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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
87.魅了されるヒロイン
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中庭のベンチに移動する、アイリとリナ。
「あなた、そんなにかわいかったのね。」
アイリがリナの顔を見ずに言う。
リナの顔を見ると、心臓がドキドキして苦しくなってしまうからだ。
「まあ、それは否定しないけどさ。
私の顔って直視できないでしょ?」
「え! どうしてわかるの?」
思わずリナの顔を見るアイリ。
リナもアイリを見つめてくる。
アイリは顔が紅潮していくのを感じ、慌てて視線をそらした。
「私さ、顔にチャームの加護を持ってるんだ。
しかも、異性同性関係なく惚れられちゃうくらい強力なの。」
「だからいつもはフードを被ってるのね。」
「そう。顔を隠さないと普通の生活ができなくて……。
魔力は自分で制御できるんだけど、チャームの加護は抑えられないんだよね。
君もそうでしょ?」
「そうだけど、私のチャームはあなたほどあんまり強くないんじゃないかな?
結局、このブレスレットで補強しても、ヘンリクス様たちは魅了できなかったもの。」
アイリは、きらきらと煌めくブレスレットをじっと見つめる。
「ああ、わたしも無理だったよ、王子様たち。
あと、あの護衛の騎士も。
今日、話しかけてみたけど、びっくりするくらい親切で普通の人たちだった。
私に話しかけられると、挙動不審になるのが通常なんだけどね。
どうやら、何らかの力が働いていて、“ヒロイン”のチャームが無効化されてるみたい。」
「なにそれ!?
じゃあ、元々無理ゲーだったってことじゃん。
その無効化って外せないのかな?
っていうか、あなたも“ヒロイン”なの?」
アイリは憤りを隠せない様子で、リナに詰め寄る。
しかし、リナの顔を見ると攻略対象のことなど、どうでもいいことのような気がしてしまうから不思議だ。
「ふふ、私の顔、見ない方がいいよ。
魅了されちゃうから。」
アイリの表情がコロコロと変わる様子を楽しむようにリナが揶揄って、自分が“ヒロイン”かどうかも誤魔化す。
「もう! 魅了って自分が自分ではなくなってしまうようで、不思議ね。
アンドレアスも、こんな感じなのかしら?」
「そう、そのアンドレアスっていう子は、君に魅了されているんでしょ?
それで、ジョンっていう子は君の魅了の呪縛から解放された。
それがヒントなんだろうね。
君、賢いんだから、そこからは自分で考えてね。」
そう言うと、リナはすくっと立ち上がる。
「帰るの?」
「うん、今日はね。
まだここでやらなきゃいけないことがあるから、しばらくは留学生として通学するよ。
また明日!」
リナは周りに人がいないのを確認すると、いつものように姿を消してどこかへ行ってしまった。
「明日会えるなら、またどら焼きでも作ってあげようかしら?」
チャーム無効化の謎も、ヘンリクスやマシューやカインのことも、もちろんアンドレアスのことも、アイリの頭から離れていく。
正確には、きちんと考えなくてはいけないという意識はあるのに、リナのことが常にちらつき、集中できないのだ。
「ホントに魅了って厄介ね。」
ぱんっと両頬を自らの手で叩く。
「攻略方法、考えよっと。」
アイリは、じんじんと痛む頬をさすりながら、寮の自室へと帰っていった。
「あなた、そんなにかわいかったのね。」
アイリがリナの顔を見ずに言う。
リナの顔を見ると、心臓がドキドキして苦しくなってしまうからだ。
「まあ、それは否定しないけどさ。
私の顔って直視できないでしょ?」
「え! どうしてわかるの?」
思わずリナの顔を見るアイリ。
リナもアイリを見つめてくる。
アイリは顔が紅潮していくのを感じ、慌てて視線をそらした。
「私さ、顔にチャームの加護を持ってるんだ。
しかも、異性同性関係なく惚れられちゃうくらい強力なの。」
「だからいつもはフードを被ってるのね。」
「そう。顔を隠さないと普通の生活ができなくて……。
魔力は自分で制御できるんだけど、チャームの加護は抑えられないんだよね。
君もそうでしょ?」
「そうだけど、私のチャームはあなたほどあんまり強くないんじゃないかな?
結局、このブレスレットで補強しても、ヘンリクス様たちは魅了できなかったもの。」
アイリは、きらきらと煌めくブレスレットをじっと見つめる。
「ああ、わたしも無理だったよ、王子様たち。
あと、あの護衛の騎士も。
今日、話しかけてみたけど、びっくりするくらい親切で普通の人たちだった。
私に話しかけられると、挙動不審になるのが通常なんだけどね。
どうやら、何らかの力が働いていて、“ヒロイン”のチャームが無効化されてるみたい。」
「なにそれ!?
じゃあ、元々無理ゲーだったってことじゃん。
その無効化って外せないのかな?
っていうか、あなたも“ヒロイン”なの?」
アイリは憤りを隠せない様子で、リナに詰め寄る。
しかし、リナの顔を見ると攻略対象のことなど、どうでもいいことのような気がしてしまうから不思議だ。
「ふふ、私の顔、見ない方がいいよ。
魅了されちゃうから。」
アイリの表情がコロコロと変わる様子を楽しむようにリナが揶揄って、自分が“ヒロイン”かどうかも誤魔化す。
「もう! 魅了って自分が自分ではなくなってしまうようで、不思議ね。
アンドレアスも、こんな感じなのかしら?」
「そう、そのアンドレアスっていう子は、君に魅了されているんでしょ?
それで、ジョンっていう子は君の魅了の呪縛から解放された。
それがヒントなんだろうね。
君、賢いんだから、そこからは自分で考えてね。」
そう言うと、リナはすくっと立ち上がる。
「帰るの?」
「うん、今日はね。
まだここでやらなきゃいけないことがあるから、しばらくは留学生として通学するよ。
また明日!」
リナは周りに人がいないのを確認すると、いつものように姿を消してどこかへ行ってしまった。
「明日会えるなら、またどら焼きでも作ってあげようかしら?」
チャーム無効化の謎も、ヘンリクスやマシューやカインのことも、もちろんアンドレアスのことも、アイリの頭から離れていく。
正確には、きちんと考えなくてはいけないという意識はあるのに、リナのことが常にちらつき、集中できないのだ。
「ホントに魅了って厄介ね。」
ぱんっと両頬を自らの手で叩く。
「攻略方法、考えよっと。」
アイリは、じんじんと痛む頬をさすりながら、寮の自室へと帰っていった。
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