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勉強
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勉強が嫌いな人間は多い。
稀に勉強が好きという物好きもいるが、それは少数派。
大多数は勉強が嫌いという人種だ。
星もその大多数の内の一人だった。
「くそっ。勉強なんて死んでも御免だぜ」
昼休み。
苛立ったようにつぶやく星。
「でも星くん。勉強しないと今月のテストで確実に退学になるわよ」
「でもよ美麗。俺は勉強が大嫌いなんだよ。なんか勉強せずに退学にならない裏技とかないのかよ」
「勉強の成績を上げる方法は一つしかないわ。日々の努力の積み重ね。それだけよ」
星の甘い考えをばっさりと切り捨てる七瀬。
「けど面倒くせえよ」
「退学になりたいの?」
答えられず黙り込む星。
「………………今からやって間に合うのかよ。小テストは今月なんだろ?」
どこまでも勉強をやりたくない星。
「それはやってみなければわからないわ。でも一つわかっているのは、何もしなければこのまま退学になるのは確実ということよ。結果が保証されていなくてもやるしかないわ」
「やる気でねぇな………」
「退学になりたいの?」
退学を脅し文句にやる気を出させる七瀬。
「………………わかったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ」
なんとかやる気を出すよう説得できたようで、勉強すると言う星。
だが、勉強するといってもがむしゃらにやるだけでは無意味。
きちんと要点を押さえて勉強しなければ効果は発揮できない。
「どうやら七瀬さんは星くんを説得できたみたいだね」
白銀がオレに話しかけてくる。
「そうみたいだな」
「このクラスで一番小テストの順位が下だったのって星くんだったよね。ちなみに次に危ないのは九条くんだけど…………大丈夫?」
白銀なりにオレの勉強の成績を心配してくれているようだ。
「心配してくれてるのか?」
「そりゃあまぁ心配にもなるよ。九条くんいっつもやる気ないし適当だし…………。お願いだから退学しないでね」
白銀の声のトーンがいつにもなく真剣だ。
本気でオレのことを心配してくれているみたいだ。
「オレがいないと寂しいか?」
悪戯っぽく冗談めかして聞いてみる。
すると、みるみる顔が赤くなり動揺しだす白銀。
「そ、そんなんじゃないよ?ほら?クラスメイトの人数が減ると不利になるし?借金返済に協力してくれるって言ってたし?九条くんがいなくなると私が困る、みたいな感じ………………かな?」
あくまで自分のためだと言っているが明らかに目が泳ぎ声がうわずっている。
自分のためと言っているのは自分を納得させるための言い訳で、本気でオレを心配してくれているのかもしれない。
「大丈夫だ。退学するつもりはない」
「それならいいけど………」
オレがやる気を見せたことで白銀は安心してくれたみたいだ。
「天羽くん。ちょっといいかしら」
休み時間に自習している天羽に話しかける七瀬。
「何?」
「星くんに勉強を教えてあげてくれないかしら。このままだと星くんは退学になってしまう可能性が高い。だから、放課後に勉強会を開こうと思うのだけど、そこで先生役になってほしいの。このクラスであなたが一番勉強ができるから」
星の学力を上げるため勉強会を開くようだ。
生徒だけで勉強するなら当然先生役の生徒が必要。
先生役は一番学力が高い生徒が適任なため、クラスで一番学力の高い天羽に頼むのは自然な流れ。
「悪いけど断るよ。僕は自分のために勉強をしているんだ。他人に教える余裕はないよ」
「でもこのままだと星くんは退学になるわ。それは天羽くんにとってもデメリットなはずよ」
「それでもだよ。僕に他人に構っているような余裕はない。悪いけど先生役が欲しいなら四葉先生にでも頼みなよ」
それだけ言うと天羽は昼食をとりに食堂に行ってしまった。
「困ったわね………。白銀さん、少しいいかしら」
七瀬が白銀の近くにくる。
「なにかな?」
「話は聞いてたと思うけど、天羽くんは無理そうなの。だから、私と白銀さん、二人で先生役をしたいのだけど、手伝ってもらえないかしら」
天羽が無理なら七瀬と白銀、二人で先生役をするようだ。
「もちろんいいよ。でも一つ条件があるの。その勉強会に九条くんも参加させてくれないかな?」
「え、オレ?」
突然オレの名前が出てきて驚いてしまう。
「星くんよりはマシだけど九条くんも学力が低いの。だから、九条くんも参加させてくれるなら引き受けてもいいよ」
「そんなことで構わないなら、もちろんいいけど」
「じゃあ先生役引き受けるよっ」
先生役が七瀬と白銀に決まり、オレの意見抜きで勉強会への強制参加が決まってしまった。
「ちょっと待て。オレは参加しないぞ」
「でも九条くんも学力そんなに高くなかったよね?自分のためにもなるし、参加して損はないと思うけど?」
「でも面倒だし」
「九条くんはいなくならないって言ってたよね…………?」
白銀が不安そうにオレの瞳を覗き込んでくる。
白銀の瞳は不安で揺れていた。
オレのことをよほど心配してくれているようだ。
ここは勉強会に参加して安心させてやるのが友達というものだろうか。
「…………わかった。参加するよ」
「よしっ。それじゃあ今日の放課後から勉強会しよっか」
