わらず、今までこのような店にすらきた事がなかったんだな……
「ここに来る度にアエリアにお土産をと思っていたけど何を買ったらアエリアが喜んでくれるかわからなかった。母達やマリーナ、マリテレス。サラの喜ぶ物はわかるのにアエリアには何を買ったらいいか迷ってしまってずっと買ってあげられなかった。だからずっとアエリアをここに連れてきてあげたいと思っていたんだ」
私が目の前に置かれていたウサギの形の小物入れを手に取り呟くと、アエリアはその小物入れを私から受け取り微笑む。
「なんでも嬉しいですよ。だってお兄様が私の為に思い悩んでくださったものならきっと素敵な物ですもの。お兄様……今日の記念に私の為に何か選んで下さいませんか?」
アエリアの言葉に涙が出そうになった。
私は悩みに悩んでアエリアの赤茶の髪に合いそうな銀細工の髪飾りを選んだ。
「素敵ですね。お姉様が言っていた通りお兄様はセンスがいいですね」
アエリアはそう言ってその髪飾りを付ける。
私は耐えきれず涙を溢してしまう。
「似合うよ。アエリア」
私がそう言ってアエリアの髪に触れるとアエリアは私の手に自らの手を重ねる。
「一生大切にしますね。お兄様」
嬉しそうに笑うアエリアをみて私は胸がいっぱいになった。
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