堕天使と悪魔の黙示録

RYU

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ウォーリー ②

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 ウォーリーは、急いで元きたハイウェイに戻り、辺りを確認した。しかし、どんなに辺りをくまなく探しても、螺子など何処にも無かったー。 
 まさか、あの大鳥と言う男が持ち帰ったのだろうかー?もし、セキュリティー会社に知られたら、自分はスクラップにされてしまうー。
「まずい…まずい、まずいぞ…。早く見つけ出さないと…。」
 ウォーリーは、呆然と立ち尽くした。


 カケルと博士は、事の詳細を担当者に話した。担当者は、螺子を見ながら二人の言う事をじっくり考える聞きながらメモを取っていた。
すると、社員の胸ポケットの通信機器が、ピロピロ音を上げた。
「すみません…少々、お待ち頂けますか?」
「ああ。そこまで急いでいる訳ではないから、構わんよ。」
「…では、失礼致します。」
そう言うと、社員は通信機を手に取った。
「お電話ありがとうございます。ユニバースの山岡が承ります。も、もしもし、な、何…?盗まれた…?」
山岡と言う名の担当者は、真っ青になり顎をガクガク震わせていた。
「どうかされましたか?」
「い、いや、『ブルーペンタゴン』がないみたいでして…。あの、羅針盤の…」
「…そ、それは…まずいことになるぞ!」
『ブルーペンタゴン』とは、青磁色の五角形の羅針盤の事であり、そこには自動人形《オートマドール》用の燃料が貯蔵されており、また、ハイウェイの方向を変える役割もある。これ等は各地域のの時計台に配置されており、各自治体で厳重に管理されているのだ。
 ブルーペンタゴンは、一見只の羅針盤の様だが、その内部には自動人形《オートマドール》を作る各メーカー機密情報が記されている他、取り扱いを間違えると、爆発して燃料が漏れ出し大惨事になりかねない。その燃料は、レーザーメタンや炭酸ガスが含まれており、慎重に扱わなければならない。
「最後見たのは何時頃になりますか?」
「最後にソレを見たのは午前9時前だそうです。その時、点検したら何の異常も無かったみたいで…」
「その盗まれた現場を、見せてもらえる事は出来ますか?」
「…ええ、あなたは一体…?」
「ああ、こいつかー?実は、ジェネシスなんだよ。」
「え…?そんな気配は…」
「博士、余計な事は言わなくていい。」
「はは、諸事情があってな…」
博士は苦笑いをした。





 山岡とカケルと博士は、監視官に案内され、例の時計台へと向かった。時計台の台座には、あるはずの物が綺麗に消えていたのだ。
「なるほど…綺麗にもぎ取られてますね」
カケルは裏に回ると犯人の手掛かりとなる痕跡を、くまなく探っていた。
「だ、誰がそんな事を…これ、20キロ位ありますよ…」
山岡は滝に打たれたかの様な面持ちで、呆然と立ち尽くしていた。
「防犯カメラは、には、誰か映ってなかったですか?」
カケルは、確認しながら尋ねた。
「そ、それが…誰も映ってないんですよ…ほら…」
監視官は震えた声で、タブレットを見せた。タブレットには、魔法に掛かったかのように羅針盤が宙に浮き、ふわふわと浮遊して画面から消えていくのが見えた。
「…ど、どう言う事なんだ…新手のジェネシスなのか…?」
博士は目を疑った。
「一応、各エリアに電磁波を張り巡らせましょう。犯人はそれで引っ掛かるかも知れませ…」
カケルは、そう言いかけると、はっと動向を縮めた。
「それなら、広範囲に使えそうなワイヤーがあるはずです。」
管制官はそう言うと、辺のブレーカをくまなく確認した。
「もしかしたら、それに使える筈です。また、複数の犯行の可能性が高いです。」
カケルはそう言うと、何やら思案に暮れているようだった。

「本日は、手間をおかけしました。」
カケルは丁寧にお辞儀をすると、博士を引き連れ帰路に戻った。
 車の中で、カケルは深刻そうな顔をしていた。口を真一文字にして、考え込んでいる。
「博士ー、ちょっと行って欲しい所があるんだ。」

 カケルと博士は目的地まで辿り着くと、北4のハイウェイの出口を歩いていた。
「カケル君、ここって、君が例の衝突した場所じゃないのか?」
博士は電動カーをが運転し、カケルの指示通りの道を走った。
「あの時、ぶつかった時と似たような感覚を覚えたんだ…もしかしたら…」
カケルは助手席でしきりに通信機に、文字を入力していた…。
「…クソ…出てこない…」
カケルはやきもきする気持ちが胸いっぱいにひろがり、爪をかんだ。

