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悪魔の序曲~アクマノオーバーチュア
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人気一つもない不思議な街の広場で、朱色の炎はバチバチ音を立てながら、マコトを包み込んでいた。
「ー」
マコトの瞳が急に変わった。ハイライトが消えた様な冷めさ眼をしている。
「おい、マコト?」
森田はわなわな震え上がり、マコトをまじまじと見ていた。
「ー」
マコトの顔つきはすっかり変わって別人のようだった。さっきまでおどおどした感じとは違い、全体的に重厚感があり、鎧武者の様にどっしりとした印象である。
「ん、お前、何か喋れよ。」
森田はぱちぱち瞬きをすると、尻餅をついた。
「ー」
彼の纏う炎は益々強くなる。
「ーお前は!?」
少女に取り憑いた影は震え上がると、影をドリルの様な形態に変貌した。そして強烈な竜巻のような渦を撒き散らし、マコト目掛けて突進する。
「ークロスの部下かー?」
マコトは暗く冷めた声を発した。そして彼は突風の中で右手でドリルの先端を掴むと、そのままねじ伏せた。ドリルを模した影は散り散りになり、炎に包まれ、爆発した。
眼の前には気を失い、倒れている少女の姿がそこにあった。
「おい、マコトー、お前、どうなっちまったんだよ?サイヤ人にでもなったのか?」
「ー」
マコトは森田に目もくれずに遠い目をしている。
「はあー。」
森田は眉をハの字にして、脱力感に襲われていた。
「ー悪い。その子を頼む。」
そう言うと、マコトを炎の渦が飲み込むと、打ち上げ花火の様に炎はに森田の眼前から、一瞬で消えたのだった。
そしてそこには少女を抱き抱えた森田が鯉のように口をぱっくり開け、顔面蒼白で空を眺めている姿があった。
礼拝堂では、二人が吊るし上げられ、干物の様に窶れた姿があった。二人はケホケホ苦しむも、重力をかけられた時に既に力スキルを封印され、為す術がなかったのだった。
すると、天井から、朱色の炎と熱波が貫いた。けたたましい閃光で、二人は呆気にとられた。そこには炎を纏った男が出現し、不敵な笑みを浮かべていたのだ。
「あら。お仲間ですか?貴男こそ、懺悔に相応しいお方ー。ここで、楽になりましょう。」
ダークネスは微笑むと、空間全体にキラキラした象牙色の光を充満させた。
すると、3方向の壁の隙間からスライムの様な液体がドロドロ出現し、そこからシスターの姿をした白装束のアストリアンが姿を現した。
「やばいぞ。何でよりによってダークネスがごちゃごちゃいるんだよ。」
ベロニカは戦慄していた。身体をグイグイ揺さぶるも、触手はビクリともしない。
「ベロニカ、ここは奴らの巣窟だ、元から近くに仲間が潜んでいたんだよ。」
そして、エリアムはカイムの方を向いた。
「ーお前は、カイムだろ。約200年前に処刑され、しばらく地獄に潜伏してそして異界で人間として蘇ったー。」
「ーそうだ。地獄の冥府でお世話になって帰ってきたのだ。」
カイムは淡々としていた。朱色の炎は益々強くなっていった。二人は彼の顔から恐れを感じ取った。
「では、早速悔い改めましょう。憐れで邪悪な魂の救済と浄化を施して差し上げましょうか。」
アストリアンの触手の締め付ける力は次第に強くなった。二人は益々息苦しくなった。
「悪い。弱い者には興味はないー。」
そう言うと、カイムは一瞬で触手を切りつけた。そして膨大な炎と突風が巻き起こり、悪魔の業火は竜巻の様な渦を巻いた。その炎を避けながら、二人は着地した。
「ー」
カイムは遠い眼をして天井をぼんやり眺めていた。
「ーコイツは、こういう奴さ。」
エリアムは呆れ顔で、カイムを見ていた。
「お前、知ってんのか?こいつをー」
「ああ。200年以上昔にな。」
「大体、何でこいつが人間になるんだよ?それに異界なんてものがあるのか?」
「こいつはかつて人間を喰い殺すどころか同胞まで平気で殺す冷酷無慈悲な鬼畜だった。僕たちが30人でこいつを殺せるかどうかだ。何せオーラの量が桁違いで、元々の体内の核も異質なんだよ。」
