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番外編 マリーナside②
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全ては上手く進んでいる。
全ては私の思い通りに進んでいる。
私は心の奥底から喜んだ。
でもそんな中、お兄様の婚約が決まった。
なぜ? ……なぜお兄様はまた私から離れて行こうとするの?
「お兄様。幸せそうですね。お相手のサラ様は御学友らしいですよ。お互い信頼しあっての婚約らしいです。羨ましいですね」
私が苛立ちを募らせていると隣に立つアエリアが私に向かって言ってくる。
何言っているの? こいつ……
私は苛立ちの全てをアエリアに向ける。
「ハリス。お兄様を魅了で落とせないの?」
『魅了は使ってはダメ。バレてしまったら全てが水の泡よ』
「でも、ぽっと出の女にお兄様を取られちゃうわ」
『大丈夫よ。全ては上手くいくから。今だけの我慢よ』
私は納得がいかないけどとりあえずハリスの言う通りに我慢した。
表面上、私はアエリアへの恨みを隠して優しく接する。
しつこいくらいにアエリアにくっついていい姉を演じる。
でも、アエリアがより孤独を感じるようにアエリアの行動を観察してみんなを誘導する。
少しでも私をおかしいと思う人がいれば瞬間的に惑わせる。
私の思い通りにいかない人は軽い魅了を使う。
それこそバレないように上手く力をコントロールして……
『力の使いすぎには気をつけて。アエリアに復讐する為に今はまだケンビットを惑わせるだけ。全てが終わったら私達の思い通りよ』
「思い通り?」
『そう。思い通りよ』
お兄様は私のもの。誰にも渡さない。
それ以降も特に問題なく物事は私の思い通りに物事は進んでいった。
お兄様の婚約で焦りはあったけど、焦りは禁物。私の計画にはどんな些細な失敗も許されない。
カサドラリドの産業祭に行った際、レイ様がこの世界ではまだ珍しいグラスをアエリアへのお土産にと持たされた。
レイ様には「レイ様が選んだ」とちゃんとアエリアに伝えろと言われた。
それを伝えたから何だというのか?
バカな男……
『もう一つ同じものを買って王太子に渡しましょう。何かあった際の転移の媒体にできるから』
「転移?」
『全てを上手く終わらせるための保険よ』
私はハリスに言われるままレイ様にお願いをして同じグラスをもう1つ用意してもらい購入した。そこそこ値が張ったけど全てを思い通りに進められるのであれば安いものだ。
アエリアはそのグラスをすごい喜んだ。
そのグラスに込められた意味も知らずに……思わず笑いが込み上がる。
でもここで不測の事態が起こる。
アエリアがコスタル村に行った際、グランドールメイル国の皇帝に会ったと言うのだ。
以前、お父様と何かの式典に行った際に遠目で皇帝を見た事があるけど私自身はなんとも思わなかった。
今回も「だから?」という感じだったが、私の中のハリスが動揺し始めた。
「どうしたの?ハリス」
『だめよ。アエリアと皇帝を会わせてはダメ。何としても止めて』
「なんで?」
『2人を合わせたら計画が失敗する。だから絶対に会わせてはダメ』
計画が失敗?
そんな事させる訳がない。
私はハリスの言う通り王太子の魅了を少し強めてコントロールしやすくした。
王太子は何故だか魅了の掛りが予想以上に強くなっていた。
今まで蓄積してきた洗脳が開花し始めている。
こちらとしてはありがたいがこのままでは周りにバレてしまう。
まだその時期ではない。
「ハリス。どうしたらいい?」
『少し様子をみましょう』
心配をよそに王太子がいい働きをしてくれてアエリアを皇帝に合わせる事を阻止できた。王太子だけでは心許なくてエリアーナお義母様にも本当に僅かだけど惑わしの魅了の力をかけておいたのが功を成した。
全ては私の思い通りに動いている。
なんの心配もない。
そう思いつつも私の中にいるハリスはその頃からずっと落ち着きがなかった。
感謝の宴では皇帝の目に付かないようにひっそりと身を潜めながら参加した。
しかし、ここでまた新たな問題が発生する。
王太子の魅了の力が予想以上に表面に出てしまっていた。
『このままでは加護を持っている皇帝には王太子の魅了がバレてしまうわ』
「バレる?そんな事になったら全てが終わりじゃない」
