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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
105.あっけない退場
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一行は、王宮の騎士たちが厳重に扉の前を守っている応接室へ入る。
リナに手を引かれアイリも付いてきているが、やはり瞳は虚空を見つめてひと言も話さなくなった。
リーリウムたちはそれぞれ椅子に腰かけるが、アイリはリナが座るそばにぼうっと立っている。
「それも闇魔法ですの?」
ヴィオラが冷ややかな目でアイリを見て尋ねる。
「ふふふ、私が闇の魔法使いってことも知っているんだ。
……そうだよ、闇の魔法には人心を乱す呪文も多いからね。
今はちょっと催眠状態になっているだけだけど。
“ヒロイン”が皆持っているチャームの能力も、他人を惑わすという意味においては、どちらかというと闇属性に近いんだよね。
で、どうして私が闇の魔法使いだって知ってるの?」
「催眠状態とはいえ、アイリ嬢や部外者の前ではお話しできないのです。」
リーリウムが困ったように言うと、リナは一瞬考え、ふむ、と言うと立ち上がり、手を応接室の片隅に向ける。
その手を、円を描くように大きく回すと、その先に真っ黒な空間が広がった。
豪奢な応接室の一角に出来たその空間からは、この世のものとは思えないが禍々しいとは違う、そんな空気が漂っている。
「はい、アイリはこの中に入って。」
リナがそう言うと、アイリはその黒い空間の中へ歩いていく。
「アイリ嬢!」
リーリウムが席を立ち、アイリを静止しようとする。
「大丈夫だよ。彼女は自分の居場所に帰るだけ。」
リナはリーリウムにそう言うと、黒い空間へ入っていくアイリの背中を見守る。
「さよなら、アイリ。」
リナのその声に、一瞬アイリが振り向くが、次の瞬間黒い空間と共にアイリは消えてしまった。
「アイリ嬢の居場所とおっしゃいましたが、どこへ行ってしまわれたのですか?」
リーリウムが恐る恐る尋ねると、リナは椅子に深々と腰かけて紅茶をすする。
「まあ、あの世だね。」
「君は先ほどの闇魔法でアイリ嬢を殺したのか?」
ヘンリクスは努めて冷静な声を出しているが、奥底から怒りの感情がもれだしている。
アイリを殺されたことへの怒りというより、人を殺しておいて何事もなかった様な顔をしていることが許せなかったのだ。
「違うよ。アイリは元々、自分が生きていた世界で死んでしまっていたんだ。
そして、魂がこの世界に迷い込んでしまった。
本人は転生したって思い込んでいたけどね。」
「一度死んで、この世に生まれたのですから、転生ではありませんの?」
ヴィオラは、ユニカのことを思い出していた。
「アイリみたいな子は転生ではなくて、取り憑いていたという方が適切だね。
アイリ・ウィザーという令嬢の魂を体から追い出して、乗っ取ったんだよ。
その間にアイリ・ウィザー本人の魂は消えてしまった。
本人も自覚がないから、責めることもできないんだけど……。」
「どうして、今までアイリ嬢を放っておいたのですか?
