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1.出会い1
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学校の放課後、友だちと別れた後にコンビニに寄って唐揚げ串を買うのが、最近のマイブームだ。
唐揚げ串をじっくりと味わいながら、大通りから少し狭い路地へ曲がる。
自宅へ行くには、その道を行くしかなかったのだが、人通りの少ないその路地が少し苦手だった私は、毎回ダッシュでその路地を通り過ぎる。
しかし、今日はふと後ろに人の気配を感じた。
やばいと思ってさらにスピードを上げようすると、その気配から眩い光が溢れてきて、引きずり込まれそうになった。
「やばいやばいやばいやばい」
思わず口走り、光の方向へ食べかけの唐揚げ串を投げつける。
「うわ! 肉が飛んできた!」
光の奥から男性の声がする。
物を投げるのは効果的なようだと判断して、学校指定のトートバッグから水筒、空のお弁当箱2つ、図書室で借りた本などを順番に投げ、最後には部活で使った汗臭い柔道着も全力で投げつけた。
「今回の聖女候補は凶暴だ! ホントにこの娘で合っているのか!?」
「間違いありません。マリコと同じ聖力を感じます!」
(マリコ!?)
光に引きずり込まれないように腰を落とし、足で踏ん張りながら、私は思わず手を伸ばして、何かを掴もうと必死になる。
眩しすぎて目を開けることは叶わない。
両腕を可能な限りブンブンと振り回していると、何か布のようなものに触った。
その布を掴み、思いっきり引っ張りつける。
「うわあ!」
光の中の男性が、焦ったような声を上げる。
「あ! ヤジール様!」
もう一人の男性も、驚いた声を上げているのが聞こえる。
(重い!)
成人男性だろうと思っていたが、想像以上に重たかった。
だが、あきらめるわけにはいかない。
こういうのを火事場の馬鹿力というのだろう。
私は、限界を超えた筋肉の悲鳴を感じながら、一気にその布を引っ張り出した。
「うわあああ!」
そんな悲鳴にも似た声が響くと、強い光が消えた。
恐る恐る目を開く。
自分を引きずり込もうとしていた光は消え失せていた。
勝った!
良く分からないけど、勝てたようだ。
「おい!」
満足気にしていると、若い男に声をかけられた。
ものすごく怒っているような、その声の方向を見ると、変な恰好をした男が二人立っていた。
唐揚げ串をじっくりと味わいながら、大通りから少し狭い路地へ曲がる。
自宅へ行くには、その道を行くしかなかったのだが、人通りの少ないその路地が少し苦手だった私は、毎回ダッシュでその路地を通り過ぎる。
しかし、今日はふと後ろに人の気配を感じた。
やばいと思ってさらにスピードを上げようすると、その気配から眩い光が溢れてきて、引きずり込まれそうになった。
「やばいやばいやばいやばい」
思わず口走り、光の方向へ食べかけの唐揚げ串を投げつける。
「うわ! 肉が飛んできた!」
光の奥から男性の声がする。
物を投げるのは効果的なようだと判断して、学校指定のトートバッグから水筒、空のお弁当箱2つ、図書室で借りた本などを順番に投げ、最後には部活で使った汗臭い柔道着も全力で投げつけた。
「今回の聖女候補は凶暴だ! ホントにこの娘で合っているのか!?」
「間違いありません。マリコと同じ聖力を感じます!」
(マリコ!?)
光に引きずり込まれないように腰を落とし、足で踏ん張りながら、私は思わず手を伸ばして、何かを掴もうと必死になる。
眩しすぎて目を開けることは叶わない。
両腕を可能な限りブンブンと振り回していると、何か布のようなものに触った。
その布を掴み、思いっきり引っ張りつける。
「うわあ!」
光の中の男性が、焦ったような声を上げる。
「あ! ヤジール様!」
もう一人の男性も、驚いた声を上げているのが聞こえる。
(重い!)
成人男性だろうと思っていたが、想像以上に重たかった。
だが、あきらめるわけにはいかない。
こういうのを火事場の馬鹿力というのだろう。
私は、限界を超えた筋肉の悲鳴を感じながら、一気にその布を引っ張り出した。
「うわあああ!」
そんな悲鳴にも似た声が響くと、強い光が消えた。
恐る恐る目を開く。
自分を引きずり込もうとしていた光は消え失せていた。
勝った!
良く分からないけど、勝てたようだ。
「おい!」
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ものすごく怒っているような、その声の方向を見ると、変な恰好をした男が二人立っていた。
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