【完結】友達未満恋人以上そんな関係ありですか?

はゆりか

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後ろ盾

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「そういえばユシン様は何故あの場に?授業中でしたのでは?」
「それは…」
「それは?」

ユシン様は少し気不味そうに私から視線を逸らす。

「ユシン様?」
「俺には常に専属護衛が付いている。その護衛をマリアに付かせていた」
「えっ?」

護衛?
全く気づきませんでした…

「マスクル」
「はい」

ユシン様がパチンと指を鳴らして名を呼ぶとと何処からか人影が現れる。

「あ…貴方はキャルラロル侯爵家で…」
「はい。はじめてご挨拶させて頂きます。私ユシン殿下の護衛をしておりますマスクルと申します」
「マスクル…」
「レックスの双子の弟だ」

えっ
双子?
レックスの?

「って事は若くして既婚者子持ち?」

ぶっ
ユシン様が急に吹き出す。

「いえ…私はまだ独身です」
「そうなの?そういえば…あまり似てないわね…」
「……それはどういう…」
「いや。私は悪くない顔だと思います」

ブハァ
ユシン様が再び吹き出す。

「マリア。お前にはもう俺がいるからな。よそ見するな」

ユシン様は笑いながらそう言うと私の額に唇を落とす。
私の身体は瞬間湯沸かし器の様に一気に体温上昇してしまう。

そんな私を嬉しそうにユシン様は見つめてから困り顔のマスクルに視線を移す。

「マスクル。あの女が言っていたクズ供は把握したか?」
「はい。ここに」

そう言ってマスクルはユシン様に紙を渡す。
その紙を見てユシン様は軽く舌打ちをする。


「マリアッッ」
ちょうどその時、半泣き状態でキュアが私に突進してきた。

「キュア…」
「教室に戻ったらマリアが居なくてビックリしたわ。ごめんなさい。やっぱり一緒にいるべきだった。他のクラスは授業中だし、クラスの人は気心知れた人ばかりだし…そんな中に変な事を考える人がいるなんて…もう絶対1人にはさせないから」
「大丈夫よ。ユシン様が来てくださったし。キュアにもキュアの時間が必要よ。私にずっと付き合う必要はないわ」
「マリア…よかった…無事で本当に…」



これからもこういうことは多々起こるかもしれない。
周りに迷惑をかけない様に自分自身気をつけていかなくてはいけない。

でも、だからといって何も持たない私はどうしたらいいのだろう…



自分の無力さを身に染みて感じる…




ユシン様の隣に立つために。
ユシン様の婚約者としてやって行く為に、私は今までのままではいけない。

そう分かったのに何もできない自分が歯痒い。



そんな私の気持ちはよそに、キャルラロル侯爵家の事件。そして今回の騒動を受けて今後の私の生活を平凡に過ごせる様にと後ろ盾になりたいと沢山の人が大体的に名乗りを上げてくれた。


今回の事で怒りを露わにしてくれた国王夫妻はもちろんユシン様の兄姉のエリカ様やケビン様。

マリダス公爵家のユーラ様
ハンキントン侯爵家のユア様
モーニア伯爵家のキュア
バーモント子爵家のレイラ
そして、気弱な令嬢だったコスト男爵家のフレア

偶然にもそれぞれ各爵位の筆頭爵位の家の人物だ。

こんな方々が格下男爵家私の後ろ盾になってくださるなんてあまりの事で私の頭が回らない。



今回の騒動を起こしたマーベルとその他の令嬢は2週間の自宅謹慎となった。


マーベルが言っていた“クズと言う無作法な男達”の中にはユシン様をよろしく思っていない。陥れたいと画作している者が何名かいたらしい。

ユシン様を想うマーベルはその者達にうまく使われたみたいだった。
自身が“クズと言う無作法な男達”と思っていた男達に逆に利用されていたと知ったマーベル様は三日三晩食事も取らずに泣き続けたらしい。


ユシン様は実行者のマーベルや他の令嬢達にもっと厳しい罰則を…と言ってくれたけど、今回の事はマーベルがユシン様の事を本気で慕っていたために起こった事。それにプライドをへし折られる程の罰を十分に受けている。


私も自分の立場を分かっていたにも関わらず危機意識も低かった為にここまでの騒動になってしまった。

今回のことはいい勉強になったという事で一番軽い罰則にしてもらった。




いくら平民よりの格下男爵家の私でもユシン様の婚約者という肩書に国の重鎮である家の子息女の後ろ盾があれば常識のある貴族なら軽くあしらう事などできない。

それに加えて、キャルラロル侯爵家の事件で私に危害を加えた子息子女への罰がタイミングよく施行された。


今までにない特殊で厳しく徹底された罰に貴族社会は驚きを隠せなかった。

それにより王族のユシン様が格下貴族の私を大切にしているという噂はたちまち広がり、私に無闇に手を出したりできないという事を貴族だけならず不特定多数の周りの人々に知らしめた。

今後はこの様な事は起きないとおもう。
とても嬉しいし、ありがたい事だけど…本当に私は守られてばかりだな…



キュアにその事を話したら「それでいいのよ。ユシン様やマリアの事を大切に思っている私達がいるんですもの。大人しく守られていればいいのよ」と笑われた。


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