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「ど…どう言う事なのでしょうか?っと言うよりもアロンも入学式の時と違いすぎます…同一人物?私は夢を見ているのですか?これは私の願望?あんな小説を読んだから?私はどうしたら良いのですか?寝ればいいですか?もう一度寝たら現実に…」
混乱して自分でも何を言っているかわからない。
けど、それくらいに脳内パニックを起こしている。
「ハハハ。カロリーナさん面白いね」
「ちょっとハイス揶揄わないで」
「カロリーナ様…落ちついいてください」
「カロリーナさん可愛い~」
「アローン。止めてあげなよ」
「アローン。落ち着かせてあげなよ」
部屋にいるみんながそれぞれの事を言っているけど、私の疑問に関しての答えは誰も言わない。
「カロン。落ち着いて…1つづつきちんと話すから…」
アロンは混乱する私の頭を優しく撫でるとニコリと優しく微笑んで、部屋の中にあるソファーに座らせてくれる。
そんなアロンの行動一つで私の混乱した頭は少し落ち着きを取り戻す。
「でも、僕の話をする前に1つだけ聞かせて…重要な事だから。」
「…重要なこと?」
アロンは私の前に膝をついて、私の顔を覗き込むと真剣な顔をする。
昔のアロンとは違う大人びた顔…でもやっぱりどこか昔の面影ものこっている。
そんな表情をされて、私の心臓が穏やかでいられる訳がない。
アロンはそんな私の気持ちを分かってかどうか…ソッと膝に置いている私の手に自身の手を重ねる。
その手は…少し…震えてる?
「ねぇカロン…」
「カロンはまだ僕の事を好きでいてくれている?」
アロンの言葉に私は目を見開いてしまう。
思いがけない質問に胸がドキドキとして身体中が熱くなる。
“カロンはまだ僕の事を好きでいてくれている?”
そのアロンの言葉に、私の心の中で色々な葛藤が巡る。
でも、その葛藤の中心にある思いは隠しきれないくらい定かだった。
好き…
大好き…
今までその気持ちを無理やり抑えてきたけど、そんな風に聞かれたらもう隠すことができない。
でも…どうしろというの?
アロンは私になんて酷い質問をするの…
溢れ出る気持ちが我慢ができなくて涙がこぼれ落ちる。
「アロン…それを聞いてどうするの?私はマルク様の…この国の第二王子の婚約者よ」
「うん。わかってる。でもそんな世間体なんて忘れてカロンの…カロン自身の本当の気持ちを知りたい」
アロンは私に近づくと私の顔を覗き込んでこぼれ落ちる涙をそっと拭ってくれる…
「言えない…」
私が首を振るとアロンは私の頬を両手で優しく包む。
「言って…ここにいるのは僕達の味方だけだから。大丈夫…」
アロンの優しい声に私の中で張り詰めていた糸がプチンっと切れる。
「好きよ…アロンがずっと…忘れようとしたけど忘れられない…」
「うん。ありがとう」
私の答えにアロンは私を愛おしそうに見つめて、私の手をギュと握り締める。
あの時の…アロンが私にプロポーズしてくれた時と同じ表情…
成長しても表情って変わらないんだね。
なんだかホッとする。
「さて…カロンの気持ちも確認できたことだし、どこから話そうか」
アロンは私から渋々と手を離すと、私の隣に迷いなく座って、顎に手を当てて何かを考え始める。
「まずは長年のストーカー行為からじゃない?」
「いや…カロリーナさん奪還の為に行ってきた悪事の数々でしょう?」
「お前ら…黙れ…」
エリーさんとハイスさんが横から声を上げると、アロンは私に対する先程の態度と違うドス黒い声を出して2人を黙らせる。
「悪魔っっ…カロリーナさんっ気をつけてコイツの本性は悪魔だからっっ」
「カロリーナさんと態度違すぎっ。俺らも頑張っているのにっ」