二人はカイムが4体のアストリアンと交戦している様を眺めていた。彼は悪魔の様な形相で、目を輝かせながら次々と触手を斬りつけた。
「聴き分けのない人には、罰を下しましょう。」
4体のダークネスは口から強烈な炎を吹き出した。象牙色、緑、青紫、ピンクの炎が入り混じり、夏のギラギラ照りつける太陽の様な眩しすぎる閃光を発した。余りの眩しさと熱波にエリアムとベロニカは目を覆った。
「ふん。面白い。」
カイムは軽く笑い、自身の発する炎を強めた。熱波は益々強烈になり、目を覆っても5色の光が入り込み眩しくてどうにかなりそうだ。
そして、ギラギラした光を纏った炎の中から4体の生首が飛んできた。
エリアムは眉間に皺を寄せて青ざめている。まるで打ち上げられた魚の様だ。
「でもこいつは今、人間だろ?」
「『魔王石』だ。こいつは長い間、地獄の底で魔王石に魂を封印されていたんだよ。多分、一緒に地獄に落ちた仲間が魔王石を持参し、そして魔王石ごと人間に転生したのだろう。」
「よりによって、何で人間なんだ?あたしなら強い者に転生したいがな。なんなら、アリストリアンでもOKだぜ。ーなんてな。」
ベロニカはまだ全て飲み込めない様な顔をしていた。
「地獄の主から力を奪われたんだろう。地獄は何かと制限がかけられて不便だし、追っ手が来るかもしれないから、やむ負えなく異界の人間を選んだって所かー。」
エリアムはカイムの方を見ると、
「ーすまない。もうこんな時間になった。行かねばならぬ所がある。」
カイムは膨大な朱色の炎に包まれると、ロケット花火の様に移動し、その場から消え去った。
「おい!貴様、何処にー」
ベロニカは鎌を構えると、カイムを呼び止めた。
「やめとけ。僕達の敵う相手じゃないよ。」
「ー知っているさ。けど、こんな奴野放しにして大丈夫かね?ま、メリーは良い奴だけどよ。でも、あたしはあいつら憎いぜ。アイツら殆ど悪魔だよ。」
「僕は、晩年のカイムを知っている。人には一切手出ししない筈だよ。」
「分かってるさ。お前も、変わったよなぁ。」
ベロニカは眉をハの字にすると、軽く溜息をついた。
すると、礼拝堂がスライムの様にドロドロに溶け、そのスライムから30体程のドールが姿を現した。
「『ドール』かー。こんなに大量に潜んでいたとはー。」
「ーえ?ドール?こいつらが礼拝堂を成していたのか?」
「ああ、そしてその無駄に綺羅びやかな装飾は、ドールの人だった頃の思い出の様な物が具現化したのだろう。」
エリアムは指を顎に当て、考察している。
「ーだとしたら、元人間も居るって事かー?」
「ー間違いないね。」
ドールとはアストリアンが完全な人形に変化する前の段階であり、非常に不安定な姿をしている。知能も理性も低く、身体の形状は非常に不安定であり、スライムの様に動物から建物までいろんな形態に擬態することができるのだ。ドールは伸縮すると不安定な形態で、雪崩の様に全てを飲み込もうとする。
するとエリアムの時間停止の能力が解け、人々は豆鉄砲でも喰らった様な顔になると、次々と黄色い悲鳴を発した。
「お前達、早くその場から去れ!飲み込まれるぞ!」
エリアムはそう叫ぶと、街中に危害が及ばぬように、結界を張った。
エリアムはその目の前の数体のドール達に、既視感デジャブのようなものを感じた。その雰囲気や面影からかつて一緒に戦った仲間達のオーラをも感じたのだ。そこから寒気と重く黒ずんだ不安を感じた。そしてすぐ目の前の巨大なザリガニの様な姿をしたドールの赤いリボンを見たとき、ざわざわした突き刺さる不安を感じたのだ。
ーミアー
このリボンは自分と一番の顔見知りの仲間がつけていたものだ。大人しくて臆病でいつも自分に付き纏っていたところがあるが、予知能力と頭の機転がよく、安らぎと安心感があった。
「おい・・・。こいつらって・・・。」
ベロニカも同じことを感じ取ったみたいだ。
エリアムは、無言でバズーカを降り注ぐ雨の様に連射し続けた。彼女の眼光は冷淡で冷徹であり、まるでロボットの様である。ベロニカも鎌を振るい次々とドールを斬りつけていった。かつて人間だった者達のー、そして同胞たちの血飛沫が頬にそして衣服に付着する。
そして、赤いリボンをつけたドールは、反撃に出るもその直後、不思議と大人しく動きを停止させ、そのまま静かに倒れた。
