【完結】友達未満恋人以上そんな関係ありですか?

はゆりか

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悪あがき

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「あ…ドレスがないです。これじゃ夜会にいけませんね。」

慣れない生活に耐えに耐えた1ヶ月。

早くも夜会を明日に控えユシン様の最終チェック中、私は急に思い出したかの様にユシン様に向かって言う。

ドレスがない事はずっと前から気付いてましたけどね。


最後の悪あがきです。

下っ端男爵とはいえ一応貴族を名乗る家の娘です。
ドレスがないなんて思いもしない事でしょう。

私はドヤ顔をしたいのを抑えて焦った演技をする。

「ん?なんだって?」
ユシン様は私を軽く睨みつける。

「ドレスがないです。これじゃ…」

私は負けずに…

「はい?なんだって?」

ユシン様が青筋を立てながら私に笑みを浮かべる。


あ…そうですね。


「明日着て行くドレスがありませんわ。これでは夜会に行けません。どうしましょう。」

私はそう言って頬に右手をあてて頭を斜め45度に傾げる。

これでどうだっっ。
チラリとユシン様を見るとユシン様は軽く笑みを見せる。

「70点だな。」

70点?また微妙な…。
私的にはかなり良い線だと思いますが?

不機嫌な顔をしてしまう私をユシン様は悪魔の様な笑みを見せつけてくる。

私も負けじと笑みを作り上げる。

頬の筋肉が攣りそう…
貴族って大変だ。


私の作り笑いを見てユシン様はため息をついて真顔に戻る。

「ドレスなら心配するな。婚約者だからな。私の方で用意してある。」

「はっ?」

用意してある?
私のドレスを?

サイズなんて誰からも聞かれていませんし、採寸とか一切していませんが?

「…採寸とかしてないのにどうやってとでも思っているのか?」

ユシン様は自信ありげに口角を上げて意地悪く微笑む。
私は心を読まれて口角を引き攣らせてしまう。

「ダンスの練習で何度かお前の身体に触れたしな。あとは大体見れば分かる。」

身体にふれ…
見ればわかるって…

エロっ…
なんですか?それ。
普通の事ですか?違いますよね?

変態ですか?


「疑うなら言ってやろうか?ウエストは…」
「結構ですっっ」

私はユシン様の前に手を差し出して言葉を遮る。
一応この部屋にレックスもいますからね。

合っているか分かりませんが、自身の体型を暴露されるのは流石に嫌です。


ユシン様の見立てだけならきっとサイズは合っていないかもしれない。

ここ一週間でダイエットの成果が出てきてウエストなんてキュキュっとなったのですよ。

お見せできないのが残念な位のくびれ具合ですよ。


一週間でドレスは作れませんから作ったのであればその前のサイズでしょう。


フフフ…

きっとサイズが合わなくて慌てる事になるでしょう。


「まぁ…この1ヶ月でなんとかなったな。」
「頑張りましたから。」
「確かに頑張った事は認めよう」
「あら。珍しいですね。」
「でも、本番は明日だ。明日失敗したら意味がない。」
「何が成功で何が失敗なのでしょう?」
「私の婚約者として私に恥を欠かせなければそれでいい。」


無表情で淡々と語るユシン様をみてフッと私の脳裏に名案が浮ぶ。


わざと何かやらかして恥をかかせれば婚約もなくなり、恋人のフリもしなくて良くなるのでは…

うん。手っ取り早い方法かもしれない。

いや…でもユシン様は腐っても王族。
下手すればお家断絶されてこの国にいられなくなる可能性が…

まぁ別にこの国にも男爵という爵位にも未練などないから他国で平民として暮らすのも有りかもしれない。 

うん。良いかもしれない。


「おい。またつまらない事考えているんじゃないだろうな。」

考え込んでいるとユシン様が怒りを含んだ低い声を出す。


「えっ…何も考えていませんよ。脳内で明日の復習をしていただけです。」

私は咄嗟にごまかすが、気まずくなり思わず目を逸らしてしまう。

私はつくづく貴族には全く向いていない人間だと実感します。
絶対的に嘘がつけませんから…


「何故目を逸らす?えらい楽しそうな顔をしていたが、そんなに明日が楽しみか?」

ユシン様は面白いおもちゃを見つけた様にニヤリと笑う。

「そ…そうですね。」
「明日は早朝に迎えを出す。今日はゆっくり休め。明日は一日にしような。マリア嬢。」


ユシン様は悪魔の様に私に微笑んだ。
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