騒ぐ2人をアロンが今度は威圧的に睨みつけると2人はビクッと体を震わせてピタッと抗議をやめた。
混乱して自分でも何を言っているかわからない。
けど、それくらいに脳内パニックを起こしている。
「ハハハ。カロリーナさん面白いね」
「ちょっとハイス揶揄わないで」
「カロリーナ様…落ちついいてください」
「カロリーナさん可愛い~」
「アローン。止めてあげなよ」
「アローン。落ち着かせてあげなよ」
部屋にいるみんながそれぞれの事を言っているけど、私の疑問に関しての答えは誰も言わない。
「カロン。落ち着いて…1つづつきちんと話すから…」
アロンは混乱する私の頭を優しく撫でるとニコリと優しく微笑んで、部屋の中にあるソファーに座らせてくれる。
そんなアロンの行動一つで私の混乱した頭は少し落ち着きを取り戻す。
「でも、僕の話をする前に1つだけ聞かせて…重要な事だから。」
「…重要なこと?」
アロンは私の前に膝をついて、私の顔を覗き込むと真剣な顔をする。
昔のアロンとは違う大人びた顔…でもやっぱりどこか昔の面影ものこっている。
そんな表情をされて、私の心臓が穏やかでいられる訳がない。
アロンはそんな私の気持ちを分かってかどうか…ソッと膝に置いている私の手に自身の手を重ねる。
その手は…少し…震えてる?
「ねぇカロン…」
「カロンはまだ僕の事を好きでいてくれている?」
アロンの言葉に私は目を見開いてしまう。
思いがけない質問に胸がドキドキとして身体中が熱くなる。
“カロンはまだ僕の事を好きでいてくれている?”
そのアロンの言葉に、私の心の中で色々な葛藤が巡る。
でも、その葛藤の中心にある思いは隠しきれないくらい定かだった。
好き…
大好き…
今までその気持ちを無理やり抑えてきたけど、そんな風に聞かれたらもう隠すことができない。
でも…どうしろというの?
アロンは私になんて酷い質問をするの…
溢れ出る気持ちが我慢ができなくて涙がこぼれ落ちる。
「アロン…それを聞いてどうするの?私はマルク様の…この国の第二王子の婚約者よ」
「うん。わかってる。でもそんな世間体なんて忘れてカロンの…カロン自身の本当の気持ちを知りたい」
アロンは私に近づくと私の顔を覗き込んでこぼれ落ちる涙をそっと拭ってくれる…
「言えない…」
私が首を振るとアロンは私の頬を両手で優しく包む。
「言って…ここにいるのは僕達の味方だけだから。大丈夫…」
アロンの優しい声に私の中で張り詰めていた糸がプチンっと切れる。
「好きよ…アロンがずっと…忘れようとしたけど忘れられない…」
「うん。ありがとう」
私の答えにアロンは私を愛おしそうに見つめて、私の手をギュと握り締める。
あの時の…アロンが私にプロポーズしてくれた時と同じ表情…
成長しても表情って変わらないんだね。
なんだかホッとする。
「さて…カロンの気持ちも確認できたことだし、どこから話そうか」
アロンは私から渋々と手を離すと、私の隣に迷いなく座って、顎に手を当てて何かを考え始める。
「まずは長年のストーカー行為からじゃない?」
「いや…カロリーナさん奪還の為に行ってきた悪事の数々でしょう?」
「お前ら…黙れ…」
エリーさんとハイスさんが横から声を上げると、アロンは私に対する先程の態度と違うドス黒い声を出して2人を黙らせる。
「悪魔っっ…カロリーナさんっ気をつけてコイツの本性は悪魔だからっっ」
「カロリーナさんと態度違すぎっ。俺らも頑張っているのにっ」
騒ぐ2人をアロンが今度は威圧的に睨みつけると2人はビクッと体を震わせてピタッと抗議をやめた。
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