エリアムは倒れたドールの赤いリボンを手に取り、ただじっと見ていた。その表情は冷淡さも加わった般若の様な形相であった。
「ー」
マコトの瞳が急に変わった。ハイライトが消えた様な冷めさ眼をしている。
「おい、マコト?」
森田はわなわな震え上がり、マコトをまじまじと見ていた。
「ー」
マコトの顔つきはすっかり変わって別人のようだった。さっきまでおどおどした感じとは違い、全体的に重厚感があり、鎧武者の様にどっしりとした印象である。
「ん、お前、何か喋れよ。」
森田はぱちぱち瞬きをすると、尻餅をついた。
「ー」
彼の纏う炎は益々強くなる。
「ーお前は!?」
少女に取り憑いた影は震え上がると、影をドリルの様な形態に変貌した。そして強烈な竜巻のような渦を撒き散らし、マコト目掛けて突進する。
「ークロスの部下かー?」
マコトは暗く冷めた声を発した。そして彼は突風の中で右手でドリルの先端を掴むと、そのままねじ伏せた。ドリルを模した影は散り散りになり、炎に包まれ、爆発した。
眼の前には気を失い、倒れている少女の姿がそこにあった。
「おい、マコトー、お前、どうなっちまったんだよ?サイヤ人にでもなったのか?」
「ー」
マコトは森田に目もくれずに遠い目をしている。
「はあー。」
森田は眉をハの字にして、脱力感に襲われていた。
「ー悪い。その子を頼む。」
そう言うと、マコトを炎の渦が飲み込むと、打ち上げ花火の様に炎はに森田の眼前から、一瞬で消えたのだった。
そしてそこには少女を抱き抱えた森田が鯉のように口をぱっくり開け、顔面蒼白で空を眺めている姿があった。
礼拝堂では、二人が吊るし上げられ、干物の様に窶れた姿があった。二人はケホケホ苦しむも、重力をかけられた時に既に力スキルを封印され、為す術がなかったのだった。
すると、天井から、朱色の炎と熱波が貫いた。けたたましい閃光で、二人は呆気にとられた。そこには炎を纏った男が出現し、不敵な笑みを浮かべていたのだ。
「あら。お仲間ですか?貴男こそ、懺悔に相応しいお方ー。ここで、楽になりましょう。」
ダークネスは微笑むと、空間全体にキラキラした象牙色の光を充満させた。
すると、3方向の壁の隙間からスライムの様な液体がドロドロ出現し、そこからシスターの姿をした白装束のアストリアンが姿を現した。
「やばいぞ。何でよりによってダークネスがごちゃごちゃいるんだよ。」
ベロニカは戦慄していた。身体をグイグイ揺さぶるも、触手はビクリともしない。
「ベロニカ、ここは奴らの巣窟だ、元から近くに仲間が潜んでいたんだよ。」
そして、エリアムはカイムの方を向いた。
「ーお前は、カイムだろ。約200年前に処刑され、しばらく地獄に潜伏してそして異界で人間として蘇ったー。」
「ーそうだ。地獄の冥府でお世話になって帰ってきたのだ。」
カイムは淡々としていた。朱色の炎は益々強くなっていった。二人は彼の顔から恐れを感じ取った。
「では、早速悔い改めましょう。憐れで邪悪な魂の救済と浄化を施して差し上げましょうか。」
アストリアンの触手の締め付ける力は次第に強くなった。二人は益々息苦しくなった。
「悪い。弱い者には興味はないー。」
そう言うと、カイムは一瞬で触手を切りつけた。そして膨大な炎と突風が巻き起こり、悪魔の業火は竜巻の様な渦を巻いた。その炎を避けながら、二人は着地した。
「ー」
カイムは遠い眼をして天井をぼんやり眺めていた。
「ーコイツは、こういう奴さ。」
エリアムは呆れ顔で、カイムを見ていた。
「お前、知ってんのか?こいつをー」
「ああ。200年以上昔にな。」
「大体、何でこいつが人間になるんだよ?それに異界なんてものがあるのか?」
「こいつはかつて人間を喰い殺すどころか同胞まで平気で殺す冷酷無慈悲な鬼畜だった。僕たちが30人でこいつを殺せるかどうかだ。何せオーラの量が桁違いで、元々の体内の核も異質なんだよ。」
二人はカイムが4体のアストリアンと交戦している様を眺めていた。彼は悪魔の様な形相で、目を輝かせながら次々と触手を斬りつけた。
「聴き分けのない人には、罰を下しましょう。」
4体のダークネスは口から強烈な炎を吹き出した。象牙色、緑、青紫、ピンクの炎が入り混じり、夏のギラギラ照りつける太陽の様な眩しすぎる閃光を発した。余りの眩しさと熱波にエリアムとベロニカは目を覆った。
