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18.転性聖女の住宅建築2
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家が半壊した翌朝、完全に遮る物が無い朝日に顔を照らされ目が覚めた。
密林で過ごした野宿生活に逆戻りした様な感覚だ。
「さて、今日中にまともな家を作りますよー」
「おー」
アキと並んで伸びをしつつ、今日の目標をアキと共有する。
家だけでなく体調まで崩してしまう前に、
雨風を凌げる空間の確保を目指すのだ。
先ずは建築場所を決めよう。
今は無き我が家は敷地のど真ん中にあったが、
川からも町からも遠く、インフラの面でいまいちだった。
図らずも完全にゼロスタートとなった事ですし、
ポジティブに考えれば、既存物件に縛られずに何処にでも
家を建てられると考えよう。
生活のし易さを考えると、川の直ぐ近くで尚且つ町に近いほうが良いだろうということで、自分の土地の中で最も当て余りそうな場所に目星をつけ、魔法で地面を均していく。
農業も家庭菜園に毛が生えたレベルで楽しむ程度で考えていたし、
今後、設備を拡張していく事を考えると広めに均しておいた方が良いだろう。
前世で住んでいた日本の様に、農地転用の規制とか無いから大丈夫だろう。
……無いですよね?
「ここから先は、アキが均して下さい。
よろしくお願いします」
「まかせて」
当座の住処として予定している3LDK程度の家を作るのに十分な土地を
均し終わった段階で、地均しはアキにバトンタッチだ。
アキが魔法で余分な土を集めて転がしていく姿を見送り、
私は建築作業に取り掛かった。
建設予定範囲をザックリと決め、そこを掘り起こすと、
基礎として水晶の柱を地面深くに突き立てた。
鉄などを用意する資金もマナも無いので、十分に確保している
シリコン系のマナで作れる水晶を代用品として基礎工事の主軸とするのだ。
そして水晶の柱を軸として、コンクリートを生成して基礎工事を完了する。
魔法でコンクリートを制御すれば乾燥の手間もなく固められるので
工事時間も手間も大幅に短縮可能だ。
出来上がった基礎の上に大小様々なコンクリートブロックを生成していき、
家の体裁を整えていく。
もちろん、鉄筋の代わりに水晶で作った軸を埋めて代用していく。
更にコンクリートには気泡を混ぜる事で断熱性をあげることは忘れずに行う。
強度の不足は気になるが、軸となる水晶やコンクリートに込める
マナの量を増やす事で強度を増して補う事としよう。
並べたコンクリートブロックの間を再分解・再構築を繰り返してつなぎ目を消す
拘りも自慢したい。
木材が豊富にあれば、炭素や窒素などを使ってウレタンフォームなどの
断熱材を作ったりして、もっと住みやすい家にできたのだが残念だ。
お昼を過ぎた頃には、凡その形が出来てきた。
家の壁となるコンクリートには表面加工を施し、コンクリートでありがちな
ザラザラとした手触りを感じないほどにツルツルだ。
そして各部屋には贅沢にも水晶を薄く延ばして作った
スライド開閉式のガラス窓がはめ込まれている。
ガラス窓なんて、はめ殺しの物が裕福な一部の貴族様の屋敷にチラホラ使われている程度と考えると、相当豪華なのではないだろうか。
そんな自慢の概観ではあるが、私はデザインセンスは無いので、
四角い豆腐を組み合わせたような、何の面白いも無い角ばった外見になってしまっているのが残念でならないが。
内装と言えば、壁紙など用意できないのでコンクリート打ちっぱなしだが、
生前もデザイナーズマンションでもそんな物件を見たことがあったし、そんなものだろう。
私はこういった飾らないデザインも好きだし。
