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13.転性聖女の自分の登録試験1
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「よし、こっちのお譲ちゃんも準備しな」
「えーと、グスタフさんもお疲れの様ですし、またの機会に……」
支部長はやる気の様だが、尤もらしい理由を付けて
やんわりと断ることはできないだろうか。
既にアキの勝利で私の目的は達成してしまっていますし。
「おいおい、そりゃねえよ、お嬢ちゃん。
あんな良い戦い見せられた後だ。
皆、お嬢ちゃんのもっと凄い戦いを見たくてしょうがねぇ」
「油断や手加減があったとは言え、
グスタフがあんなに小さい子に負けましたからね。
まぁ、流石にあそこまで魔法が使えて、
しかもスキル持ちの武器を何本も持っているとは予測できませんし、
グスタフを責める事はできませんが」
「れふねー。強力なスキル持ちの武器、
あんな高価なもの何本も持ってふ新人とか聞いた事無いれふ。
戦いの流れもなかなか考えていまひたね」
各々が先程の戦闘の感想を述べる中、ベルはナイフがそんな貴重なものだと
知らなかったとばかりに、何度も自分のナイフと私を交互に見て慌てている。
後でこの水晶ナイフを売ってお金を稼ごうと思ってたけど、
いろいろと有りそうだし流通させるのは止めたほうが良さそうだ。
それはさておき、どうやって試験を断るべきか。
そもそも皆さん、私の実力を大きく勘違いしていそうだ。
自慢じゃないが、アキとは違って吹けば飛ぶような人間ですよ、私は。
「私はいわゆるヒーラー枠なのであんな戦いはとてもとても。
ほら、グスタフさんに治療魔法を使っていたでしょう」
「そうなのか?確かに並みのヒーラーより強力な治癒魔法だったな」
支部長は顎に手を当てながら頷いている。
お、これは後一押しで納得して貰えそうだ。
「かーさまは奥ゆかしい。
さっきの戦い方はかーさま直伝」
そこにアキの良く分からない援護射撃が炸裂する。
アキ、それは恐らくフレンドリーファイアだよ!
うーん、そうだ、偶に忘れそうになるが、私は可愛い女の子なのだ。
か弱さをアピールすれば少しは分かってもらえるかもしれない。
元男、累計40歳超えには少し恥ずかしいが試す価値はあるだろう。
見せてあげましょう、私の演技力を。
「ああー、先程の治癒魔法で精神力も限界ですー。
もう立っているのも限界ですー。
あー、立ち眩みがー」
少し上ずった声になってしまったが、許容範囲だろう。
そう言って、しなをつくりながらよろめき、
地べたにへたり込んでみる。
銀髪少女が好きな自分だったら、確実に心配であわててしまう出来だ。
なんか隣でアキが真似しているのは無視だ無視。
ベルは本気にして心配そうに慌てている。
少し心が痛むが、これは自分の迫真の演技は
なかなか行けているということでは?
「ははは、今更下手な化かし合いや謙遜は無しにしよう。
ハルちゃん、君の実力を見せてくれないか?」
アッシュさんに嗜められてしまった。即効で終了です。
ぐぬぬ、下手って言われましたよ、下手って。
銀髪少女好きの同志と思っていた支部長も苦笑いしている。
単純に恥ずかしい思いをして損をした。
「だが、誰が試験官を勤める?
最低でもグスタフ並みの奴、他に此処に来ているか?」
支部長が如何したものかと思案している。
いやいや、試験官はDランクの方でもOKなんですよね?
やるなら極力ハードルを下げてください。
「じゃー、私がやりまふねー」
そんな事を考えていると、まさかのルシルさんが立候補してきた。
この残念美人さん、ただの受付のお姉さんと思っていましたが、
冒険者資格持っていたんですね。
「わ、わかりました……」
私は立ち上がり、渋々とだが了承した。
まぁ、ルシルさんなら優しくしてくれそうだし、
そう悪い事にはならないかな。
少し頑張って戦って、許してもらおう。
ルシルさんはお酒を飲みながら、ベンチの前にお酒を並べていく。
戦うために余分な荷物を置いているのだろうか。
しかし、こんなにも大量のお酒、何処に持っていたんだ。
このお酒の量、ルシルさんの体積よりも多そうなんですけど。
「さー!飲み比べれふーーーー!
