ヘタレ魔女と殺戮の乙女

RYU

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邂逅 ③

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     マーヤが目覚めると、見知らぬメルヘンチックな部屋が視界に広がった。
「あ…ごめんなさい。起こしちゃった…」
ベッドの脇に、アリアンが林檎を剥いて座っていた。
「…ここは」
「あ…ここは、スピカの小屋  。大丈夫、怖くないから。」
どうやら、ここは狭い木造の小屋の中のようだ。
メルヘンチックなアンティークの空間ー。
天井からは質素だがお洒落なシャンデリアがぶら下がっていた。
机には、書きかけのメモー、地球儀や、木彫りの人形、そして本が乱雑に積み重ねられていた。
「あ…あの、フードの女の人はどこ…?私、傷つけてしまってて…」
マーヤは、重たい腰をあげた。
「ああ、彼女なら、何処かに消えたよ。」
「え、何処かに消えた…?」
「うん。いきなり白っぽい光に包まれて…逃げちゃっ他のかな…?」
「ここは、どこなの?」
「スピカの家だよ。スピカはね、何でも知ってる凄い魔女なの…」
「魔女…?」
「うん。魔女だよ。」
「…あなたも魔女なの?」
「私は魔女だよ。あなたもでしょ?」
「…え?私は魔女?」
「おかしな人ね。」
アリアンは、眉を八の字にし林檎を剥き終わると、水を注いだ。
    すると、奥の方から足跡が聞こえてきて暗闇の中から、若い長身の女が姿を現した。
「こんにちは。」
「…あ、スピカ。」
アリアンは、慌てて深くお辞儀をした。
「こんにちは。エバーグリーンへ。」
スピカは、落ち着いた艶やかなな声をしていた。彼女は高身長であり、若草色の鮮やかローブを身にまとっていた。何処かしら、上品だが素朴な雰囲気を醸し出していた。
「ねえ、スピカ、この子、この世界の人じゃないって…で、何か困り事があるみたい…」
アリアンは、不安げにマーヤの方を向いた。
「あなたは……ガイアの子ね。」
スピカは、全てを悟ったかのような眼をしていた。彼女は、森羅万象が分かるのだろうかー?
「あ、私は、元は違う世界から来てて…あの…どうして…?」
「分かるのよ。お母様をお探しね。」
「はい。この人です。」
マーヤは恐る恐るベッドの脇にある、手紙を手渡した。
 「アリエル・シャルル・バルド…聞いた事あるわ。」
スピカは手紙を受け取ると、写真の女に目を移した。
「とても、素敵な方ね。」
スピカは、微笑むと手紙の文章を読んだ。
「大丈夫。スピカは、何でも分かるから。」
アリアンのその言葉に、マーヤは戦慄が流れた。


  ー自分の弱みがバレてしまうー!

   マーヤは、幼少の頃から酷い虐めや孤立にあっ た。 そして、対人恐怖に苦しんできた。 馬鹿にされた侘しい孤独な人生。しかも、取り立てて何の取り柄がないから、益々惨めである。 誰からも相手にされず、世間から も見向きもされない、 マーヤは、干からびたミミズのような惨めな存在だった。
     マーヤはどこのコミニティに行っても上手くいかしかも臆病者の根性なしだか ら、 自殺することすら出来ない。

   「マーヤ…」
アリアンが、心配そうに顔を覗きこむ。


「や、や、ヤダ…やめて…」
マーヤは、震えた。自分の弱みが全て、他人にバレてしまうのだろうかー?

そう思うと、マーヤは酷くぶるぶるふるえた。

「大丈夫ですよ。」
スピカは、にこやかに話した。
  
   

   そんな時だったー。木の床がビリビリ亀裂が生じ、中からニョキニョキ手が出てきたのだ。そして、腕が伸びてきた。その腕はしきりに空を切りそしてもう片方の腕も床を突き破りニョキニョキ伸びてきた。
    マーヤとアリアンは、悲鳴をあげた。しかし、身体全身力を吸い取られたかのように重く、その場から身動きが取れないでいたのだ。マーヤとアリアンは怖くなり、ダルマのように丸くなった。頭を下に向け、視界に何も映らないように防御した。

「こんにちは。お嬢ちゃん。はじめまして。」
    高く軽快な若い男の声が聞こえてきたのだ。マーヤは、恐る恐る顔を上げた。すると、目の前には中世ヨーロッパの海賊を彷彿とさせるような出で立ちの男が、武器を携え立っていたのだ。
   マーヤは、金魚のように目を丸くし、呆然とその男を見つめていたのだ。すると、その男の左側が溶けだし骸骨のような状態になった。マーヤは、子猫のようにわなわな震え、後退りした。
「おっと、いけない、いけない。死者も楽じゃないや…」
若い男はそう言うと、再び彼の左側が再び元の綺麗な顔に戻った。
「…あなた、誰…?」
マーヤは、激しく震えていた
「ああ…?俺かい…?知らないの…?」
若い男は、ドヤ顔で腰に手を当てる。
    スピカは憮然とし、手紙を手に取りながら軽く若い男に目を移した。

  

     森の中の1番高い山の上には、中世ヨーロッパのバロック朝を彷彿とさせる豪勢な建物が悠然とそびえ立っていた。
    その森は、『呪いの森』と呼ばれており、死者の魂や妖魔がばっこし、人間が入ったら二度と戻る事が不可能と恐れられていた。
    そのバロック朝の建物の廊下から、少女のキンキン声が響き渡っていた。
「お黙り!白状なさい。」
「ち、違うよ…私じゃないよ…キーラ。」
気弱そうな少女は、おろおろしながら、キンキン声の少女と対峙していた。
「兎に角、私の物には、今後一切触らないで!」
「…だから、違うの…」
「まあ、いいわ。今度やったら、退学にするからね。覚えときなさい。」
キーラは、仲間を引き連れその場を去った。
     それ見た周りの生徒達はビクついて遠巻きにヒソヒソ話をした。
「何…?あの人?」
「キーラ・スキータ。この学園の理事長の娘よ。趣味は乗馬、ピアノ、バイオリン。性格は、マイペースでこだわりが強く、完璧主義…嫌いなものは弱いもの、醜いもの、彼女は気難しいから、なるべく近づかない方がいいよ。」
「うん。」
「高い所から凡人を眺めてる時は、さぞ気持ちいいんだろうね…」
周りは、呆れ顔で彼女の後ろ姿を見ていた。
















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