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Lesson.5 物語の終わり

122.悲嘆

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リナは、ユニカたちが生きた時代からすでに約五百年経っていること、アレクサンデル王はもう亡くなっていること、そしてマリアが行方不明になっていることなど、ユニカにとっては到底信じられないであろう話を丁寧に伝えていった。
ユニカは嗚咽を洩らしながらも時折頷き、その内容をしっかりと聞き取っているようだった。

「ユニカ……。」

一通り話し終わったリナは、泣き続けるユニカの背中をずっとさすり続けながら、ただ側に寄り添っていた。
どのような言葉をかけても、ユニカの気持ちが晴れないことを分かっていたからだ。
その様子を見ていた四姉妹も、思わずポロポロと大粒の涙を流し始めた。
自分たちの憧れだったユニカも、こうして一緒にいると、普通の女性なのだ。
愛する人をいつの間にか失ってしまった悲しみと、時間を超えて自分だけが残ってしまった寂しさに、細い肩を震わせて泣いている。
何故、このような残酷な状況になってしまったのか。
その場にいた全員が、原因を作った人物に怒りを覚えていた。
全員が悲しみにくれるユニカを見守り、しばらく時間が経った。
すると、まだ涙が止まらないユニカが落ち着きを取り戻すように話し始めた。

「ごめんなさいね、取り乱して……。
まだ混乱していて、分からないこともいっぱいあるのだけど……。
リナ、体内に魔力があるのに、魔法が使えなくなってしまったのはどうしてなのかしら?」

ユニカは元々、優秀な魔法使いだった。
魔力量も桁外れだったと記録に残っている。
魔法を使うことが出来ない現在も、上手に魔力を体外に放出させているようだった。
しかし、それにも限界がある。
いつ体内の魔力が暴走するかわからないのだ。

「それは……」

リナは自らの魔力で国内での魔法使用を禁じている事を説明し、謝罪した。
ユニカが教育制度を整え、魔法学校まで創設したにもかかわらず、それをふいにしてしまったのだ。

「そうだったのね。
状況を考えれば仕方がないことだったのかもしれないけれど、いつまでもこの状態というわけにもいかないわね。
国が衰退してしまうわ。」

「わかってる。
人々から魔力が吸い取られる現象が収まれば、私が闇の魔力で結界を張る必要もなくなる。
たぶん、集められた魔力はここに来ていたと思うんだけど、何か覚えていない?」

ユニカは一瞬考えて、ふと庭園の奥を見た。

「私はその時眠っていたから、詳しいことは分からないわ。
ごめんなさい。
だけどリナ、一つだけ情報が間違っているわ。
マリアは行方不明になってはいない。
ほら、すぐそこにいるでしょう?
だってあの子の光の魔力を感じるわ。
それに、その他の属性の魔力も感じる。
集められた魔力もそこにあるのではないかしら?」

ユニカは自分の視線の先、庭園の奥の壁を指さした。
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