負けないれふよーーー!」
ルシルさんは空になった容器を掲げて、楽しそうに笑っている。
駄目だ、この人。早くなんとかしないと。
完全に駄目な酔っ払いと化している。
もう、まともに会話が成立しないレベルに泥酔しているのでは?
「……こりゃ駄目そうだな。
酒さえ入らなければ優秀な奴なんだが」
支部長は苦笑いしながらルシルさんを見つめている。
ルシルさん、お酒飲むといつもこんな感じなんですね。
生前にサラリーマンだった頃にも似た感じの人がいましたよ。
「ははは、では、試験官の役目は俺に譲ってもらおうかな。
良いですよね、ダグラスさん」
酔い覚ましとしてルシルさんが持っている容器に
魔法で水を注いでいたら、アッシュさんが何か変な事を言っている。
グスタフさんのアッシュさんへの対応から察するに、
アッシュさんはCランクよりも上なのでは……?
「おい、お前はBランクだろ。
いや……それくらいの方が面白いか」
ちょっとちょっと、Bランクとかおかしいでしょう?
それに、面白いって、痛い目に会うのは私なんですよ!
これは丁重にお断りして、Dランクの冒険者を探してもらおう。
「あはは、アッシュさんのお気持ちは嬉しいですが……」
体調も悪いのでと言って断ろうとしたとき、
ふとアキに目をやると、期待の眼差しで此方を見ていた。
"かーさま、舞台は整った。
アッシュさんが相手ならデビュー戦に相応しい"
アキの期待に満ちた眼差しから、考えている事が
ありありと伝わってくる。
"きっと凄い戦いを見せてくれるに違いない!"
アキの視線が私を突き刺す。痛い痛い。
私はいったい、どうすれば良いのか。
保護者としての威厳を取るべきか。
安定を取るべきか。
「……嬉しいです。お手柔らかにお願いします」
悩んだが、アキの期待に応える事にしよう。
ここまで期待されて断っては男が廃りますからね!
すみません、嘘です。生前の気質もあり、同調圧力に屈しました。
「えーと、グスタフさんもお疲れの様ですし、またの機会に……」
支部長はやる気の様だが、尤もらしい理由を付けて
やんわりと断ることはできないだろうか。
既にアキの勝利で私の目的は達成してしまっていますし。
「おいおい、そりゃねえよ、お嬢ちゃん。
あんな良い戦い見せられた後だ。
皆、お嬢ちゃんのもっと凄い戦いを見たくてしょうがねぇ」
「油断や手加減があったとは言え、
グスタフがあんなに小さい子に負けましたからね。
まぁ、流石にあそこまで魔法が使えて、
しかもスキル持ちの武器を何本も持っているとは予測できませんし、
グスタフを責める事はできませんが」
「れふねー。強力なスキル持ちの武器、
あんな高価なもの何本も持ってふ新人とか聞いた事無いれふ。
戦いの流れもなかなか考えていまひたね」
各々が先程の戦闘の感想を述べる中、ベルはナイフがそんな貴重なものだと
知らなかったとばかりに、何度も自分のナイフと私を交互に見て慌てている。
後でこの水晶ナイフを売ってお金を稼ごうと思ってたけど、
いろいろと有りそうだし流通させるのは止めたほうが良さそうだ。
それはさておき、どうやって試験を断るべきか。
そもそも皆さん、私の実力を大きく勘違いしていそうだ。
自慢じゃないが、アキとは違って吹けば飛ぶような人間ですよ、私は。
「私はいわゆるヒーラー枠なのであんな戦いはとてもとても。
ほら、グスタフさんに治療魔法を使っていたでしょう」
「そうなのか?確かに並みのヒーラーより強力な治癒魔法だったな」
支部長は顎に手を当てながら頷いている。
お、これは後一押しで納得して貰えそうだ。
「かーさまは奥ゆかしい。
さっきの戦い方はかーさま直伝」
そこにアキの良く分からない援護射撃が炸裂する。
アキ、それは恐らくフレンドリーファイアだよ!
