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よからぬ事を考えそうなハイエナ②
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それから数日。
気負ったものの何事もなく平穏な学園生活が続いた。
レイシアにお願いしてメイクはなんとか通常通り(と言ってもバッチリですが)に戻してもらい、毎朝ユシン様が迎えに来てくれる。
学園内でもユシン様と共にいる時間が多くなり、最初は今までと違うユシン様の甘い雰囲気に戸惑いを感じていたけど最近ではそんなユシン様にも慣れてきた。
慣れてはきたけど…
最近の私達を見る周りの視線がキュアとユア様に向けられている様な生温かいものと似ている。
…いえ。私達はキュアとユア様の様にそこらかしこでイチャイチャなんてしていませんからね。
砂を吐きたくなるようなバカップルなんかにはなっていませんよ。
バカップルにはならないと誓ってますしね。
………
うん。
なって…いないはず…
至って私は平穏で幸せな学園生活が送れている。
「マリア。何してるの?次の授業は自習よ」
授業の準備をしているとキュアが不思議そうに私に教えてくれる。
「え?確か次の授業ってベルクテロス理論だったわよね?前回も自習じゃなかった?」
ユシン様と想いが通じたあの日からパルム教授に会っていなかったから今日お会いして再度お礼を言いたかったのだけど…
「詳細はわからないけど、パルム教授が無期限の休暇を取ったらしいわ。その間の後任の講師はパルム教授の知人で変人と有名なアーサー博士らしいけど、しばらくは予定が付かなくてベルクテロス理論の授業は自習が続いているみたいよ。」
「えっ…」
無期限の休暇?
後任の知人の博士?
…何だか嫌な予感がするけど……
……まさかね。
うん。気のせいよね。
うん。考えないでおこう。
「ねぇマリア。私この時間ちょっと委員会の用事を済ませてきていいかしら。15分…いえ10分あれば終わると思うわ。本当なら今日の放課後行う予定だったんだけど、今日、ユア様が我が家に来て下さる予定で…今やってしまえばユア様をお待たせする事がなくなるから…今は授業中だし教室内から出なければマリアも大丈夫だと思うし…」
私が嫌な想像をしているとキュアがソワソワと申し訳なさそうに私に言う。
ユシン様と共にキュアも最近は私を学園内で一人にならない様に気を使ってくれているのは気づいていた。
本当なら休み時間に行えることだったのに私と一緒にいたからできなかったのだろうな…
何だか逆に申し訳ない気持ちで一杯になってしまう。
「ええ大丈夫よ。キュア。私はここで大人しく本を読んでいるから」
「本当?ありがとうマリアっ!すぐに帰ってくるからっ。絶対教室からは出ないでね」
私が笑顔で返すと、キュアは嬉しそうに笑顔を向けて急いで教室を出ていく。
私はキュアの後ろ姿を見送るとカバンからいつも持ち歩いている愛読書を取り出して読み始める。
何分か経った頃…
ちょうど物語に意識が入り込んだタイミングで急に視線が暗くなって集中が切れてしまう。
?
顔を上げるとそこには話をした事のないどちらかというと大人しいタイプのクラスメイトの令嬢が立っていた。
誰でしたっけ?
「えっと…何か私に御用ですか?」
「あっ…えっえっと…」
人の読書を邪魔しておいてあたふたと慌て出すその令嬢に私は思わず怪訝な顔をしてしまう。
すると、その令嬢の後ろか同じくクラスメイトの他の令嬢が出てくる。
この令嬢は知っている。
バーモント子爵令嬢。
キュアと同じく騎士家系の令嬢でキュアとは幼少時から家族ぐるみの仲らしく、すごい親しいと言うわけでは無いようだけどたまに2人で話しているのを見たことがある。
「急に申し訳ありません。さっき私達お手洗に行ったのですが、その時に丁度キュア様にお会いしまして…バウンドル男爵令嬢に言付けを預かりましたの」
「キュアに?」
「ええ。思ったより時間がかかりそうだからバウンドル男爵令嬢を連れてきてほしいと」
「キュアが私を?」
キュアがそんなこと他人に頼むかしら?
