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マルク様の機嫌が悪い原因の一つはコレね。
新入生挨拶はこの学園に入学する前の事前調査で1番優秀だと学園が判断した人が指名される。
それこそ身分など関係はない。
壇上には社交界では見たことの無い少年。
高位貴族では無いことは確かね。
マルク様は頭だけは良い。
頭だけと強調するのは、あくまで勉強が出来る。テストで点数が取れるというだけの“頭が良い”だから。
その頭を…学んだ事をどうしてマルク様は上手く使わないのか…
いや。使わないんじゃない。
使い方を知らないのだと思う。
だからこそ、その辺にいる普通の馬鹿よりもタチが悪い。
学ぶ事は学ぶ事。知識として頭にはいれるけど、理解をしているかと言うとそうではなく、実際の生活には関連づけていない。それにプラスして性格がよろしくない。
王妃や国王陛下が甘やかしているという事も自重する部分であるけど、マルク様はとにかく勉強が出来る自身が優秀だと鼻高々。それで、傲慢でわがまま。
優秀である自分がYESといえばみんなYESにならなきゃ不満を撒き散らし、自分がNOといえばその通りにならないと邪魔するものは容赦なく排除する。
負けず嫌いの性格のせいか、王子教育は真面目にうけているけど、その反動か自分より下の人を見下している。
それを注意する人は、もちろんいない。
そのくせに周りの反応はちゃっかり気にして、きちんとすべき所ではそれなりにこなす。
そのせいでマルク様に近しい周りの人は振り回される。
本っ当っっにタチが悪い。
あっ…悪口のようになってしまいましたが、要は、マルク様は自分が優秀であると疑わない。だからこそ、マルク様は王子である身分を差し引いたとしても自身が当たり前に新入生挨拶をすると疑わなかったはず。
この学園は実力主義。
それは勉学だけの事ではなく、先程サムル王太子殿下が言っていた様に“人間性”もしっかり含まれての実力。
学んだ事を自らの物にして、自身を成長させ、他者に伝える事ができる人物。頭がよく、周りの人に頼られる。そんな人望が厚い人物こそ、この学園の上に立てる人。
だから、頭が良いだけの人ではダメなのだ。
“マルク様が新入生挨拶をするだろう”なんて考えていた自分の甘さを痛感する。この学園のシステムの徹底性を垣間見て自分自身、今後の学園生活に対して身が引き締まる。
今回の新入生代表の方がどれだけの能力の方かはわかりませんが、きっと色々な方面で優秀な方に間違いありません。
そして、マルク様は確実にこの学園での生活は苦労するだろうと思う。
思い通りにいかない苛立ちはきっと私にぶつけられるんだろうな…
学園内ではあまり関わりたく無いのに、今後起こるであろう生活の一片を思い浮かべて私の気持ちは急降下する。
そんな事を考えながらマルク様を眺めていたら、新入生代表の挨拶が終わってしまっていた。
……マルク様に気を取られて名前すら聞いていなかったわ。
今日はだめね。
色々ありすぎて集中ができない。しっかりしなきゃ。
そんな事を思いながらも視線は再びアロンを捕らえる。
すると、アロンもジッとこちらの方を見ていた。
「あっ…」
思わず小さな声が漏れてしまい、慌てて口を手で押さえる。
アロンの視線と私と視線が絡み合うと、アロンはフッと微かに笑みを浮かべる。
そして、その笑みは見間違いだったのかと思うくらいにすぐその視線は私から外された。
新入生挨拶はこの学園に入学する前の事前調査で1番優秀だと学園が判断した人が指名される。
それこそ身分など関係はない。
壇上には社交界では見たことの無い少年。
高位貴族では無いことは確かね。
マルク様は頭だけは良い。
頭だけと強調するのは、あくまで勉強が出来る。テストで点数が取れるというだけの“頭が良い”だから。
その頭を…学んだ事をどうしてマルク様は上手く使わないのか…
いや。使わないんじゃない。
使い方を知らないのだと思う。
だからこそ、その辺にいる普通の馬鹿よりもタチが悪い。
学ぶ事は学ぶ事。知識として頭にはいれるけど、理解をしているかと言うとそうではなく、実際の生活には関連づけていない。それにプラスして性格がよろしくない。
王妃や国王陛下が甘やかしているという事も自重する部分であるけど、マルク様はとにかく勉強が出来る自身が優秀だと鼻高々。それで、傲慢でわがまま。
優秀である自分がYESといえばみんなYESにならなきゃ不満を撒き散らし、自分がNOといえばその通りにならないと邪魔するものは容赦なく排除する。
負けず嫌いの性格のせいか、王子教育は真面目にうけているけど、その反動か自分より下の人を見下している。
それを注意する人は、もちろんいない。
そのくせに周りの反応はちゃっかり気にして、きちんとすべき所ではそれなりにこなす。
そのせいでマルク様に近しい周りの人は振り回される。
本っ当っっにタチが悪い。
あっ…悪口のようになってしまいましたが、要は、マルク様は自分が優秀であると疑わない。だからこそ、マルク様は王子である身分を差し引いたとしても自身が当たり前に新入生挨拶をすると疑わなかったはず。
この学園は実力主義。
それは勉学だけの事ではなく、先程サムル王太子殿下が言っていた様に“人間性”もしっかり含まれての実力。
学んだ事を自らの物にして、自身を成長させ、他者に伝える事ができる人物。頭がよく、周りの人に頼られる。そんな人望が厚い人物こそ、この学園の上に立てる人。
だから、頭が良いだけの人ではダメなのだ。
“マルク様が新入生挨拶をするだろう”なんて考えていた自分の甘さを痛感する。この学園のシステムの徹底性を垣間見て自分自身、今後の学園生活に対して身が引き締まる。
今回の新入生代表の方がどれだけの能力の方かはわかりませんが、きっと色々な方面で優秀な方に間違いありません。
そして、マルク様は確実にこの学園での生活は苦労するだろうと思う。
思い通りにいかない苛立ちはきっと私にぶつけられるんだろうな…
学園内ではあまり関わりたく無いのに、今後起こるであろう生活の一片を思い浮かべて私の気持ちは急降下する。
そんな事を考えながらマルク様を眺めていたら、新入生代表の挨拶が終わってしまっていた。
……マルク様に気を取られて名前すら聞いていなかったわ。
今日はだめね。
色々ありすぎて集中ができない。しっかりしなきゃ。
そんな事を思いながらも視線は再びアロンを捕らえる。
すると、アロンもジッとこちらの方を見ていた。
「あっ…」
思わず小さな声が漏れてしまい、慌てて口を手で押さえる。
アロンの視線と私と視線が絡み合うと、アロンはフッと微かに笑みを浮かべる。
そして、その笑みは見間違いだったのかと思うくらいにすぐその視線は私から外された。
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