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サムル様はそのまま、国王の前まで進むと右手を胸に当てて頭を下げ、騎士特有の敬意の礼をする。
「父上が不在の際、我が国で王家の存続に関わる意図しない噂が流れました。」
「意図しない噂?」
「はい。父上が王座を退いたのち、私が国王になったらマキシマス王国をマキタイ王国の属国にするつもりだという噂です」
サムル様の言葉に国王は眉を顰めて怪訝な顔をする。
「また、マルクの有能さを助長する噂も同時に流れました。明らかに私を陥れようとした魂胆が見えるもの…私自身、身に覚えのない噂でありましたし、変に否定も肯定もせず沈静化するのを待つつもりでしたが、私の心配してくれた友人達が色々と調べてくれまして…そこで意外な事実が判明しましたのでここでご報告させていただきたいと存じます」
「まぁ…マルクの有能さを助長する噂ですって?何を今更…マルクは元から有能な子よ。噂になる必要もないわ。
それにしても、我が国を属国にするとは…何とも恐ろしい噂…でも、正直、煙がない所には火は立たないと言いますし、噂が間違いだとは言いきれないのではなくて?
サムルはマキタイ王国の前国王からとても可愛がれていたもの。マキタイ王国に気持ちが向いてもおかしなことではないでしょう?
陛下…その部分は噂の張本人であるサムルだけの言葉を信じて嘘だと決め付けずじっくりと議論したほうが良いのではないでしょうか」
マサラ王妃はその噂を初めて耳にするような態度を取り、自身は噂とはあくまで無関係かの様に言い放つ。
持っていき方が上手いな…
何だか一筋縄では行かなそう…
「陛下。その噂に関しては私も耳にいたしました…サムル殿下の有能さは誰もが知る所です。故に私も最初こそ疑いの気持ちで噂を聞いておりましたが、聞けば聞くほど信憑性の高い噂でしたので有耶無耶にせずしっかり調べたほうがよろしいかと存じます」
今までだんまりを決めていたハリストン公爵がマサラ王妃に続き発言をする。
「私もその件に関してはマサラ王妃とハリストン公爵に賛同いたします。国を揺るがす重要な案件ですから、本人の言葉のみならず皆が納得するようにしっかりと調べて真実がどうなのかハッキリさせるべきです。」
「わたくしも同じ気持ちです。陛下、ご子息を信じたい気持ちはあるかと思いますが、ここは慎重に事実を確認された方がいいかと…」
ハリストン公爵の言葉にすぐマサラダ公爵とキャスティン侯爵も続く。
見事な連携プレーですね。
もうこれは“僕たち仲間だよ“と宣言しているようなものではないかしら…
サムル様とアロンの方を見ると、2人とも『掛かった』とでも言うかのようにニヤリと怪しげに笑う。
「そうですか…私の言葉を信じていただけないのであれば…そうですね。とことん議論するしかありませんね。」
そう言ってサムル様は国王の前まで進むと国王に何かを手渡す。
「この噂の出所は、全て王城の上層部から流れている。噂が急激に広がった理由も、王家に直接関わりがある上層部から流れ出た噂で信憑性があった為。でも、なぜ、私も国王も不在の際に、タイミングよく王城の上層部からそのような噂が流れ出るのか?
答えは簡単。
誰かが意図して流しているから。
巧妙に噂の出所を隠していたようですが、何事にも綻びというものは生じるものですよ。義母上…」
サムル様がにっこりとマサラ王妃に向かって微笑む。
…にっこりとした笑みがかえって怖く感じるのは私だけでしょうか?