『どうにかしないと……』
「どうすればいいの?」
私が訪ねるとハリスは黙り込む。
「ハリス?」
『ここは私に任せて。マリーナ。一度私達入れ替わりましょう』
「入れ替わる?」
そう言われた瞬間、胸が急に苦しくなる。
息ができない。
暗闇に堕ちていく感じ。
気がつくと私は小さな箱の様な所にいた。
「ここは?」
『大丈夫よ。とりあえず今は私に任せて』
ハリスは私と入れ替わるとすぐさま王太子に接触した。
箱の中にいても外の情報は手にとる様に分かった。
『もう限界ね。少し早いけど計画を実行しましょう』
「計画?」
『そう。全てを終わらせるの。もう少しで私達の思い通りよ』
「思い通り? 本当に?」
『ええ。全てを終わりにしましょう』
ハリスが行動を起こして全てが上手く行くと思った。
何も疑う事なくアエリアは破滅してお兄様は私のものになる。
そう思っていたのに……
そう思って疑わなかったのに……物事はそう簡単に進ませてはくれなかった。
数日後、部屋に皇帝の密偵が私を呼び出した。
『やはり来てしまったわね』
「どうするの?」
『直接対決するしかないわ。とにかくここは私に任せて』
「お願い。全て貴方に任せるから上手くやって」
『まかせて』
そこからはハリスに全て任せた。
皇帝を揺さぶり、王太子を再び操りに行った。
悪の根源のアエリアを抹殺する為に……
これですべてが上手くいくの。
これでお兄様は私のものになるの。
もうじき全てが終わる。
私の願ったお兄様との生活が送れるようになる。
ハリスの行動に私は高揚していた。でも、すべてを終わらせるはずのその場にそこにいるはずのないお兄様の姿があった。
「お兄様……?」
あまりの衝撃に意識が一瞬表に出る。
いや。いや。いや……
醜い私の姿を見ないで……
何でお兄様がここにいるの?
お兄様は何の関係もないでしょう?
お兄様の隣を見ると憎きアエリアが立っていた。
やっぱりお前が……お前が全て悪いんだ。
恵まれている癖にそれ以上お前は何を望むの?
憎い憎い憎い憎い憎い憎い……
そこから私の記憶はプツリと切れた。
再び私が目を覚ますと気分がスッキリしていた。
あれ? 私は何をしていたんだっけ?
そうだ。お兄様を探していたんだ。
慌てて見回してもお兄様の姿はそこにはない。
私は近くにいた男の人にニコリと微笑みかける。
「あなただぁれ? わたしまりーなよ。ねぇわたしのおにぃさまはどこ?」
早く大好きなお兄様に会いたいよ。
全ては私の思い通りに進んでいる。
私は心の奥底から喜んだ。
でもそんな中、お兄様の婚約が決まった。
なぜ? ……なぜお兄様はまた私から離れて行こうとするの?
「お兄様。幸せそうですね。お相手のサラ様は御学友らしいですよ。お互い信頼しあっての婚約らしいです。羨ましいですね」
私が苛立ちを募らせていると隣に立つアエリアが私に向かって言ってくる。
何言っているの? こいつ……
私は苛立ちの全てをアエリアに向ける。
「ハリス。お兄様を魅了で落とせないの?」
『魅了は使ってはダメ。バレてしまったら全てが水の泡よ』
「でも、ぽっと出の女にお兄様を取られちゃうわ」
『大丈夫よ。全ては上手くいくから。今だけの我慢よ』
私は納得がいかないけどとりあえずハリスの言う通りに我慢した。
表面上、私はアエリアへの恨みを隠して優しく接する。
しつこいくらいにアエリアにくっついていい姉を演じる。
でも、アエリアがより孤独を感じるようにアエリアの行動を観察してみんなを誘導する。
少しでも私をおかしいと思う人がいれば瞬間的に惑わせる。
私の思い通りにいかない人は軽い魅了を使う。
それこそバレないように上手く力をコントロールして……
『力の使いすぎには気をつけて。アエリアに復讐する為に今はまだケンビットを惑わせるだけ。全てが終わったら私達の思い通りよ』
「思い通り?」
『そう。思い通りよ』
お兄様は私のもの。誰にも渡さない。
それ以降も特に問題なく物事は私の思い通りに物事は進んでいった。
お兄様の婚約で焦りはあったけど、焦りは禁物。私の計画にはどんな些細な失敗も許されない。
カサドラリドの産業祭に行った際、レイ様がこの世界ではまだ珍しいグラスをアエリアへのお土産にと持たされた。
レイ様には「レイ様が選んだ」とちゃんとアエリアに伝えろと言われた。
それを伝えたから何だというのか?
