✕✕が弱い俺の社内事情

6章

34話《して欲しいこと》

 家の中を案内してもらったりして2人で時間を過ごしたのだが、やはりそれにも限りがあってどうしようか迷ってしまった。

 「さて、どうしようか……」
 
 「食事するには少し早いですよね」

「そうだね、とは言って外出しても帰ったきたら遅くなるし」 

 「家ですることってありますかね……」

 数分間沈黙したあと、雅斗さんが口を開いた。

 「……しよっか」

 「え？」

 「せっかくなら、ね？して欲しいこともあるし。ほら、俺の部屋行こ」 

 彼は俺を引っ張って部屋に連れて行く。
 俺はどうすることもできずに、ただ慌てるだけだ。

 「雅斗さん、して欲しいことって？」

 「秘密。……ほら、ここだよ。入って」

 「えぇ……」

 不安を抱きながら部屋に足を踏み入れ、周りを見渡す。
 一室なのに無駄に広く、綺麗で ……。
 何を見ても彼の家は驚くものばかりだ。

 「えっと、どれだったかな……」

 彼はクローゼットの中を探しながら何かを探している。
 
 「何探してるんですか？」

 「んー、ちょっとね～」

 さっきのように軽く流され、少し悲しくなる。
 そんなに教えたくないことなのかと思い、俺に何をさせようとしているのか怖くなった。

 「あの、雅斗さん……」

 「あぁ、あったあった。これ着てきて？寝室で待ってる」

 彼はハンガーに掛かった服を１着手渡し、寝室らしい部屋に入っていった。
 何も聞けずに立ち尽くし、チラッと服を見てみた。
 俺は顔を青くして息を飲んだ。
 それは……レースの沢山ついたメイド服だったからだ。