悪役令嬢にならないための指南書

ムササビ

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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革

30.四姉妹、それぞれの役割

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「まかせて。その対策も考えてある。
ルドヴィク殿下には、アイリが話しかけてきたら母国語で返事をするようにお願いしてくれない?
もちろん、ルヴァリ殿下にもお伝えしてほしい。
殿下たちの護衛騎士には、そのことはすでに伝達済みだよ。」

「まあ、その手がありましたわね。」

フレエシアの言葉を聞いて、プリムラの顔にいつもの明るさが戻る。
二人の王子の母国レオポリス王国の言葉は、かなり難解だ。
文法がこちらの言葉とは全く違う上に、発音も独特だった。
レオポリス語の文献を解読は出来ても、声に出して読むことは難しい。
現地の人と会話をすることで、やっと習得できる。
たとえアイリが本でレオポリス語を習得していたとしても、“話す”と“聞き取る”を独学ですることは不可能なのだ。
もちろん、ルドヴィクもルヴァリも、こちらの言葉を流暢に話すことができる。
アイリの前でだけ、限定的にレオポリス語を使う作戦だ。

「では、ルドヴィク様たちにはそのように伝えます!
あとは、わたくしも少し考えが浮かんだので、実行してみてもよろしいですか?」

「あらプリムラ、どのような作戦ですの?」

ヴィオラは、末妹がどのようなかわいらしい作戦を思いついたのか、にこやかに聞き返した。

「わたくしもリーリウムお姉さまと同じで、いつも通りに! 
お友だちをいっぱい作りますわ!」

「まあ、それはいい作戦ね。
プリムラには学校中にお友だちを作ってもらわなくてはね。」

ヴィオラがそう言ったのは、おおげさではない。
プリムラの社交性の高さは姉妹一だった。
プリムラが友だちをたくさん作れば作るほど、リーリウムはもちろん、公爵家の娘たちが“悪役令嬢”になる可能性は低くなる。
ヴィオラが認めるほどの、見事な作戦だ。

「私も、プリムラにそうお願いしようと思っていたんだよ。
自分で考えつくなんて、さすがだね。」

フレエシアも感心しつつ、自分の役割も話し始める。

「私は表立っては動かない。
昨日、うっかりアイリに関わったせいで悪評が立ちそうだったしね。
アンドレアス様とディナルドといっしょに、裏でいろいろと立ち回ろうかと思ってる。
ジョンをスパイに仕立て上げたようにね。
基本的には研究室にいるから、なにかあれば訪ねてきて。」

リーリウムとプリムラは、フレエシアの言葉にうなずく。

「わたくしは、しばらく王都にいるので、ユニカ様の日記を解読しますわ。
あの日記、終わりが見えませんの。
もうかなりのページを読んでいると思うのだけど、実はまだすべてを読み解けていないのです。
ページをめくっているのに、残りのページ数が減っていない、そんな感覚で……。
何かわかったら、みんなに知らせますわね。」

ヴィオラも表立っては動けない。
転生者や悪役令嬢、それにヒロインについての情報を日記帳から集めて作戦を練ることで、妹たちをサポートしようと考えていた。

「本当に不思議な日記帳……。ですが、今はその日記帳に出会えて本当に良かったと思っています。」

日記がなければ、ヘンリクスと今の関係を築くことも、アイリとの出会いも違ったものとなっていただろう。
そう考えると、リーリウムはユニカ様が日記を残してくれて本当に良かったと、心から思っていたのだった。
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