こうして放課後に星の学力を向上させ救済する目的で勉強会を開くことになった。
ついでにオレの勉強会への強制参加が決定した。
稀に勉強が好きという物好きもいるが、それは少数派。
大多数は勉強が嫌いという人種だ。
星もその大多数の内の一人だった。
「くそっ。勉強なんて死んでも御免だぜ」
昼休み。
苛立ったようにつぶやく星。
「でも星くん。勉強しないと今月のテストで確実に退学になるわよ」
「でもよ美麗。俺は勉強が大嫌いなんだよ。なんか勉強せずに退学にならない裏技とかないのかよ」
「勉強の成績を上げる方法は一つしかないわ。日々の努力の積み重ね。それだけよ」
星の甘い考えをばっさりと切り捨てる七瀬。
「けど面倒くせえよ」
「退学になりたいの?」
答えられず黙り込む星。
「………………今からやって間に合うのかよ。小テストは今月なんだろ?」
どこまでも勉強をやりたくない星。
「それはやってみなければわからないわ。でも一つわかっているのは、何もしなければこのまま退学になるのは確実ということよ。結果が保証されていなくてもやるしかないわ」
「やる気でねぇな………」
「退学になりたいの?」
退学を脅し文句にやる気を出させる七瀬。
「………………わかったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ」
なんとかやる気を出すよう説得できたようで、勉強すると言う星。
だが、勉強するといってもがむしゃらにやるだけでは無意味。
きちんと要点を押さえて勉強しなければ効果は発揮できない。
「どうやら七瀬さんは星くんを説得できたみたいだね」
白銀がオレに話しかけてくる。
「そうみたいだな」
「このクラスで一番小テストの順位が下だったのって星くんだったよね。ちなみに次に危ないのは九条くんだけど…………大丈夫?」
白銀なりにオレの勉強の成績を心配してくれているようだ。
「心配してくれてるのか?」
「そりゃあまぁ心配にもなるよ。九条くんいっつもやる気ないし適当だし…………。お願いだから退学しないでね」
白銀の声のトーンがいつにもなく真剣だ。
本気でオレのことを心配してくれているみたいだ。
「オレがいないと寂しいか?」
悪戯っぽく冗談めかして聞いてみる。
すると、みるみる顔が赤くなり動揺しだす白銀。
「そ、そんなんじゃないよ?ほら?クラスメイトの人数が減ると不利になるし?借金返済に協力してくれるって言ってたし?九条くんがいなくなると私が困る、みたいな感じ………………かな?」
あくまで自分のためだと言っているが明らかに目が泳ぎ声がうわずっている。
自分のためと言っているのは自分を納得させるための言い訳で、本気でオレを心配してくれているのかもしれない。
「大丈夫だ。退学するつもりはない」
「それならいいけど………」
オレがやる気を見せたことで白銀は安心してくれたみたいだ。
「天羽くん。ちょっといいかしら」
休み時間に自習している天羽に話しかける七瀬。
「何?」
「星くんに勉強を教えてあげてくれないかしら。このままだと星くんは退学になってしまう可能性が高い。だから、放課後に勉強会を開こうと思うのだけど、そこで先生役になってほしいの。このクラスであなたが一番勉強ができるから」
星の学力を上げるため勉強会を開くようだ。
生徒だけで勉強するなら当然先生役の生徒が必要。
先生役は一番学力が高い生徒が適任なため、クラスで一番学力の高い天羽に頼むのは自然な流れ。
「悪いけど断るよ。僕は自分のために勉強をしているんだ。他人に教える余裕はないよ」
「でもこのままだと星くんは退学になるわ。それは天羽くんにとってもデメリットなはずよ」
「それでもだよ。僕に他人に構っているような余裕はない。悪いけど先生役が欲しいなら四葉先生にでも頼みなよ」
それだけ言うと天羽は昼食をとりに食堂に行ってしまった。
「困ったわね………。白銀さん、少しいいかしら」
七瀬が白銀の近くにくる。
「なにかな?」
「話は聞いてたと思うけど、天羽くんは無理そうなの。だから、私と白銀さん、二人で先生役をしたいのだけど、手伝ってもらえないかしら」
天羽が無理なら七瀬と白銀、二人で先生役をするようだ。
「もちろんいいよ。でも一つ条件があるの。その勉強会に九条くんも参加させてくれないかな?」
「え、オレ?」
突然オレの名前が出てきて驚いてしまう。
「星くんよりはマシだけど九条くんも学力が低いの。だから、九条くんも参加させてくれるなら引き受けてもいいよ」
「そんなことで構わないなら、もちろんいいけど」
「じゃあ先生役引き受けるよっ」
先生役が七瀬と白銀に決まり、オレの意見抜きで勉強会への強制参加が決まってしまった。
「ちょっと待て。オレは参加しないぞ」
「でも九条くんも学力そんなに高くなかったよね?自分のためにもなるし、参加して損はないと思うけど?」
「でも面倒だし」
「九条くんはいなくならないって言ってたよね…………?」
白銀が不安そうにオレの瞳を覗き込んでくる。
白銀の瞳は不安で揺れていた。
オレのことをよほど心配してくれているようだ。
ここは勉強会に参加して安心させてやるのが友達というものだろうか。
「…………わかった。参加するよ」
「よしっ。それじゃあ今日の放課後から勉強会しよっか」
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