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哀愁のレコード ②
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荘厳とした中世ヨーロッパを連想するような豪勢な造りの空間で、黒須は祭壇の男とにらみあっていた。
「黒須…お前…何故人間と接触した…?」
男は顔には面を被っていおり、全体的にベネチアカーニバルを彷彿とさせる風貌をしており祭壇の椅子に腰掛けている。男の周りには同じくベネチアの風貌をした使いの者が取り囲んでいた。
「何故って…知ってんでしょう…ラプラス。アリアが出たんですよ。」
黒須は面倒くさそうに、髪をくるくる掻き回している。
「だから、何故こんなにも人間に干渉し過ぎたんだ?」
バルスは、杖をガツンと音を立てる。音は空間全体に鈍い音を立てて響き渡る。
「…は?それは、当然の事だろ…アリアからアイツを護ったんだ。それも仕事のいっかんでしょうが…」
黒須は怯まず、睨みをきかせている。
「…それは、そうかも知れんが…お前は、最近やり過ぎだぞ。自分の身の上をわきまえたらどうなんだ…?」
「…あ?あんた、あの事を言ってるんですか…?前にも言ったように、私はあの時…」
黒須の眼光は鋭くなり、唇はギッと噛みしめる。
「お前は、行動次第でどうなるか分かってるんだろうな…そしたら、アオイもいづれアリスの様になってしまうんだぞ…」
その言葉に黒須はハッとする。
「…分かってますって…で、次の仕事は…」
黒須は大仰にため息をつく。
深い深い薄暗い森の奥深くで、ボロボロのつぎはぎだらけの布切れを纏った少女が、ひたすら走りながら彷徨っていた。少女は裸足で左頬に薄っすらと痣があった。
当たり一面には、人の姿に酷似した木々が生い茂っていた。少女は、しきりに声を出し続けていた。
『アオイー!!!』
少女の声は遠くに木霊し、木々がそよ風に揺られざわざわ揺れていた。
しばらく歩き続けると、左の突き当りに少女がぐったりとしながら木にもたれかかっているのが見えた。
『…アオイ!?』
少女はアオイをしきりに揺らすが、アオイはピクリともしない。彼女の足は茶色いあざのような物が出来ていた。
すると、木々がみるみる大きくなり二人を包み込もうとするー。否、飲み込もうてしている様だったー。
『アオイ、逃げるんだよ!』
少女はアオイを背負うと、急いでその場を離れた。
木々はぐにゃぐにゃ前後左右に伸びながら、二人に襲いかかってくる。
少女はアオイを背負いながら裸足で、冷たい土の上を走った。緑の葉を生やした悪魔の様な木々は、黄色い声を立てながら二人に接近してくる。
薄っすらと寒く乾いた深緑の森の中を、少女はアオイを背負いながら、荒い息を立てながらひたすら走る。
しばらく走り狭い道を抜けると、そこには広場があった。薄暗い空間に薄っすらと光が差し込めてくるー。
少女はゼエゼエ呼吸をすると、アオイを大樹のそばに寝かせると、自身も木のそばにもたれかかった。全身には冷や汗が滲み出ていた。脚は傷だらけで、赤く腫れ上がっていた。
すると、いきなり強烈な竜巻の様な渦が巻き起こった。木の葉は激しく渦を巻き、少女は顔を覆いながらアオイを庇った。そして、地面にぽっかり穴が空いたのだった。その深い大きな穴から、突如木の枝が大蛇のようにニョキニョキ生えてきた。その木の枝は無数に伸び、辺り全体がぐらぐら揺れた。少女は右脚を踏み外した。少女とアオイは、真っ逆さまに穴の下へ下へと落ちていった。
少女の仔猫の様なか細い悲鳴は、徐々に小さくなり悪魔の暗闇に閉ざされた。
静寂に包まれた薄暗い館内では、マネキンとヒトミがずっと抱きあっていた。すると、急にヒトミが口から血を吐いた。
「…ゴボ…ゴボ…」
ヒトミの身体にはマネキンの右腕がドリルの様に静かに速く回転をしながら貫いていたのだった。ヒトミが全身血塗れになった。
「…し、進一、わ、た、し…」
マネキンは、ヒトミ言葉を無視し彼女の腹から背中まで串刺しにすると、不気味にカチカチ歯を立てている。
ヒトミはゴボゴボ血を吐くと、その場で倒れた。
すると、遠くの方からカツカツと足音が聞こえてきた。警備の人が見回りに来たのだ。
「…お、おい…!」
警備員はマネキンの額にライトをしっかり当ててきた。
マネキンは血塗れのヒトミを振り落とすと、カタカタ音を立てながら警備員に歩み寄る。右腕が血飛沫を撒き散らし、ドリルの様に激しく回転しとある。
「…な、何だお前…!?」
警備員は、ライトをカランと落とすと、真っ青になった。彼はUターンをするとその場をダッシュで離れた。
ロッカーの様なファッションをしたレトロな雰囲気を纏うマネキンは、終始不気味な笑みを浮かべたまま短距離走の選手の様な走りで、警備員に追い付いていく。
警備員は、チラチラ振り返りながらひたすら走る。彼は誰もいない暗い館内をひたすら走る。ふと、彼の眼前にニンマリ笑みを浮かべたマネキンが現れた。
「き、貴様…」