もっと早くに、アイリ嬢を元の居場所へ戻すことはできなかったのですか?」
アイリの暴走に頭を痛めていたリーリウムにとって、リナの行動は理解しがたかった。
なぜこのタイミングまで待っていたのかと、リナを責めるような口調になってしまう。
「君たちにはものすごく迷惑をかけてしまって、申し訳ないと思っているよ。
特にヴィオラ嬢は、婚約破棄という事態にまで追い込んでしまった……。
もっと早くにアイリを回収できていれば良かったんだけど、この世界にやってきた“ヒロインが幸せを見つける”まで見守るのが私の仕事なんだよ。
結局、彼女は欲をかいてしまって幸せになり損ねてしまったけどね。
これ以上この世界に留まっても彼女が不幸になってしまうから、今、回収したってわけだよ。」
リナは、本当に悪いことをしてしまったと言って、深々と頭を下げる。
リナに手を引かれアイリも付いてきているが、やはり瞳は虚空を見つめてひと言も話さなくなった。
リーリウムたちはそれぞれ椅子に腰かけるが、アイリはリナが座るそばにぼうっと立っている。
「それも闇魔法ですの?」
ヴィオラが冷ややかな目でアイリを見て尋ねる。
「ふふふ、私が闇の魔法使いってことも知っているんだ。
……そうだよ、闇の魔法には人心を乱す呪文も多いからね。
今はちょっと催眠状態になっているだけだけど。
“ヒロイン”が皆持っているチャームの能力も、他人を惑わすという意味においては、どちらかというと闇属性に近いんだよね。
で、どうして私が闇の魔法使いだって知ってるの?」
「催眠状態とはいえ、アイリ嬢や部外者の前ではお話しできないのです。」
リーリウムが困ったように言うと、リナは一瞬考え、ふむ、と言うと立ち上がり、手を応接室の片隅に向ける。
その手を、円を描くように大きく回すと、その先に真っ黒な空間が広がった。
豪奢な応接室の一角に出来たその空間からは、この世のものとは思えないが禍々しいとは違う、そんな空気が漂っている。
「はい、アイリはこの中に入って。」
リナがそう言うと、アイリはその黒い空間の中へ歩いていく。
「アイリ嬢!」
リーリウムが席を立ち、アイリを静止しようとする。
「大丈夫だよ。彼女は自分の居場所に帰るだけ。」
リナはリーリウムにそう言うと、黒い空間へ入っていくアイリの背中を見守る。
「さよなら、アイリ。」
リナのその声に、一瞬アイリが振り向くが、次の瞬間黒い空間と共にアイリは消えてしまった。
「アイリ嬢の居場所とおっしゃいましたが、どこへ行ってしまわれたのですか?」
リーリウムが恐る恐る尋ねると、リナは椅子に深々と腰かけて紅茶をすする。
「まあ、あの世だね。」
「君は先ほどの闇魔法でアイリ嬢を殺したのか?」
ヘンリクスは努めて冷静な声を出しているが、奥底から怒りの感情がもれだしている。
アイリを殺されたことへの怒りというより、人を殺しておいて何事もなかった様な顔をしていることが許せなかったのだ。
「違うよ。アイリは元々、自分が生きていた世界で死んでしまっていたんだ。
そして、魂がこの世界に迷い込んでしまった。
本人は転生したって思い込んでいたけどね。」
「一度死んで、この世に生まれたのですから、転生ではありませんの?」
ヴィオラは、ユニカのことを思い出していた。
「アイリみたいな子は転生ではなくて、取り憑いていたという方が適切だね。
アイリ・ウィザーという令嬢の魂を体から追い出して、乗っ取ったんだよ。
その間にアイリ・ウィザー本人の魂は消えてしまった。
本人も自覚がないから、責めることもできないんだけど……。」
「どうして、今までアイリ嬢を放っておいたのですか?
もっと早くに、アイリ嬢を元の居場所へ戻すことはできなかったのですか?」
アイリの暴走に頭を痛めていたリーリウムにとって、リナの行動は理解しがたかった。
なぜこのタイミングまで待っていたのかと、リナを責めるような口調になってしまう。
「君たちにはものすごく迷惑をかけてしまって、申し訳ないと思っているよ。
特にヴィオラ嬢は、婚約破棄という事態にまで追い込んでしまった……。
もっと早くにアイリを回収できていれば良かったんだけど、この世界にやってきた“ヒロインが幸せを見つける”まで見守るのが私の仕事なんだよ。
結局、彼女は欲をかいてしまって幸せになり損ねてしまったけどね。
これ以上この世界に留まっても彼女が不幸になってしまうから、今、回収したってわけだよ。」
リナは、本当に悪いことをしてしまったと言って、深々と頭を下げる。
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