婚約破棄をされましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました。

はゆりか

文字の大きさ
27 / 39

27、出立準備

しおりを挟む
ドイル国に行くまで早くもあと一週間となった。

トゥイが私の部屋に来た時に詳しい話はメイル兄様かお義姉様のどちらかからあると思うと言っていましたが、その後、連れて行く使用人は1名。護衛はトゥイがするので不要だという事以外になんの連絡も通達もありません。


ドイル国とお義姉様との間に何かあるのは確実なのですがそれを知る術は私には無いし、勝手に調べたら調べたで後が怖いのでとりあえず連絡を大人しく待っていますが、正直気になって仕方ありません。

一度、勇気を出してお義姉様との接触を試みましたが、その日に限りお義姉様は急遽メイル兄様と街の視察に出てしまい叶いませんでした。


確実にメイル兄様の差金ですわよね。


2人の婚約が決まった当初からメイル兄様はドイル国でのお義姉様の事をオブラートに包む様に私達に触れられないようにしていました。

お母様はさすがに知っているかと思いますが、理由はどうあれきっと本当は私にはお義姉様のドイル国過去の事は伝えたくない事なのですよね。


私がドイル国に行く事になったので、きっと仕方なくお話してくださるのでしょう。

メイル兄様はお義姉様の事を思って触れないようにしているのはわかります。

お義姉様自身も知られたく無い事なのかしら…

そうだとしたら私のわがままで本当に申し訳ない気持ちが溢れて来ます。お義姉様他人に迷惑を掛けてまでドイル国に行くのはやはり諦めた方がいいのでしょうか…

いやいや。これを逃したらこんなチャンス二度とありません。私に残された道も少ないのでそんな感情は心の奥底にしまいます。

ごめんなさい。お義姉様。
私もこんな気持ちが初めてなので無茶している事も周りに迷惑を掛けている事も十も承知ですが今回だけにします。

だから今回だけはどうぞ許してください。
お義姉様のどんな過去を知っても私はお義姉様の味方でいますし、どんな事も協力します。



ドイル国に行く日が近づくに連れて期待に胸を膨らます反面、お義姉様に対しての申し訳ない気持ちも増してしまい毎日そんな様な事を考えて1人お義姉様に陰ながら許しを乞うています。

直接、お義姉様にお会い出来ていないのも私の思いが迷走してしまう原因なのですよね。


同じ城内に住んでいるはずなのにどうしてこんなにも会わないのでしょうか…メイル兄様が関わっているとなると私がどんな頑張ってもお義姉様に会うことはままならないでしょうね。

メイル兄様の事は大好きでしたが、お義姉様を婚約者として迎えた最近のメイル兄様はちっさい男に思えて仕方ありません…

溺愛するならするでいいですが、独占欲が強いのは重いですよね。


「ティナ様…お寛ぎ中に申し訳ございません。ドイル国に向かわれる際の準備ですが、そろそろ本格的に準備されないと…」

私がいつもの様に1人物思いに耽ってしまっていると困り顔のサリーが遠慮がちに私に話しかける。

「…そうね…。大体持って行くもののリストは出来上がっているけど1週間も城を出る事は初めてだからどのくらい持っていけばいいか迷うわよね…」

サリーがクローゼットを見ながら簡易なドレスから豪華なドレスまで色々手に取っていく。

お義姉様のご実家にお世話になるのだから、荷物は最低限に抑えた方がいいわよね…

「やっぱり一度、お義姉様に時間をとっていただいて確認をしたいわ。何もお話が出来ていないのだもの。」

「そうですね。」

「多分、お義姉様と私がお会いできないのは絶対的にメイル兄様の策略ですわよね。」

私が呆れ気味に言うとサリーは明らかに気不味そうな表情をする。

「…8割型そうだと思います」

サリーの返答に私は思わずため息をこぼしてしまう。


「サリー。メイル兄様に謁見の許可を。お義姉様も一緒にお願いしますと…」
「かしこまりました。」

サリーは頭を下げるとすぐに部屋を出て行く。

ドイル国へ出立の日も近づいています。
流石に断られることはないでしょう…

5分程でサリーは私の部屋に戻ってきた。

サリーは身分的に直接皇帝に謁見許可を取る事ができないので執事長のメリールに依頼しに行く。メリールが宰相のハーブスかメイル兄様の側近のランかトゥイに確認をとり謁見許可をもらう。