構造としては20畳はありそうな繋がったリビング、ダイニングとキッチンスペース。
キッチンは広々としたワイドオープンタイプのアイランドキッチンだ。
そしてリビングに設置された階段から二階に設置された各部屋へと移動可能な感じだ。
お風呂、お手洗いも完備です。風呂に至っては、陶器製の浴槽を作り、
完成した後で陶器の内部をマナに再分解することで真空断熱構造を実現している。
ドアなどの駆動部はシリコン系のセラミックをマナで強化した部材で製作し、
隙間や接触部分には、炭素系のゴム素材を当てる拘りようだ。
お金が貯まったら、町の職人さん達に頼んで木製のドアや家具を揃えても良いだろう。
間取りや内装を考えるのは、生前の夢であった夢のマイホームを作っているみたいで非常に楽しかった。
水周りは、樹脂系のパイプを大量に作ってつなげ合わせ、川までの水路を
作ることで家まで水を引き込む事が出来るようにした。
パイプの先端には、水晶ナイフに武器スキルを付与した要領で、
セラミック製のプロペラがマナを動力として回る様にして作ったポンプを取り付けた。
マナを伝える為にポンプから導線としてセラミックの線を延ばして
家の中まで引き込めば、マナを通すだけで操作可能な水道の出来上がりだ。
水を出せる水晶ナイフの様に、マナから水を生成できる装置を作っても良かったが、
マナから物質を作るよりも、物質を操作するほうが精神力の消耗が少ないのだ。
水の使いすぎで昏倒するとか馬鹿らしいですからね。
火も適度に形作ったセラミックにスキルを付与すればコンロの完成だ。
生前の生活を考えるとこれでも全く足りないレベルだが、
この世界では貴族様でもそう持っていないレベルの充実した設備である。
「んー、大体終わったかなー」
「かーさま、ただいま」
大まかに作業が終わった段階で休憩がてら伸びをしていると、
丁度アキが地均しを終えて帰ってきた。
「アキ、丁度家が大方完成したところですよ」
「おー、立派」
手前味噌になってしまうが、規模は小さいもののエイスの町で見たどの家よりも
精巧でしっかりとした家の完成だ。
アキも嬉しそうに顔をほころばせている。
ふふふ、もっと喜んでくれても良いんですよ。
「アキ、そちらの首尾はどうですか?
ちゃんと地均しはできましたか?」
「完璧」
周囲を見渡すと敷地内の地面は完璧なまでに均されていた。
そう、敷地内全てが完璧に均され、真っ平らにされていたのだ。
昨日、私が耕した畑部分も含めて。
「さ、流石ですね。ありがとう御座います」
「ん」
取りあえずアキの事を褒めておこう。褒めて伸ばす教育方針です。
得意げにしているアキに水をさす事もできないし、
私が曖昧な指示を出しておいて、この子を責めることも出来まい。
明日以降に敷地の整備をし直そう。
密林で過ごした野宿生活に逆戻りした様な感覚だ。
「さて、今日中にまともな家を作りますよー」
「おー」
アキと並んで伸びをしつつ、今日の目標をアキと共有する。
家だけでなく体調まで崩してしまう前に、
雨風を凌げる空間の確保を目指すのだ。
先ずは建築場所を決めよう。
今は無き我が家は敷地のど真ん中にあったが、
川からも町からも遠く、インフラの面でいまいちだった。
図らずも完全にゼロスタートとなった事ですし、
ポジティブに考えれば、既存物件に縛られずに何処にでも
家を建てられると考えよう。
生活のし易さを考えると、川の直ぐ近くで尚且つ町に近いほうが良いだろうということで、自分の土地の中で最も当て余りそうな場所に目星をつけ、魔法で地面を均していく。
農業も家庭菜園に毛が生えたレベルで楽しむ程度で考えていたし、
今後、設備を拡張していく事を考えると広めに均しておいた方が良いだろう。
前世で住んでいた日本の様に、農地転用の規制とか無いから大丈夫だろう。
……無いですよね?