うーん、そうだ、偶に忘れそうになるが、私は可愛い女の子なのだ。
か弱さをアピールすれば少しは分かってもらえるかもしれない。
元男、累計40歳超えには少し恥ずかしいが試す価値はあるだろう。
見せてあげましょう、私の演技力を。
「ああー、先程の治癒魔法で精神力も限界ですー。
もう立っているのも限界ですー。
あー、立ち眩みがー」
少し上ずった声になってしまったが、許容範囲だろう。
そう言って、しなをつくりながらよろめき、
地べたにへたり込んでみる。
銀髪少女が好きな自分だったら、確実に心配であわててしまう出来だ。
なんか隣でアキが真似しているのは無視だ無視。
ベルは本気にして心配そうに慌てている。
少し心が痛むが、これは自分の迫真の演技は
なかなか行けているということでは?
「ははは、今更下手な化かし合いや謙遜は無しにしよう。
ハルちゃん、君の実力を見せてくれないか?」
アッシュさんに嗜められてしまった。即効で終了です。
ぐぬぬ、下手って言われましたよ、下手って。
銀髪少女好きの同志と思っていた支部長も苦笑いしている。
単純に恥ずかしい思いをして損をした。
「だが、誰が試験官を勤める?
最低でもグスタフ並みの奴、他に此処に来ているか?」
支部長が如何したものかと思案している。
いやいや、試験官はDランクの方でもOKなんですよね?
やるなら極力ハードルを下げてください。
「じゃー、私がやりまふねー」
そんな事を考えていると、まさかのルシルさんが立候補してきた。
この残念美人さん、ただの受付のお姉さんと思っていましたが、
冒険者資格持っていたんですね。
「わ、わかりました……」
私は立ち上がり、渋々とだが了承した。
まぁ、ルシルさんなら優しくしてくれそうだし、
そう悪い事にはならないかな。
少し頑張って戦って、許してもらおう。
ルシルさんはお酒を飲みながら、ベンチの前にお酒を並べていく。
戦うために余分な荷物を置いているのだろうか。
しかし、こんなにも大量のお酒、何処に持っていたんだ。
このお酒の量、ルシルさんの体積よりも多そうなんですけど。
「さー!飲み比べれふーーーー!
負けないれふよーーー!」
ルシルさんは空になった容器を掲げて、楽しそうに笑っている。
駄目だ、この人。早くなんとかしないと。
完全に駄目な酔っ払いと化している。
もう、まともに会話が成立しないレベルに泥酔しているのでは?
「……こりゃ駄目そうだな。
酒さえ入らなければ優秀な奴なんだが」
支部長は苦笑いしながらルシルさんを見つめている。
ルシルさん、お酒飲むといつもこんな感じなんですね。
生前にサラリーマンだった頃にも似た感じの人がいましたよ。
「ははは、では、試験官の役目は俺に譲ってもらおうかな。
良いですよね、ダグラスさん」
酔い覚ましとしてルシルさんが持っている容器に
魔法で水を注いでいたら、アッシュさんが何か変な事を言っている。
グスタフさんのアッシュさんへの対応から察するに、
アッシュさんはCランクよりも上なのでは……?
「おい、お前はBランクだろ。
いや……それくらいの方が面白いか」
ちょっとちょっと、Bランクとかおかしいでしょう?
それに、面白いって、痛い目に会うのは私なんですよ!
これは丁重にお断りして、Dランクの冒険者を探してもらおう。
「あはは、アッシュさんのお気持ちは嬉しいですが……」
体調も悪いのでと言って断ろうとしたとき、
ふとアキに目をやると、期待の眼差しで此方を見ていた。
"かーさま、舞台は整った。
アッシュさんが相手ならデビュー戦に相応しい"
アキの期待に満ちた眼差しから、考えている事が
ありありと伝わってくる。
"きっと凄い戦いを見せてくれるに違いない!"
アキの視線が私を突き刺す。痛い痛い。
私はいったい、どうすれば良いのか。
保護者としての威厳を取るべきか。
安定を取るべきか。
「……嬉しいです。お手柔らかにお願いします」
悩んだが、アキの期待に応える事にしよう。
ここまで期待されて断っては男が廃りますからね!
すみません、嘘です。生前の気質もあり、同調圧力に屈しました。
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