バカな男……
『もう一つ同じものを買って王太子に渡しましょう。何かあった際の転移の媒体にできるから』
「転移?」
『全てを上手く終わらせるための保険よ』
私はハリスに言われるままレイ様にお願いをして同じグラスをもう1つ用意してもらい購入した。そこそこ値が張ったけど全てを思い通りに進められるのであれば安いものだ。
アエリアはそのグラスをすごい喜んだ。
そのグラスに込められた意味も知らずに……思わず笑いが込み上がる。
でもここで不測の事態が起こる。
アエリアがコスタル村に行った際、グランドールメイル国の皇帝に会ったと言うのだ。
以前、お父様と何かの式典に行った際に遠目で皇帝を見た事があるけど私自身はなんとも思わなかった。
今回も「だから?」という感じだったが、私の中のハリスが動揺し始めた。
「どうしたの?ハリス」
『だめよ。アエリアと皇帝を会わせてはダメ。何としても止めて』
「なんで?」
『2人を合わせたら計画が失敗する。だから絶対に会わせてはダメ』
計画が失敗?
そんな事させる訳がない。
私はハリスの言う通り王太子の魅了を少し強めてコントロールしやすくした。
王太子は何故だか魅了の掛りが予想以上に強くなっていた。
今まで蓄積してきた洗脳が開花し始めている。
こちらとしてはありがたいがこのままでは周りにバレてしまう。
まだその時期ではない。
「ハリス。どうしたらいい?」
『少し様子をみましょう』
心配をよそに王太子がいい働きをしてくれてアエリアを皇帝に合わせる事を阻止できた。王太子だけでは心許なくてエリアーナお義母様にも本当に僅かだけど惑わしの魅了の力をかけておいたのが功を成した。
全ては私の思い通りに動いている。
なんの心配もない。
そう思いつつも私の中にいるハリスはその頃からずっと落ち着きがなかった。
感謝の宴では皇帝の目に付かないようにひっそりと身を潜めながら参加した。
しかし、ここでまた新たな問題が発生する。
王太子の魅了の力が予想以上に表面に出てしまっていた。
『このままでは加護を持っている皇帝には王太子の魅了がバレてしまうわ』
「バレる?そんな事になったら全てが終わりじゃない」
『どうにかしないと……』
「どうすればいいの?」
私が訪ねるとハリスは黙り込む。
「ハリス?」
『ここは私に任せて。マリーナ。一度私達入れ替わりましょう』
「入れ替わる?」
そう言われた瞬間、胸が急に苦しくなる。
息ができない。
暗闇に堕ちていく感じ。
気がつくと私は小さな箱の様な所にいた。
「ここは?」
『大丈夫よ。とりあえず今は私に任せて』
ハリスは私と入れ替わるとすぐさま王太子に接触した。
箱の中にいても外の情報は手にとる様に分かった。
『もう限界ね。少し早いけど計画を実行しましょう』
「計画?」
『そう。全てを終わらせるの。もう少しで私達の思い通りよ』
「思い通り? 本当に?」
『ええ。全てを終わりにしましょう』
ハリスが行動を起こして全てが上手く行くと思った。
何も疑う事なくアエリアは破滅してお兄様は私のものになる。
そう思っていたのに……
そう思って疑わなかったのに……物事はそう簡単に進ませてはくれなかった。
数日後、部屋に皇帝の密偵が私を呼び出した。
『やはり来てしまったわね』
「どうするの?」
『直接対決するしかないわ。とにかくここは私に任せて』
「お願い。全て貴方に任せるから上手くやって」
『まかせて』
そこからはハリスに全て任せた。
皇帝を揺さぶり、王太子を再び操りに行った。
悪の根源のアエリアを抹殺する為に……
これですべてが上手くいくの。
これでお兄様は私のものになるの。
もうじき全てが終わる。
私の願ったお兄様との生活が送れるようになる。
ハリスの行動に私は高揚していた。でも、すべてを終わらせるはずのその場にそこにいるはずのないお兄様の姿があった。
「お兄様……?」
あまりの衝撃に意識が一瞬表に出る。
いや。いや。いや……
醜い私の姿を見ないで……
何でお兄様がここにいるの?
お兄様は何の関係もないでしょう?
お兄様の隣を見ると憎きアエリアが立っていた。
やっぱりお前が……お前が全て悪いんだ。
恵まれている癖にそれ以上お前は何を望むの?
憎い憎い憎い憎い憎い憎い……
そこから私の記憶はプツリと切れた。
再び私が目を覚ますと気分がスッキリしていた。
あれ? 私は何をしていたんだっけ?
そうだ。お兄様を探していたんだ。
慌てて見回してもお兄様の姿はそこにはない。
私は近くにいた男の人にニコリと微笑みかける。
「あなただぁれ? わたしまりーなよ。ねぇわたしのおにぃさまはどこ?」
早く大好きなお兄様に会いたいよ。
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