【完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか

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9.

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家に着くとお父様とお母様が私の帰りを今か今かと待っていてくれた。

「明日からしばらく会えなくなってしまうというのに、こんな日まで王宮に呼び出されるなんて…今日くらい家族でゆっくり過ごさせてくれてもいいのに」

「前日だからこその謁見だろう。第2王子殿下の婚約者として仕方ない事だ」

「でも、毎日のようにカロリーナは王宮に行っているのよ。わざわざ前日にする必要は無いはずよ」

そう言いながらお母様は私をぎゅっと強く抱きしめる。
お母様の想いが身体を通じて伝わってくる。

そんなお母様をみてお父様は心底呆れ返った顔を向ける。


最初の頃こそこの婚約に難色を示していたお父様だけど、今では貴族の義務だと婚約に対して真摯に受け止めている。

それに対してお母様は未だにマルク様との婚約をよろしく思っていない。


お父様とお母様は恋愛結婚なだけあって普段からとても仲の良い夫婦。
お母様のお腹には2ヶ月後に誕生予定の新しい命も宿っている。

でも、度々私の事で口論を繰り返していて…そんな2人の姿を見ると申し訳ない気持ちになる。


「お母様。謁見もすぐ終わりましたし、まだ時間も沢山ありますわ。久々にお母様と色々お話させてください」

私が笑みを浮かべてそう伝えるとお母様は仕方なさそうに息を吐く。

「そうね。今ここで文句を言っても仕方ないものね…カロリーナが好きなお菓子を用意してあるわ。一緒にいただきましょう」

そう言ってお母様は私を座らせると、メイドにお茶を入れさせる。
私の好きなカモミールの香りが部屋中に広がる。

カモミールティー…心が安らぐわ。


「明日からの準備はそつなく済んでいるのか?」

「はい。…と言ってもほとんどリナがやってくれました。とりあえず持っていくものは最小限にして、必要に応じて向こうで調達するようにします」

「そうね。それがいいわ。必要なものがあったらこちらでも準備するから無理せず連絡しなさいね」

「ありがとうございます。お母様」

久々のゆっくりとした家族団欒の時間。
妃教育が始まる前はよくこうしてお茶をして色々な事を話してたな…

自然と心が温かくなる。


「カロリーナ。お前は学園に行ってやりたいことはあるか?」

…やりたいこと?

妃教育から逃げる事ばかり考えていたから特に考えたことはなかったわ。

「えっと…そうですね…妃教育で今まで慌ただしい日々を過ごしてきたので、学園ではゆっくりと過ごして心を寄り添える友人を作りたいです」

「そうか…」

お父様は私の答えに頷くと口元に手を当てて少し考える素振りをする。
お父様が商談の際によくとるポーズだ。


何かあるのかしら…

和やかな雰囲気が一転して緊張感がでてくる。

「お前には有意義な学園生活を送ってほしい。私もローズもそれを切に願っている」

「はい。ありがとうございます」

「…だが、そうもいかないかもしれない」

「?」

私が頭をかしげると、お父様はハァと大きく息を吐いてお母様と視線を合わせて眉をしかめる。

「…何かありましたか?」
「ああ…マサラ王妃が第2王子を次期国王にするべき動きをしている」

「えっ?まさか…そんな…」

あまりの事に私は言葉を失ってしまう。
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