「ここから先は、アキが均して下さい。
よろしくお願いします」
「まかせて」
当座の住処として予定している3LDK程度の家を作るのに十分な土地を
均し終わった段階で、地均しはアキにバトンタッチだ。
アキが魔法で余分な土を集めて転がしていく姿を見送り、
私は建築作業に取り掛かった。
建設予定範囲をザックリと決め、そこを掘り起こすと、
基礎として水晶の柱を地面深くに突き立てた。
鉄などを用意する資金もマナも無いので、十分に確保している
シリコン系のマナで作れる水晶を代用品として基礎工事の主軸とするのだ。
そして水晶の柱を軸として、コンクリートを生成して基礎工事を完了する。
魔法でコンクリートを制御すれば乾燥の手間もなく固められるので
工事時間も手間も大幅に短縮可能だ。
出来上がった基礎の上に大小様々なコンクリートブロックを生成していき、
家の体裁を整えていく。
もちろん、鉄筋の代わりに水晶で作った軸を埋めて代用していく。
更にコンクリートには気泡を混ぜる事で断熱性をあげることは忘れずに行う。
強度の不足は気になるが、軸となる水晶やコンクリートに込める
マナの量を増やす事で強度を増して補う事としよう。
並べたコンクリートブロックの間を再分解・再構築を繰り返してつなぎ目を消す
拘りも自慢したい。
木材が豊富にあれば、炭素や窒素などを使ってウレタンフォームなどの
断熱材を作ったりして、もっと住みやすい家にできたのだが残念だ。
お昼を過ぎた頃には、凡その形が出来てきた。
家の壁となるコンクリートには表面加工を施し、コンクリートでありがちな
ザラザラとした手触りを感じないほどにツルツルだ。
そして各部屋には贅沢にも水晶を薄く延ばして作った
スライド開閉式のガラス窓がはめ込まれている。
ガラス窓なんて、はめ殺しの物が裕福な一部の貴族様の屋敷にチラホラ使われている程度と考えると、相当豪華なのではないだろうか。
そんな自慢の概観ではあるが、私はデザインセンスは無いので、
四角い豆腐を組み合わせたような、何の面白いも無い角ばった外見になってしまっているのが残念でならないが。
内装と言えば、壁紙など用意できないのでコンクリート打ちっぱなしだが、
生前もデザイナーズマンションでもそんな物件を見たことがあったし、そんなものだろう。
私はこういった飾らないデザインも好きだし。
構造としては20畳はありそうな繋がったリビング、ダイニングとキッチンスペース。
キッチンは広々としたワイドオープンタイプのアイランドキッチンだ。
そしてリビングに設置された階段から二階に設置された各部屋へと移動可能な感じだ。
お風呂、お手洗いも完備です。風呂に至っては、陶器製の浴槽を作り、
完成した後で陶器の内部をマナに再分解することで真空断熱構造を実現している。
ドアなどの駆動部はシリコン系のセラミックをマナで強化した部材で製作し、
隙間や接触部分には、炭素系のゴム素材を当てる拘りようだ。
お金が貯まったら、町の職人さん達に頼んで木製のドアや家具を揃えても良いだろう。
間取りや内装を考えるのは、生前の夢であった夢のマイホームを作っているみたいで非常に楽しかった。
水周りは、樹脂系のパイプを大量に作ってつなげ合わせ、川までの水路を
作ることで家まで水を引き込む事が出来るようにした。
パイプの先端には、水晶ナイフに武器スキルを付与した要領で、
セラミック製のプロペラがマナを動力として回る様にして作ったポンプを取り付けた。
マナを伝える為にポンプから導線としてセラミックの線を延ばして
家の中まで引き込めば、マナを通すだけで操作可能な水道の出来上がりだ。
水を出せる水晶ナイフの様に、マナから水を生成できる装置を作っても良かったが、
マナから物質を作るよりも、物質を操作するほうが精神力の消耗が少ないのだ。
水の使いすぎで昏倒するとか馬鹿らしいですからね。
火も適度に形作ったセラミックにスキルを付与すればコンロの完成だ。
生前の生活を考えるとこれでも全く足りないレベルだが、
この世界では貴族様でもそう持っていないレベルの充実した設備である。
「んー、大体終わったかなー」
「かーさま、ただいま」
大まかに作業が終わった段階で休憩がてら伸びをしていると、
丁度アキが地均しを終えて帰ってきた。
「アキ、丁度家が大方完成したところですよ」
「おー、立派」
手前味噌になってしまうが、規模は小さいもののエイスの町で見たどの家よりも
精巧でしっかりとした家の完成だ。
アキも嬉しそうに顔をほころばせている。
ふふふ、もっと喜んでくれても良いんですよ。
「アキ、そちらの首尾はどうですか?
ちゃんと地均しはできましたか?」
「完璧」
周囲を見渡すと敷地内の地面は完璧なまでに均されていた。
そう、敷地内全てが完璧に均され、真っ平らにされていたのだ。
昨日、私が耕した畑部分も含めて。
「さ、流石ですね。ありがとう御座います」
「ん」
取りあえずアキの事を褒めておこう。褒めて伸ばす教育方針です。
得意げにしているアキに水をさす事もできないし、
私が曖昧な指示を出しておいて、この子を責めることも出来まい。
明日以降に敷地の整備をし直そう。
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