婚約破棄をされましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました。

はゆりか

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11、メイル兄様の婚約者

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祝賀会パーティーも中頃になりメイル兄様が婚約者を連れてこちらにやって来た。

メイル兄様と婚約者は互いに幸せそうな笑みで会話をしながら私達の近くまで来ると、婚約者はこちらに視線を向けて軽く会釈をして微笑む。

ふんわりと優しい雰囲気があるけど、その目線はしっかり私達を見定める様に見ている。


単なるその辺の貴族の令嬢ではない事がその視線から感じる。


「じゃあ私の家族を紹介させてくれ。」


メイル兄様は婚約者にお母様から紹介をしていく。

「はじめまして。ドイル国バルメルク公爵家アエリア・バルメルクと申します。これからよろしくお願いします。」

アエリア様は淑女の礼をするが、その仕草や喋り方全てがまるで本に書かれているそのまま。お手本みたいで逆に出来すぎていて怖さを感じる。


お母様とアエリア様の一通りやりとりをメイル兄様は嬉しそうに眺めてる。


こんな締まりのないメイル兄様の顔…
今まで見た事ありません。


お母様とのやりとりが終わるとメイル兄様とアエリア様は私達の前まで来る。


なんだか変な緊張感が走る。


「そして、弟のゲイル。妹のティナ。末弟のノイルだ。」

メイル兄様はそれぞれを指差して私達を紹介する。
なんかメイル兄様…私達の紹介雑じゃございません?


「よろしくおねがいしますね。アエリア様。」

ゲイル兄様が満面の笑みを浮かべてそう言いながらスッとアエリア様に手を差し出す。

アエリア様がそれに応えようと手を出すとメイル兄様がゲイル兄様の差し出した手を弾いた。

ゲイル兄様と私は目を見開いてしまう。
メイル兄様がシラッと目を逸らす。


なんですか?
あのいつも冷静さを欠かせない威厳あるメイル兄様⁉︎

別人の様ですが…


ゲイル兄様は後ろを向いて口に手を当てて声を殺して笑い始める。
メイル兄様の後ろに控えるランとトゥイも笑いを堪えています。



私はあまりのメイル兄様の代わり様にただただ驚きを隠せない。
私の知っているメイル兄様からはかけ離れていて…

私の憧れているメイル兄様はどこに?


ノイルはそんなメイル兄様とゲイル兄様を横目にチラッと見てからアエリア様に視線を戻して「よろしく。」とだけ呟いて目の前にあったチョコレートを口に頬張る。

我が弟ながら素気なさすぎる。


「もう。ノイルったら最初が肝心なのよ。それにメイルお兄様。私達弟妹の紹介が雑じゃございません?」

私はノイルに注意をしてそう言いながらメイル兄様に一歩近づいてアエリア様を見る。

「はじめまして。お義姉様。私はティナと言います。私姉妹に憧れていたんです是非お義姉様と呼ばせてください。」

私はそう言って満面な笑みで微笑むとアエリア様は顔を真っ赤にさせる。


なに…この可愛い感じ…
初々しい小動物感…


「いや…まだ私は婚約者ですので…そんな…」

アエリア様が真っ赤な顔で戸惑いをみせる。

「えっ。でもメイル兄様が選んだ方ですもの。きっとすぐ結婚されるのでしょう?」

私が首を掲げてメイル兄様を見るとメイル兄様はニヤリと意味ありげに私に向かって微笑んでから優しい笑みをアエリア様に向ける。

「ティナの好きに呼べばいい。だろ?アエリア」
「…メイル様が良いなら……」

メイル兄様はアエリア様…もといお義姉様の髪を一房掴むと今まで見たことのない目を疑う様な笑みをお義姉様に向ける。


甘い…甘すぎる…。

お義姉様はメイル兄様のそんな笑みに嬉しそうにしながらも顔をより真っ赤にさせている。

淑女のお手本の様な仕草をして隙が全く無さそうなのに、時折見える初々しい感じ…


これはヤバい。
メイル兄様が落ちるのも分かるわ。

うん。可愛い。
仲良くやっていきそうだわ。


「やった。ありがとうお義姉様。」

そう言う私に対して真っ赤になってゆっくり頷くお義姉様がなんだ可愛らしくて咄嗟に抱きしめたくなる。

お義姉様に近づこうとした時、急に動いた為か久々に気合を入れて履いた踵の高い靴にバランスを崩してしまった。


ヤバっ…転んでしまう…

目の前にいるお義姉様がとっさに私に手を差し出すけど、この手を掴んだらお義姉様まで巻き込んでしまう。


皇女として恥ずかしい限りではあるけど、とりあえず一人で転ぼう…

そう諦めた瞬間、誰かが背後から私を支えてくれる。



爽やかないい香りが私を包んで暗い茶色の髪が揺れる。


……誰?


「ケンビット様…」
お義姉様が呟く。


ケンビット…様?

この方はケンビット様と言うのか…

支えられた腕は細身なのにしっかり鍛えられているのが分かる。


私は私を支えてくれた人に目線を向けて固まってしまう。
瞬間、身体中の血液が沸騰するみたいに熱くなる。

胸がドキドキして止まらない。


「大丈夫ですか?お怪我は?お一人で立てますか?椅子を持ってきましょうか?それとも医務室へ…」

ケンビット様が心配そうに私を見つめてから一緒に来ている従者に目を向ける。


その動作一つ一つに魅入ってしまう程に


素敵な人………



はじめての感覚が私の身体中を支配する。



「だっ…大丈夫ですっっありがとうございました。」

私はそのはじめての感覚に耐えきれなくてビシッと急に立ち上がって猛スピードでゲイル兄様とノイルの後ろに隠れる。



「すまない。ケンビット助かった。あれは私の妹だ。」
メイル兄様がケンビット様に近づきため息を混じりに言う。

「そうでしたか…お怪我がないようでよかったです。」
ケンビット様はチラリと私の方を見ると微笑む。


なになになに⁉︎⁉︎⁉︎

なにその微笑み…

めちゃくちゃカッコいいんですけど…
お兄様達で美形は見慣れていますが、別次元の美形…
別次元のカッコ良さなんですけど…

しかも、めちゃくちゃ紳士。
優しさが身体中から滲み出てますけど…


私を助けてくれた人…ケンビット様とメイル兄様とお義姉様が親しそうに話している。


私はゲイル兄様とノイルの間からケンビット様を観察する。


ケンビット様…身なりや仕草からみてかなり高貴な人ですよね。
メイル兄様ともお義姉様とも親しそうです。


一体どんな関係でしょうか?
是非紹介を…


「何やってんだティナ。」
ゲイル兄様が後ろに隠れている私に呆れた様に言う。

「いや…あの方は…」
私は動揺を隠せずゲイル兄様の腕を掴んでケンビット様を指差す。

「お前の失態を助けてくれたのはドイル国の王太子だよ。さっきまであっちの王族席にいただろう?」


ドイル国の…王太子?



王太子…って事は…お義姉様の……?


私は話をしているメイル兄様とお義姉様とケンビット様をマジマジと見つめてしまう。




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