「な…何をっっ私が噂を流したとでも?そんな不効率な事をわたくしが行うはずが…」
「マサラ…これはどう言うことだ?」
サムル様の言葉に反抗しようとするマサラ王妃を、国王が低い怒りにみちた声で遮る。
「陛下?どう…なさいました?」
普段温厚であまり怒りを出さない国王が明らかに怒りを露わにしている。
流石のマサラ王妃も急な国王の変化にタジタジになる。
「これはどう言う事なのだと聞いている…マサラっ」
珍しく怒りを露にするその国王の手元には、見覚えのある何通かの手紙が握られていた。
チェックメイト。
さぁ全ての手筈は整った。
断罪のお時間ですよ。
「父上が不在の際、我が国で王家の存続に関わる意図しない噂が流れました。」
「意図しない噂?」
「はい。父上が王座を退いたのち、私が国王になったらマキシマス王国をマキタイ王国の属国にするつもりだという噂です」
サムル様の言葉に国王は眉を顰めて怪訝な顔をする。
「また、マルクの有能さを助長する噂も同時に流れました。明らかに私を陥れようとした魂胆が見えるもの…私自身、身に覚えのない噂でありましたし、変に否定も肯定もせず沈静化するのを待つつもりでしたが、私の心配してくれた友人達が色々と調べてくれまして…そこで意外な事実が判明しましたのでここでご報告させていただきたいと存じます」
「まぁ…マルクの有能さを助長する噂ですって?何を今更…マルクは元から有能な子よ。噂になる必要もないわ。
それにしても、我が国を属国にするとは…何とも恐ろしい噂…でも、正直、煙がない所には火は立たないと言いますし、噂が間違いだとは言いきれないのではなくて?
サムルはマキタイ王国の前国王からとても可愛がれていたもの。マキタイ王国に気持ちが向いてもおかしなことではないでしょう?
陛下…その部分は噂の張本人であるサムルだけの言葉を信じて嘘だと決め付けずじっくりと議論したほうが良いのではないでしょうか」
マサラ王妃はその噂を初めて耳にするような態度を取り、自身は噂とはあくまで無関係かの様に言い放つ。
持っていき方が上手いな…
何だか一筋縄では行かなそう…
「陛下。その噂に関しては私も耳にいたしました…サムル殿下の有能さは誰もが知る所です。故に私も最初こそ疑いの気持ちで噂を聞いておりましたが、聞けば聞くほど信憑性の高い噂でしたので有耶無耶にせずしっかり調べたほうがよろしいかと存じます」
今までだんまりを決めていたハリストン公爵がマサラ王妃に続き発言をする。
「私もその件に関してはマサラ王妃とハリストン公爵に賛同いたします。国を揺るがす重要な案件ですから、本人の言葉のみならず皆が納得するようにしっかりと調べて真実がどうなのかハッキリさせるべきです。」
「わたくしも同じ気持ちです。陛下、ご子息を信じたい気持ちはあるかと思いますが、ここは慎重に事実を確認された方がいいかと…」
ハリストン公爵の言葉にすぐマサラダ公爵とキャスティン侯爵も続く。
見事な連携プレーですね。
もうこれは“僕たち仲間だよ“と宣言しているようなものではないかしら…
サムル様とアロンの方を見ると、2人とも『掛かった』とでも言うかのようにニヤリと怪しげに笑う。
「そうですか…私の言葉を信じていただけないのであれば…そうですね。とことん議論するしかありませんね。」
そう言ってサムル様は国王の前まで進むと国王に何かを手渡す。
「この噂の出所は、全て王城の上層部から流れている。噂が急激に広がった理由も、王家に直接関わりがある上層部から流れ出た噂で信憑性があった為。でも、なぜ、私も国王も不在の際に、タイミングよく王城の上層部からそのような噂が流れ出るのか?
答えは簡単。
誰かが意図して流しているから。
巧妙に噂の出所を隠していたようですが、何事にも綻びというものは生じるものですよ。義母上…」
サムル様がにっこりとマサラ王妃に向かって微笑む。
…にっこりとした笑みがかえって怖く感じるのは私だけでしょうか?
「な…何をっっ私が噂を流したとでも?そんな不効率な事をわたくしが行うはずが…」
「マサラ…これはどう言うことだ?」
サムル様の言葉に反抗しようとするマサラ王妃を、国王が低い怒りにみちた声で遮る。
「陛下?どう…なさいました?」
普段温厚であまり怒りを出さない国王が明らかに怒りを露わにしている。
流石のマサラ王妃も急な国王の変化にタジタジになる。
「これはどう言う事なのだと聞いている…マサラっ」
珍しく怒りを露にするその国王の手元には、見覚えのある何通かの手紙が握られていた。
チェックメイト。
さぁ全ての手筈は整った。
断罪のお時間ですよ。
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