「博士、そこだ。」
カケルの指示に従い、博士は車を北4のハイウェイに停車させた。
「ここだ、この辺りに何かある筈なんだ…」
カケルは辺りをくまなく探索した。しかし、目星のつくものは何も出てはこなかった。
「カケル君ー。これはー。」
博士が、ガードレールの裏側からUSBメモリーのような物を拾った。メモリには、『白鳥』と名前が記されていた。
「何だ?白鳥かー?確か…」
博士が眉間に皺を寄せて凝視している。
「これは、犯人の主人なのかー?」
二人は車をは知らせ、研究所に戻ると、テレビのケーブルにUSBメモリーを接続した。
 テレビのモニターには、丸渕眼鏡の40代ぐらいの優男が、手を組んで画面に向かって座っていた。
「こ、これは組織で見た事がある顔だぞー。あのー、初代の作業用ロボットを作成したー、あの…確か、コレだよ。」
博士はそう言うと、パソコンのキーボードをカタカタ叩くと、その画像を表示した。
「こ、これは…確か、俺があの時ぶつかった時のマシンとそっくりじゃないか…?」
カケルは目を白黒させ、そのスターウォーズのR2-D2さながらのマシンを見つめていた。
テレビのモニターの右下の日付には、2021年10月31日と、記されていた。
『…ウォーリー、私の寿命は残り少ない。私は、ゴホゴホ…長年の研究の中で、とうとう完成させたんだ。私はこの発明品を『パンドラⅤ』と、名付けた。』
そう言うと、彼は右手に歯車のような部品を取り挿頭して見せた。これは、よく、カケルが子供の頃から当たり前のように見てきた、
『実は、この歯車はマシンに命を吹き込む歯車なんだー。まだ試作段階だが、いづれ開発が進み、マシン達が自我を持つ様になれば、医学や教育、技術開発が進み、また、孤独な人間に寄り添えるそんな気がしてなー。そして、我々の生活に潤いをもたらす事になるだろうー。ゴホゴホ…』
白鳥という男はゼェゼェしながら、苦しそうに話した。
『これは、我々の大事な歯車だー。この第一号を、お前に託したい…。ゴホゴホ。君には、今まで沢山苦労を掛けた。』
そう言うと、白鳥はモニターを切った。
「…白鳥…?」
「白鳥,白鳥…何か聞いたことがあるぞー。」
「聞いたことがあるー?もう、200年も前の人だぞ?俺は今まで、開発者に洗いざらい調べたが、その人に関する文献も見た事がなないな…。何であんたがー」
「…いや、儂が組織に研究者としていた時、ある日、螺子の中からこのモニターに映っているものと同じタイプの歯車を見た記憶があるんだ…」
「…だとしたら、組織が彼の存在を塗り潰したのかー?奴等ならやりかねないぞー。」
「過去と今…どう繋がっているんだ…?」


 すると、ドスドスと、足音が木霊してきた。そして、研究所ドアが大きな音を立てて倒れた。
「…博士、お前、まさか電磁波を緩めたな…」
カケルはそう言うと、右手の義手からワイヤーを引き抜いた。
「いや、だって仕方ないんだよ…実は、君にはずっと言えなかった事だが…」
博士はそう言うと、しどろもどろになりパソコンのキーボードをカタカタ打ち、ドアの前のシャッターを降ろしている。
 すると、シャッターに、鋭利な刃が貫き綺麗に円を描いた。そして、外から5体の人形《ヒトガタ》の自動人形《オートマドール》が姿を現した。
 「ワタセ…」
自動人形《オートマドール》らは、そう言うと二人に襲いかかった。カケルは、5体をじっと見つめ、義手からワイヤーを引き抜いた。
「コイツラは、組織の人形じゃないー」
カケルは、自動人形の動きや関節のケーブルと電磁波の流れから、彼等は組織の差し金ではない事を悟った。
自動人形達が2人に襲ってきた。カケルは義手からワイヤを引っ張り出した。ワイヤーはうねうねと蛇行しながら自動人形達の首に引っ掛け、バチバチと花火のような強力な電磁波を鳴らしながら自動人形《オートマドール》の関節を切断していった。博士は電磁砲《バズーカ》を自動人形に砲弾した。自動人形はビリビリショートを起こしながら、ドミノ倒しになった。



 すると、ガタガタと音を立てながらと研究所がぐらついた。壁に徐々に亀裂が入る。亀裂は、益々強くなり、鋭利な刃がが壁を突き破った。ドスドスと重い足音が近づいてくる。
 すると、辺り一面に煙が立ち込め充満してきたのだ。そして、硫黄のような匂いが辺りに広がってきたのだ。
「コイツは今の主人かもしれん…」
博士は声を震わせ、電磁砲《バズーカ》をカタンと床に落とした。
「…だとしたら、この、USBメモリーが目的なのかー?」
カケルは、急いでUSBメモリーを引き抜くと、胸ポケットにしまい、電磁砲《バズーカ》を構えた。
 すると、煙の向こう側から黒い大きな影が、重い足取りでこちらに向かって歩いてくるー。
「済まないが、邪魔をしないでくれたまえ。」
野太く低い声で、大きな黒い影が徐々にこちらに近づいてくる。
 そして、煙のむこう側から、釜を持った漆黒の上半身はカマキリー、下半身は人の様な姿をしたVXが赤い目で睨みつけてしているのが見えたー。







    
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