「ふん。面白い。」
カイムは軽く笑い、自身の発する炎を強めた。熱波は益々強烈になり、目を覆っても5色の光が入り込み眩しくてどうにかなりそうだ。
そして、ギラギラした光を纏った炎の中から4体の生首が飛んできた。
エリアムは眉間に皺を寄せて青ざめている。まるで打ち上げられた魚の様だ。
「でもこいつは今、人間だろ?」
「『魔王石』だ。こいつは長い間、地獄の底で魔王石に魂を封印されていたんだよ。多分、一緒に地獄に落ちた仲間が魔王石を持参し、そして魔王石ごと人間に転生したのだろう。」
「よりによって、何で人間なんだ?あたしなら強い者に転生したいがな。なんなら、アリストリアンでもOKだぜ。ーなんてな。」
ベロニカはまだ全て飲み込めない様な顔をしていた。
「地獄の主から力を奪われたんだろう。地獄は何かと制限がかけられて不便だし、追っ手が来るかもしれないから、やむ負えなく異界の人間を選んだって所かー。」
エリアムはカイムの方を見ると、
「ーすまない。もうこんな時間になった。行かねばならぬ所がある。」
カイムは膨大な朱色の炎に包まれると、ロケット花火の様に移動し、その場から消え去った。
「おい!貴様、何処にー」
ベロニカは鎌を構えると、カイムを呼び止めた。
「やめとけ。僕達の敵う相手じゃないよ。」
「ー知っているさ。けど、こんな奴野放しにして大丈夫かね?ま、メリーは良い奴だけどよ。でも、あたしはあいつら憎いぜ。アイツら殆ど悪魔だよ。」
「僕は、晩年のカイムを知っている。人には一切手出ししない筈だよ。」
「分かってるさ。お前も、変わったよなぁ。」
ベロニカは眉をハの字にすると、軽く溜息をついた。
すると、礼拝堂がスライムの様にドロドロに溶け、そのスライムから30体程のドールが姿を現した。
「『ドール』かー。こんなに大量に潜んでいたとはー。」
「ーえ?ドール?こいつらが礼拝堂を成していたのか?」
「ああ、そしてその無駄に綺羅びやかな装飾は、ドールの人だった頃の思い出の様な物が具現化したのだろう。」
エリアムは指を顎に当て、考察している。
「ーだとしたら、元人間も居るって事かー?」
「ー間違いないね。」
ドールとはアストリアンが完全な人形に変化する前の段階であり、非常に不安定な姿をしている。知能も理性も低く、身体の形状は非常に不安定であり、スライムの様に動物から建物までいろんな形態に擬態することができるのだ。ドールは伸縮すると不安定な形態で、雪崩の様に全てを飲み込もうとする。
するとエリアムの時間停止の能力が解け、人々は豆鉄砲でも喰らった様な顔になると、次々と黄色い悲鳴を発した。
「お前達、早くその場から去れ!飲み込まれるぞ!」
エリアムはそう叫ぶと、街中に危害が及ばぬように、結界を張った。
エリアムはその目の前の数体のドール達に、既視感デジャブのようなものを感じた。その雰囲気や面影からかつて一緒に戦った仲間達のオーラをも感じたのだ。そこから寒気と重く黒ずんだ不安を感じた。そしてすぐ目の前の巨大なザリガニの様な姿をしたドールの赤いリボンを見たとき、ざわざわした突き刺さる不安を感じたのだ。
ーミアー
このリボンは自分と一番の顔見知りの仲間がつけていたものだ。大人しくて臆病でいつも自分に付き纏っていたところがあるが、予知能力と頭の機転がよく、安らぎと安心感があった。
「おい・・・。こいつらって・・・。」
ベロニカも同じことを感じ取ったみたいだ。
エリアムは、無言でバズーカを降り注ぐ雨の様に連射し続けた。彼女の眼光は冷淡で冷徹であり、まるでロボットの様である。ベロニカも鎌を振るい次々とドールを斬りつけていった。かつて人間だった者達のー、そして同胞たちの血飛沫が頬にそして衣服に付着する。
そして、赤いリボンをつけたドールは、反撃に出るもその直後、不思議と大人しく動きを停止させ、そのまま静かに倒れた。
エリアムは倒れたドールの赤いリボンを手に取り、ただじっと見ていた。その表情は冷淡さも加わった般若の様な形相であった。
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