いつの間にか、マネキンは警備員を追い越していた。そして、警備員の背中から胸のあたりまで、マネキンの左腕が貫通していた。マネキンは、左腕を元に戻したを警備員は大量に血を吐き出すと、その場にうつ伏せになった。
「黒須…お前…何故人間と接触した…?」
男は顔には面を被っていおり、全体的にベネチアカーニバルを彷彿とさせる風貌をしており祭壇の椅子に腰掛けている。男の周りには同じくベネチアの風貌をした使いの者が取り囲んでいた。
「何故って…知ってんでしょう…ラプラス。アリアが出たんですよ。」
黒須は面倒くさそうに、髪をくるくる掻き回している。
「だから、何故こんなにも人間に干渉し過ぎたんだ?」
バルスは、杖をガツンと音を立てる。音は空間全体に鈍い音を立てて響き渡る。
「…は?それは、当然の事だろ…アリアからアイツを護ったんだ。それも仕事のいっかんでしょうが…」
黒須は怯まず、睨みをきかせている。
「…それは、そうかも知れんが…お前は、最近やり過ぎだぞ。自分の身の上をわきまえたらどうなんだ…?」
「…あ?あんた、あの事を言ってるんですか…?前にも言ったように、私はあの時…」
黒須の眼光は鋭くなり、唇はギッと噛みしめる。
「お前は、行動次第でどうなるか分かってるんだろうな…そしたら、アオイもいづれアリスの様になってしまうんだぞ…」
その言葉に黒須はハッとする。
「…分かってますって…で、次の仕事は…」
黒須は大仰にため息をつく。
深い深い薄暗い森の奥深くで、ボロボロのつぎはぎだらけの布切れを纏った少女が、ひたすら走りながら彷徨っていた。少女は裸足で左頬に薄っすらと痣があった。
当たり一面には、人の姿に酷似した木々が生い茂っていた。少女は、しきりに声を出し続けていた。
『アオイー!!!』
少女の声は遠くに木霊し、木々がそよ風に揺られざわざわ揺れていた。
しばらく歩き続けると、左の突き当りに少女がぐったりとしながら木にもたれかかっているのが見えた。
『…アオイ!?』
少女はアオイをしきりに揺らすが、アオイはピクリともしない。彼女の足は茶色いあざのような物が出来ていた。
すると、木々がみるみる大きくなり二人を包み込もうとするー。否、飲み込もうてしている様だったー。
『アオイ、逃げるんだよ!』
少女はアオイを背負うと、急いでその場を離れた。
木々はぐにゃぐにゃ前後左右に伸びながら、二人に襲いかかってくる。
少女はアオイを背負いながら裸足で、冷たい土の上を走った。緑の葉を生やした悪魔の様な木々は、黄色い声を立てながら二人に接近してくる。
薄っすらと寒く乾いた深緑の森の中を、少女はアオイを背負いながら、荒い息を立てながらひたすら走る。
しばらく走り狭い道を抜けると、そこには広場があった。薄暗い空間に薄っすらと光が差し込めてくるー。
少女はゼエゼエ呼吸をすると、アオイを大樹のそばに寝かせると、自身も木のそばにもたれかかった。全身には冷や汗が滲み出ていた。脚は傷だらけで、赤く腫れ上がっていた。
すると、いきなり強烈な竜巻の様な渦が巻き起こった。木の葉は激しく渦を巻き、少女は顔を覆いながらアオイを庇った。そして、地面にぽっかり穴が空いたのだった。その深い大きな穴から、突如木の枝が大蛇のようにニョキニョキ生えてきた。その木の枝は無数に伸び、辺り全体がぐらぐら揺れた。少女は右脚を踏み外した。少女とアオイは、真っ逆さまに穴の下へ下へと落ちていった。
少女の仔猫の様なか細い悲鳴は、徐々に小さくなり悪魔の暗闇に閉ざされた。
静寂に包まれた薄暗い館内では、マネキンとヒトミがずっと抱きあっていた。すると、急にヒトミが口から血を吐いた。
「…ゴボ…ゴボ…」
ヒトミの身体にはマネキンの右腕がドリルの様に静かに速く回転をしながら貫いていたのだった。ヒトミが全身血塗れになった。
「…し、進一、わ、た、し…」
マネキンは、ヒトミ言葉を無視し彼女の腹から背中まで串刺しにすると、不気味にカチカチ歯を立てている。
ヒトミはゴボゴボ血を吐くと、その場で倒れた。
すると、遠くの方からカツカツと足音が聞こえてきた。警備の人が見回りに来たのだ。
「…お、おい…!」
警備員はマネキンの額にライトをしっかり当ててきた。
マネキンは血塗れのヒトミを振り落とすと、カタカタ音を立てながら警備員に歩み寄る。右腕が血飛沫を撒き散らし、ドリルの様に激しく回転しとある。
「…な、何だお前…!?」
警備員は、ライトをカランと落とすと、真っ青になった。彼はUターンをするとその場をダッシュで離れた。
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「き、貴様…」
いつの間にか、マネキンは警備員を追い越していた。そして、警備員の背中から胸のあたりまで、マネキンの左腕が貫通していた。マネキンは、左腕を元に戻したを警備員は大量に血を吐き出すと、その場にうつ伏せになった。
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