キュアなら自身で来るか、「やっぱり10分じゃ無理だったわ」と途中でも切り上げてきてくれるはず…
私が少し疑心暗鬼になっているとバーモント子爵令嬢は明らかにムッとした顔をする。
「私が信じられませんか?」
「いえ。そういう訳ではありませんが…」
「私の父と兄は騎士としてモーニア伯爵の元で苦楽を共にし国を守っております。そんな私がキュア様がご友人としているあなたを貶めるとでも?」
バーモント子爵令嬢は明らかに不満気な顔を私に向ける。
確かにバーモント子爵令嬢はキュアの家族と交友を持っているのは確か。
キュアの家の爵位の方が上だし変なことは出来ないとは思う。
けど…釈然としない…
「…気分を害して申し訳ございません。伝えて下さりありがとうございます。キュアはどこに?」
事を荒立てるのはよろしくないと、私は淑女教育で身につけた笑顔を向けるとバーモント子爵令嬢も私に対して笑みを向ける。
「お連れしますわ」
「そこまでお手数をかける訳には…」
「キュア様にバウンドル男爵令嬢を1人にしない様に言われたのよ。信じられない?」
「……いえ…助かります。」
正直、心のどこかでまだ疑問を持ちながらも私は案内されるがままバーモント伯爵令嬢に付いていく事にした。
気負ったものの何事もなく平穏な学園生活が続いた。
レイシアにお願いしてメイクはなんとか通常通り(と言ってもバッチリですが)に戻してもらい、毎朝ユシン様が迎えに来てくれる。
学園内でもユシン様と共にいる時間が多くなり、最初は今までと違うユシン様の甘い雰囲気に戸惑いを感じていたけど最近ではそんなユシン様にも慣れてきた。
慣れてはきたけど…
最近の私達を見る周りの視線がキュアとユア様に向けられている様な生温かいものと似ている。
…いえ。私達はキュアとユア様の様にそこらかしこでイチャイチャなんてしていませんからね。
砂を吐きたくなるようなバカップルなんかにはなっていませんよ。
バカップルにはならないと誓ってますしね。
………
うん。
なって…いないはず…
至って私は平穏で幸せな学園生活が送れている。
「マリア。何してるの?次の授業は自習よ」
授業の準備をしているとキュアが不思議そうに私に教えてくれる。
「え?確か次の授業ってベルクテロス理論だったわよね?前回も自習じゃなかった?」
ユシン様と想いが通じたあの日からパルム教授に会っていなかったから今日お会いして再度お礼を言いたかったのだけど…
「詳細はわからないけど、パルム教授が無期限の休暇を取ったらしいわ。その間の後任の講師はパルム教授の知人で変人と有名なアーサー博士らしいけど、しばらくは予定が付かなくてベルクテロス理論の授業は自習が続いているみたいよ。」
「えっ…」
無期限の休暇?
後任の知人の博士?
…何だか嫌な予感がするけど……
……まさかね。
うん。気のせいよね。
うん。考えないでおこう。
「ねぇマリア。私この時間ちょっと委員会の用事を済ませてきていいかしら。15分…いえ10分あれば終わると思うわ。本当なら今日の放課後行う予定だったんだけど、今日、ユア様が我が家に来て下さる予定で…今やってしまえばユア様をお待たせする事がなくなるから…今は授業中だし教室内から出なければマリアも大丈夫だと思うし…」
私が嫌な想像をしているとキュアがソワソワと申し訳なさそうに私に言う。
ユシン様と共にキュアも最近は私を学園内で一人にならない様に気を使ってくれているのは気づいていた。
本当なら休み時間に行えることだったのに私と一緒にいたからできなかったのだろうな…
何だか逆に申し訳ない気持ちで一杯になってしまう。
「ええ大丈夫よ。キュア。私はここで大人しく本を読んでいるから」
「本当?ありがとうマリアっ!すぐに帰ってくるからっ。絶対教室からは出ないでね」
私が笑顔で返すと、キュアは嬉しそうに笑顔を向けて急いで教室を出ていく。
私はキュアの後ろ姿を見送るとカバンからいつも持ち歩いている愛読書を取り出して読み始める。
何分か経った頃…
ちょうど物語に意識が入り込んだタイミングで急に視線が暗くなって集中が切れてしまう。
?
顔を上げるとそこには話をした事のないどちらかというと大人しいタイプのクラスメイトの令嬢が立っていた。
誰でしたっけ?
「えっと…何か私に御用ですか?」
「あっ…えっえっと…」
人の読書を邪魔しておいてあたふたと慌て出すその令嬢に私は思わず怪訝な顔をしてしまう。
すると、その令嬢の後ろか同じくクラスメイトの他の令嬢が出てくる。
この令嬢は知っている。
バーモント子爵令嬢。
キュアと同じく騎士家系の令嬢でキュアとは幼少時から家族ぐるみの仲らしく、すごい親しいと言うわけでは無いようだけどたまに2人で話しているのを見たことがある。
「急に申し訳ありません。さっき私達お手洗に行ったのですが、その時に丁度キュア様にお会いしまして…バウンドル男爵令嬢に言付けを預かりましたの」
「キュアに?」
「ええ。思ったより時間がかかりそうだからバウンドル男爵令嬢を連れてきてほしいと」
「キュアが私を?」
キュアがそんなこと他人に頼むかしら?
キュアなら自身で来るか、「やっぱり10分じゃ無理だったわ」と途中でも切り上げてきてくれるはず…
私が少し疑心暗鬼になっているとバーモント子爵令嬢は明らかにムッとした顔をする。
「私が信じられませんか?」
「いえ。そういう訳ではありませんが…」
「私の父と兄は騎士としてモーニア伯爵の元で苦楽を共にし国を守っております。そんな私がキュア様がご友人としているあなたを貶めるとでも?」
バーモント子爵令嬢は明らかに不満気な顔を私に向ける。
確かにバーモント子爵令嬢はキュアの家族と交友を持っているのは確か。
キュアの家の爵位の方が上だし変なことは出来ないとは思う。
けど…釈然としない…
「…気分を害して申し訳ございません。伝えて下さりありがとうございます。キュアはどこに?」
事を荒立てるのはよろしくないと、私は淑女教育で身につけた笑顔を向けるとバーモント子爵令嬢も私に対して笑みを向ける。
「お連れしますわ」
「そこまでお手数をかける訳には…」
「キュア様にバウンドル男爵令嬢を1人にしない様に言われたのよ。信じられない?」
「……いえ…助かります。」
正直、心のどこかでまだ疑問を持ちながらも私は案内されるがままバーモント伯爵令嬢に付いていく事にした。
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