以前の様にフラッと廊下で出会えればいいですが、まあ…あり得ませんね。
あれもメイル兄様の計画でしょうから。

許可が出るまで1時間…半日か…はたまた1日待つことだってある。
兄妹であるけれど時間が掛かる作業です。

とりあえず何もせず待っているのは時間がもったいない。
絶対的に必要な物をサリーと荷造りを始めるとすぐに部屋の扉がノックされた。

部屋に来たのはメリールで明日の朝一にメイル兄様とお義姉様にお会いできる事になった。素早い対応にホッとする。



翌朝、朝食が終わるとランが私を迎えにきてメイル兄様の執務室へと向かう。

執務室に入るとメイル兄様とお義姉様が仲むつましく私を待っていた。


「メイル兄様。お義姉様。急な謁見申し訳ありません。」

私が頭を下げるとすぐ様にお義姉様が近づいてくる。

「ティナ様っ。ドイル国にお連れするお話をしたまま中々お会いできなくて申し訳ありません。」

申し訳なさそうに私をみるお義姉様を見て思わずメイル兄様を睨みつけてしまう。

そんな私をみてメイル兄様は呆れた顔をする。

「ティナ…考えは変わったか?」

考えが変わる?
メイル兄様の目的はそこですか…

お義姉様と私を引き離して私のドイル国に行くという考えを改めさせるつもりだったのですね。

さすがメイル兄様。私の性格をよく分かっていますね。
普段の私なら悩んだ末に、『ご迷惑をかけるのでやっぱりいいです』と言ってるところですもんね…

でも、残念ながら今回ばかりは私の意思も強いのですよ。

「私の気持ちは変わりませんわ。メイル兄様…お義姉様にご迷惑をかけてしまうのは心苦しいですが、私にとってもこれが最後のチャンスかもしれませんので。」

生まれて初めてメイル兄様に反抗的な態度をとってしまう。
心臓がバクバク言っている。

私の意思を伝えるためにメイル兄様に笑みを投げかけるが、メイル兄様の見えぬ圧にだんだん直視できなくて目をそらしてしまう。

すると丁度その時、お義姉様が私の手をとって微笑んでくれる。

「迷惑だなんて思っておりませんよ。ティナ様。私は嬉しいのです。ティナ様がドイル国に興味を持って下さる事も、私と共にドイル国に行きたいと言って下さった事も…」

お義姉様が私に優しい笑顔を向ける。
その笑顔を見て私の心がツキリと痛む。

自分の下心が気まずくてチラリとメイル兄様に視線を戻すとメイル兄様はそんなお義姉様を愛おしそうに見つめていた。

ドイル国とお義姉様の間に何かあるのは確かですが、お義姉様はドイル国自体を大切に思っているのですね。
何だろう…このチグハグな感じ…


メイル兄様は軽く息を吐くと私の前まで近づいてきて私の手を握るお義姉様の手を私から引き離す。

「アエリアもこう言っているから私ももう何も言わないが、いいかティナ…先日トゥイに言い渡したの言付けは必ず守れ。」

「…分かっております…」

私が答えるとメイル兄様は明らかに不服が残る顔を私に向けた。

その後、メイル兄様は自らの机に座り執務を始め、私とお義姉様はランがお茶を用意してくれたのでそのまま執務室のソファーに座ってドイル国に向かう為の話を始めた。


停滞していた時間が少しづつ動き出す。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。

Hibah
恋愛
カリーナは夫フィリップを支え、名ばかり貴族から大貴族へ押し上げた。苦難を乗り越えてきた夫婦だったが、フィリップはある日愛人リーゼを連れてくる。リーゼは平民出身の性悪女で、カリーナのことを”おばさん”と呼んだ。一緒に住むのは無理だと感じたカリーナは、家を出ていく。フィリップはカリーナの支えを失い、再び没落への道を歩む。一方でカリーナには、王太子妃になる話が舞い降りるのだった。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...